物理と数学:老人のつぶやき

物理とか数学とかに関した、気ままな話題とか日常の生活で思ったことや感じたこと、自分がおもしろく思ったことを綴る。

方向余弦

2024-03-18 10:19:59 | 数学
方向余弦とは解析幾何の用語であろうか。いま方向余弦と入れようとしたら、方向予言と出てきた。

方向余弦とは英語ではdirection cosineとでもいうのだろうか。ある直線の直交座標系のx, y, z軸となす角の余弦をいう。ある直線をその直線が直交座標系の原点Oを通るように平行移動させて(回転移動させてはいけない、方向が変わってしまうので)、その直線の直交座標系のx, y, z軸となす角をA, B, Cとする。このときcos A, cos B, cos Cをその直線の方向余弦という。

よくわかる数学書と言われている、マセマの馬場先生の『ベクトル解析』にも詳しく見たわけではないが、このような説明である。ところがこれだけではまだ釈然としない感じを私は持っていた。

方向余弦についてあまり違和感を持たなくなったのは、空間の直交座標系に原点Oから大きさ1の各座標軸に沿ったベクトル\bm{e}_{1}, \bm{e}_{2}, \bm{e}_{3}を考え、これとその原点を通る直線のなす角の方向余弦は、その直線上の大きさ1のべクトル\bm{u}とのスカラー積(内積)をとれば、それが方向余弦であると理解してようやく方向余弦について納得した感じをもった。

すなわち、
cos A=\bm{e}_{1}・\bm{u}, 
cos B=\bm{e}_{2}・\bm{u}, 
cos C=\bm{e}_{3}・\bm{u}
である。・はスカラー積のつもりである。単なる数の積をここでは意味しない。

スカラー積を数学書によっては<\bm{e}_{1}, \bm{u}>のように表すことも最近では多い。\bm{e}_{1}・\bm{u}:=<\bm{e}_{1}, \bm{u}>である。

私みたいに物わかりがわるい人はあまりいないと思うが、他の人は方向余弦をどのように理解しているのだろうか。すんなりと受け入れておられるのだろうか。


一般角の三角関数の加法定理(再)

2024-03-17 13:27:54 | 数学
一般角の三角関数の加法定理について「数学・物理通信」に書いたことがある。

私のまとめた前の証明とは別の証明を書いた本を前に読んでいたのだが、十分に納得できなかった。それの理解が少しは進んできたのだが、もう少しわからないところがある。これは黒田孝郎さんの書いた『三角法』(ダイヤモンド社)である。

この記述が十分納得できなかったので、やはり同じように古い本である、遠山啓『三角関数の研究』(山海堂)を取り出してきて昨夜遅く読んでみた。前にはこれも十分納得できなかった記憶があったが、これの方の記述が上の『三角法』よりはすっきりしているようだ(注)。

もっともこれも証明がきちんと最後までされているわけではなく、以下同様にという風であった。そこがわからなかったところだが、昨夜一つの思いつきがあったので、それにしたがって証明を完結して見ようかと考えている。

うまく行けば少なくとも2つの方法で新たに一般角の三角関数の加法定理を証明できるかもしれない。

この一般角の三角関数の加法定理の証明についてはインタ―ネットでも十分に意識されており、それを取り扱おうとしたサイトはいくつかある。そのすべてではないかもしれないが、いくつかをプリントしてあり、先日から読みかえしてでいるが、どうもすっきりした議論をまだ見ることができない。

(注)遠山啓『三角関数の研究』を読んでいて気がついたことがある。それは武藤徹先生が三角関数の還元公式と呼んでいる一群の公式の三角関数の偏角の中に \pi+\thetaとか \pi/2+\thetaを偏角とする場合の還元公式に対する言及があまりないということである。もちろん、補角の公式とか余角の公式に対する言及はあるのだが。遠山さんのその後の著書でそういった場合の取扱いに言及してあるのかも知りたいと考えている。

(2024.3.18付記)遠山先生の言いたかったことをようやく了解した。私の思いつきを文書にした後にようやくである。何と私の頭のわるさよ。

同じような趣旨で書かれていた、黒田先生の本に書かれた一般角での三角関数の加法定理の証明の意味がようやくわかった。もっとも黒田先生の本にはちょっと誤解をまねく表現がないわけではないのだが。



仕事場を住居にしたので

2024-03-17 13:18:28 | 本と雑誌
仕事場を住居にしたので、日曜日は休みにしていたブログの休みがなくなってしまった。かならずしもいいことばかりではないような気がする。

