【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

政権交代へついに切り札登場! 民主党、農業者戸別所得補償法案を参院に提出

2007年10月18日 23時25分42秒 | 農業

農家に所得補償を実施=独自案を参院提出-民主 (時事通信) - goo ニュース

(写真は法案を参院事務総長に提出する直嶋正行政調会長ら民主党参院議員)
 さあ、いよいよ平成の大阪夏の陣・冬の陣(第45回衆議院議員総選挙)に向かって民主党が切り札をきりました。

 「政局の院」とも言うべき衆院が給油新法でてんやわんやの時に、久々に「良識の府」の感を取り戻しつつある参院民主党が次期総選挙の決め手を具体化(法案化)して提出しました。
 サイは投げられました。もはや自民党は逃げも隠れもできません。
 農業者戸別所得補償法案は、農家を保護するだけではありません。
 消費者の生活を守り、食の安全を守り、環境を守り、グローバリゼーションの荒波から日本産業をある程度守り、第三国の軍事的脅威から日本を守ることにつながります。

 まさに究極の安全保障生活保障なんです。

 第21回参院選の富山市の水田を眺めながら、突如、農業・農政に興味をもった、にわか農政ジャーナリストの下町の太陽。ここ2ヶ月半、調べれば調べるほど、この制度に大きな波及力があることに気付きました。

 この問題は引き続き、ウォッチしていく予定ですので、私の考えは折りにふれて書いていきます。

 きょう(2007年10月18日)の衆院農林水産委員会若林農相が「攻めの農政」と語りましたが、自民党から具体的な案は出てきません。

 民主党議員はしっかりていねいにこの法案審議に取り組み、有権者への浸透を図っていくべきです。

【追記2007-11-10】

 同法案は9日、参院を通過し、衆院に送付されました。「国会傍聴by下町の太陽」はこの法案を追いかけています。関連エントリーをご紹介します。

民主党、「農業者戸別所得補償法案」(仮称)を参院に提出へ(9/22)
若林農相、“無血開城”申し込みか?(10/11)
【国会傍聴記】ちょっと奇妙な風景 ねじれ国会の参院で予算委スタート(10/15)
【国会傍聴記】農業者戸別所得補償法案が参院農水委で審議入り(10/30)
「新米が安くて助かる?」むしろ都市住民のための日本農業新聞
(10/31)

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【追記おわり】


NHKスペシャル「ライスショック」に大ショック!!

2007年10月14日 22時24分54秒 | 農業

 私は33年間、東京(横浜支局の3年間を含む)で生きてきましたから、農業のことはさっぱり分かりません。

 群馬県の人に「用水路がないのに、なんでお米がとれるの!?」とたずねて、あきれられたのがおととしのことです。 

 しかし、きょう放送されたNHKスペシャル「ライスショック あなたの主食は誰が作る(1) 世界がコシヒカリを作り始めた」にはタイトル通りに大ショック!

 写真右側の新潟のコメ農家、玉木さん。「東京の消費者にコメが売れない」現状から、台湾に米を輸出することをためらいながら決断した玉木さん。穀物業者の誘いで台北に出張するとそこには・・・

 台湾産、日本産、米国産、タイ産、中国産のコメたち・・・まさに食品スーパーは「コメの博物館」。玉木さんは「WTO(世界貿易機関)に飲み込まれたら、日本もこうなる。米価は下がり続ける」

 「日本の台湾化は確実に進む」と東大教授。

 カリフォルニア州サクラメント郊外の農業展示場には「コシヒカリ」「ヒトメボレ」「アキタ」(コマチ)の看板。
 アメリカで一番価格の高いコメを作っている農家は「コシヒカリはもうかるコメだ」。
 穀物会社社長(中国系米国人?)がフォークで試食すると、「日本産コシヒカリと全く同じだ。驚いたよ」。太平洋を越えて、米国産コシヒカリが来襲か?

 私は参院選中に富山市の越中八尾の水田地帯で、民主党代表の演説を聞いて、「食料自給率とはすなわち安全保障だ」と膝を打ちました。

 私は学生時代、安全保障を専攻していましたら、エネルギーだけでなく、食料自給率の低さにも問題意識を感じていました。

 友人 「問題だっていうけど、それでコメの自給率は何%なの?」
 私  「95%だってよ」
 友人 「なら、いいじゃん!」

 100%を超えたら、輸出すればいいのに! 東京の消費者の農業への関心は極めて低いというのが現状でしょう。

 小麦の自給率は14%。今月から輸入小麦が値上がりし、日清のチキンラーメンも値上げとのこと。
 
 食のグローバリゼーションによる格差の拡大は、人間の尊厳にもかかわる異様な姿を見せつけられることになるかも・・・

 おとといの衆院決算委で田中眞紀子さんが「初当選のときにカーギル社のことを勉強した方がいいよとアドバイスされた」と話していて、さっそく「カーギル社」をwikipediaで引いたら、びっくり!こんな巨大な非上場企業が世界の食料ロジスティックス(モノの流れ)を牛耳っていたとは。

 このままWTOやFTA(自由貿易協定)の波に飲み込まれたら、日本人は切腹しないといけないかも・・・いったい自民党は50年間も何をやってきたんでしょうか!


若林農相、“無血開城”申し込みか?

2007年10月11日 19時38分37秒 | 農業

(写真は日本有数のコメ所、庄内平野)

新農政見直しへ緊急検討本部=農家の不満軽減狙う-農水省 (時事通信) - goo ニュース

 若林農相が農林水産省に補助金の交付先を4ヘクタール以上の農家に限る「品目横断的経営安定対策」の見直しを指示しました。

 農家からは、補助金を受けるための手続きの簡素化や、米価下落時の農家への支援策を求める声も上がっていると時事通信は伝えています。

 若林農相の対応は、民主党の農業者戸別所得補償法案に対抗する措置としては「速い対応」です。いまから140年前、江戸城の明け渡しについて西郷隆盛と勝海舟が話し合い、「無血開城」が決まったことを連想しました。

 が、記事の続きを読んだら・・・

 「同省はこれらを踏まえて、8月下旬から既に全国各地に幹部職員を派遣、農業現場の意見を集めており、緊急検討本部で具体策を練る方針」

 「幹部職員を派遣し、農業現場の意見を集めており、・・・」

 遅い!!! 今まで官僚が農業現場に行ってなかった証拠です。

 「昨年の食料自給率が39%に低下」との発表で、「昨年は天候不順で米が不作だったので・・・」と意味不明なコメントをする農水省。災害にそなえてアルファ米備蓄しとこうかなと思ってしまいます。

 そしたら、こんな記事もありました。

<米価>下げ止まらず 農家、対策求める声 政府、直接関与に慎重姿勢
2007年10月9日(火)毎日新聞
 
 食品の値上げが広がる中で、主食のコメは価格下落が続いている。収入が減るコメ農家からは、政府に対策を求める声も出始めた。しかし、政府は「市場重視」の考え方でコメ需給への関与をしだいに弱めており、打てる手は少ない・・・

 というわけで、輸入小麦が高いですから、国内産のお米を食べましょう!若林さんのように餅米(赤福)でもいいかもしれません。パンは控えめにしましょう。小麦の自給率は14%しかないんですから(2005年度)。

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