家具とかの引っ越しをなどしてはないので、身柄が基本的に常に仕事場にあるというのが正しい。それで日曜は元の自宅に帰って過ごすというのを基本にしたいと考えているが、今日は訪問客があるかもしれないので、仕事場兼自宅に留まっている。

訪問客はたぶん午後に来られると思うのだが、いつ来られるかわからない。これは訪問をされる方自身がいつ来れるか分らないのだから仕方がない。

香川県に住んでおられる方だが、大学(?)のスポーツクラブの引率で来られているらしい。

編集という業務

2024-03-16 13:49:41 | 本と雑誌
3か月ごとに「数学・物理通信」というメール発行の、ちょっと気取っていえば、雑誌を発行している。

編集・発行人は私である。この編集発行人を100号以上にわたって務めてきた。これは私と友人の数学者Nさんとが始めた雑誌である。

100号はすでに2021年9月に達成している。現在100何号なのか調べていない。

しかし、編集業務というのはなかなかつらい。別にそれを職業としているわけではなく定年退職後の楽しみとしてやってきたのであるが、なかなかつらいということだけは言える。いまから考えてもどうして続けてこれたのか、不思議に思うくらいである。

それも最近は極めて優秀な方が共同編集者を一緒に務めてくださっているのにもかかわらずである。これは、いまのところ幸いなことに私の体がどこも痛いところがないためにかろうじて続けられている。

編集者を職業とされている方もおられるのだが、そういう方はどういう方なんだろうか。



体裁は整えたが、

2024-03-15 12:21:50 | 数学
数学・物理通信14巻1号の体裁は整えたが、中身の方はまったく見ていない。

編集とは本当は中身を見てすることだろうに。しかたがない。自分の原稿に気をとられてしまっていたので。

今回もだが、自分の昔のエッセイの修正がなかなか収束しなかった。それほど難しいとは思えない内容であるにもかかわらず。

引用した多くの文献を再度見直すということをしたのだが、一部あまりきちんとは見直せなかった文献もある。大体私はいつも該当箇所だけを読んでなんとかしようとしている。ほんとうは前後のページをしっかり読んでよく理解しなければならないのに。

だが、なかなか前後関係がよくわかるわけではない。きちんと調べられていないのは実は有名なWignerの著書Group Theoryのそれも数ページである。この本の日本語訳もあり、古本で購入して自分でもっていると思うが、私が直接参照しているのは英訳本である(注)。

その中の2次の行列の要素が複素数であるはずだのに実数みたいな表記になっている箇所があった。それであまりよく考えないで独断で虚数単位の i をつけた。ここが突っ込み不足のところである。他の箇所はたぶん大丈夫だと思う。

(注)英訳本だと書いたが、原本はドイツ語である。もっとも英訳するときに大分増補されたらしいから、ドイツ語版よりは英語の本の方がよくなっているであろう。

Wignerはドイツ人ではなく、ハンガリー人だったと思う。もっとも教育を受けたのはオーストリアかドイツなのでドイツ語ができるのは当然かもしれない。

とても視野の広い数学者だったと最近どこかで読んだ。大学では元々化学を学んでいたとらしい。

もっとも日本でも化学出身の物理学者もけっこういる。私の知っている方では朝永先生門下の田地(Tachi)さんだとか、はたまた東大教授だった柳田勉さんもおられる。この二人は素粒子物理学畑の方であった。


3月の子規の俳句

2024-03-14 18:28:14 | 本と雑誌
3月も中旬となった。今月の子規の俳句を紹介しておこう。

 春の旅 小さき山を越えにけり  子規

 spring journey
    crossing over
    a small hill                            Shiki 1899

この子規の俳句を翻訳した人が誰かは知らない。知らなくてもいいだろう。

このカレンダーには肱川の畔の 大洲城のところに桜が咲いており、そこの鉄橋をJRの汽車が通過しているカラーの写真がついている。

見事な景色である。

 

 

数学・物理通信14巻1号の編集

2024-03-13 17:22:56 | 物理学
数学・物理通信14巻1号の編集を始めた。とはいってもなんてことはない。

投稿論文を「いきなりpdf」でひとまとめにしただけである。とはいってもそこからいつも作業に入るのである。日時をかけて徐々に精巧なものに仕上げていく。

まだページ数もきちんとしていない。というのはwordでの投稿が今回はあったから。ページを入れるのも著者にお願いする。

latexの原稿なら、私がlatexの原稿に1行始まりのページを入れるだけでいいのだが。私がlatexの原稿に変えることも一応は考えたが数式が多いので、変更は時間がかかるということでlatexにはしなかった。

はじめて投稿された方で、今後も続けて投稿をされるようなら、latexを習得していただく必要があろうが。

ページも今号全体では30ページを上回っているがしかたがない。




なかなか難渋した

2024-03-12 17:16:22 | 数学
なかなか難渋した。昨日も書いた四元数とパウリ行列との対応についてである。

ようやく修正が終わったつもりであるが、それでもなにか書き忘れているような気もする。ページ数も増えて15ページ近くになった。

今野さんの『四元数』(森北出版)の四元数とパウリの行列との対応について該当箇所をはじめて読んだ。

通読可能な四元数の本は今野さんの本と私の本しかない。ああ、忘れていた、堀先生の大著『ハミルトンと四元数』(海鳴社)がある。もっともこれが通読できるような方はあまり多くはないだろう。松岡学さんとか結城浩さんの本も四元数のことにかなり触れてはいる。

そろそろ「数学・物理通信」14巻1号の編集にとりかからねばならないのだが。



四元数とパウリ行列

2024-03-11 19:11:28 | 数学
四元数 i, j, k とパウリ行列\sigma _{1}, \sigma _{2}, \sigma _{3}の対応について書いた数学エッセイの修正版を書いている。

これらの対応についてはすでに自著『四元数の発見』(海鳴社)で書いたのだが、このときに私は
 i ---> \sigma _{1},  j ---> \sigma _{2},  k ---> \sigma _{3}
という対応と
    i ---> \sigma _{3},  j ---> \sigma _{2},  k ---> \sigma _{3}
という対応を調べた。

そして、パウリ行列 \sigma _{n}の前の係数がどういうものが許されるか方程式を見つけてそれを解いた。こんなことを指摘した文献など今までどこでも見たことがなかった。

その後『四元数』(森北出版)の本を書かれた横浜国立大学の今野さんが、i, j, k に対応したパウリ行列の前の係数p, q, r(彼は私とちがってa, b, cを使っているが)は1, 2, 3の偶置換のときは(1, 2, 3)のときと解が同じで、奇置換のときは(3, 2,1)のときの解が同じだと結果だけを示している。

しかし、そういう吟味はいままでされたことがなかったらしく、いまユニタリー行列から、i, j, kとパウリ行列との対応を調べて見ると、対応によっては許されないものが出てくる。これをどういう風に取り扱うかでいま思案している。
 
(2024.3.12付記) 自分の本を先ほど開けて見たら、i, j, k に対応したパウリ行列の前の係数の記号は現在使っているp, q, r ではなく、私自身がa, b, cを使っていた。自分で使っていたのに忘れてしまっていたらしい。


今日もまた無為に終わりそうだ

2024-03-11 18:39:13 | 数学
午後から仕事場に出てきた。今日もまた無為に終わりそうだ。日曜日にすこし改訂中の数学エッセイを見て、それを仕事場に来てパソコン上で修正をしようとしたのだが、再度文献にあたってみることにした。

そしたら、本で自分が持っているものはすぐにチェックができたが、図書館の本からの引用だったもののコピーを探したのだが、いまのところ見つかっていない。どうしてもコピーが見つからないと大学の図書館まで見に行かなくてはならない。

この数学エッセイは前に書いたもので、四元数とパウリ行列との対応について書いたエッセイの修正ではあるが、すでにかなり手を入れている。それをできたら「数学・物理通信」の今月号に投稿したい。これができないと14巻1号の編集する気がおこらない。

もう何度も修正は終わりと思ったのだが、見直しているうちにやはり修正をしたくなってしまう。こうして今日も無為に終わりそうだ。

マイクロウェーヴ3

2024-03-09 11:13:18 | 物理学
電子レンジのマイクロウェーヴではないが、電磁波関係の研究のこぼれ話を一つ。第2次大戦中に日本でも科学者が集められて電波兵器の開発をしなくてはいけないことがあった。

そのときに、後でノーベル賞物理学賞を受賞することになる、朝永さんなどもそれに参加されたとか。それらの研究の一つに殺人光線の研究があったという。

それでその成果は、30分くらい豚をどこか狭いところに閉じ込めて電磁波を当てるとようやく死なせることができるという程度の全く役に立たないものであったという。
  
このときの研究で朝永さんとその共同研究者は戦後になって学士院賞を受賞した。才能のある人は何をしてもすごいという証明みたいなものである。

そういう類似の話であるが、アメリカで太平洋戦争中にレーダーが開発された。それは占領した箇所の取得物にアメリカの雑誌にYagi antenaという語が出て来るとか、見たことのない形のアンテナがあった。捕虜にしたアメリカ兵に尋問したところ、これの原理を発見したのは日本人であり、八木という学者であることがわかった。

八木さんはかつて東北大学でマイクロ波の研究をしていた研究者であったが、湯川秀樹さんが大阪大学に赴任したころに理学部長をしていたのが、この八木さんである。だが、日本では八木さんたちの電波を受ける指向性アンテナの研究の成果はまだ一般に知られていなかったらしい。




ベクトルの定義

2024-03-08 10:48:31 | 数学
ベクトルの定義といえば、「大きさ」があって「方向(向きを含む)」がある量だというのが高校で物理を学んだ人の答えだろう。

私のような老人は大学ではいわゆる「線形代数」を学んでいない世代に属する。それで大学院でテンソルのことを学んでようやくベクトルとはその量の変換性で定義するということを知った。

ところが最近私の学習したところ、線形代数ではベクトルとはベクトル空間の元(げんと呼ぶ)だという。そしてベクトル空間はその二つの和とスカラー乗法(普通にはスカラー倍と言っている)が定義される空間をベクトル空間と言っている。すなわち、

 u, vがあれば、u+vが定義できて、それが同じ空間に属し、
かつ、実数または複素数のcを
 uにかけて、cuが定義され、それも同じ空間に属する。

こういう空間をベクトル空間という。そして、そのベクトル空間の元をベクトルという。

さらに、ベクトルの間にスカラー積(または内積)が定義できるベクトル空間を計量ベクトル空間(またはユークリッド・ベクトル空間)という。

さて、昔、大学院で学んだその変換性によってするという、ベクトルの定義はどの空間での定義だったのだろうか。計量ベクトル空間のベクトルだったのだろうと推察はするが、それをきちんと書いた書物はどこにあるのだろうか。

佐武一郎『線型代数学』(裳華房)を引っ張り出して読まなければならなくなった。私たちの時代にはもっともこの本のタイトルは『行列と行列式』という古めかしいタイトルであったのだが。
 


住むところを変えた

2024-03-07 12:38:40 | 本と雑誌
いわゆる、転居をした。とはいっても仕事場に住んでいるだけである。

もっとも土曜の夜から日曜にかけては元の自宅帰ることにしている。それに、もし、子どもと孫の家族が休暇で帰ってくれば、元の自宅に帰り、ここは彼らに譲る必要があろう。

どうしてこういう措置をとったかは火災保険の住居に住むという条件をクリアするためである。昨年まではその条件がある程度ゆるやかだったので、自宅を移す必要はなかったのだが、今年は条件が厳しくなって少なくとも週に四日は住まないと火災保険に入れてくれないとのことで致し方がなかった。

将来的には仕事場は街中でもあり、病院も比較的近いので、ここに住居を移すつもりであった。それが少し早くなったわけである。

塩をフランス語でどういうか

2024-03-06 13:34:25 | 本と雑誌
何十年とフランス語をやっているわけだが、塩のフランス語を思い出せなくなっていた。

いま和仏辞典を引いたら、selとなっていた。それで思い出したが、du selという。duは部分冠詞である。肉を呼ぶときにはde la viandeだし、コヒーはdu cafeである。卓上の塩を取ってほしいときにはdu sel, s'il vous plaitである。

水だってd l'eauである。昔フランスに留学した人たちはこの部分冠詞でいうことを知らなくてeauとだけ言って部分冠詞をつけることを知らなかったとか。

本当だろうか。おもしろがって誰かが笑い話にしたのかもしれない。

今日からまた

2024-03-06 13:27:11 | 物理学
今日からまた新規まき直しで仕事の取り組みたい。

すでに3月6日であるから、「数学・物理通信」14巻1号の編集に取り組まなければならない。投稿は数編が既に手元にある。

私も旧稿を改訂して投稿しようとしているが、どうも1号では今月は収まりきらないかもしれない。その場合には2号の発行をしなければならないかもしれない。

2つの号を発行すると手間がなかなかかかるのではあるが、仕方がないだろうか。