【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

【内閣改造便覧】 当選回数別 未入閣議員リスト & タイガーマスクの正体は?

2011年01月12日 23時59分59秒 | 第177常会(2011年1月)大震災・3党合意

 政府・民主党は国会召集日を「24日(月)」とする方針を固め、衆・議院運営委員会の与党側筆頭理事の松野頼久さんが野党側筆頭理事の菅義偉(すが・よしひで)さんに14日(金)の議運理事会のセットを要求した、と報じられています。

 ここで一つ疑問なのは、14日(金)の閣議は朝、現行の菅改造内閣でやるとして、その後に内閣改造をしたとしたら、菅再改造内閣の官房長官はだれなのか? 朝の閣議決定の結果を仙谷由人・官房長官が衆・議運に伝えるにしても、自民党・公明党は参議院での問責決議に配慮して、議運理事会に出て来ないのではないか。あるいは、14日午前中は、陛下は歌会始の議(うたかいはじめのぎ)があるので、認証式などは午後になるので、認証式終了後の夜に議運理事会をセットするのか。開会中の議運理事会には、古川元久・官房副長官(政務・衆院)が陪席している事が多いのですが、やはり、天皇の国事行為(憲法第7条)の場合は、官房長官が出ないといけないというものなのか。ここの正副長官の基準が、浅学の私には分からないので、いずれ勉強したいのですが、週明けの17日(月)に内閣改造ということになると、28日(金)召集ということになってしまいます。ちなみに何度も説明していますが、総理の施政方針演説(所信表明演説)は、質問日の関係で、(月)ないしは(金)に開かれるのが通例となっています。というのは、(月)にやれば、(火)を質問通告日として、(水)(木)衆・本会議での各党代表質問、(木)(金)参・本会議での各党代表質問ということになるからです。(金)に演説すれば、(土)(日)を質問通告と答弁書きにあてればいいということになります。

 21日召集案を28日召集に先送りしておいて、24日に召集するというのはベストな案だと思います。やはり1月28日召集では、憲法60条の予算案の議決の30日ルールからして、最短で2月2日(水)夕方に予算審議スタート、3月1日(火)衆・予算委&本会議通過→参院送付だと、かなり窮屈で、現場の予算委理事や、国対幹部、閣僚、政務三役のストレスは大きいと思います。政権交代で、民主党が与党になってから、与党でイチバン大事なことはストレスに耐えることだと感じました。

 この辺で御幸日程(皇室日程)のため、14日(金)説と17日(月)説が混在しているのなら、まだいいのですが、ひょっとして、小沢一郎さんの強制起訴が近いという情報が官邸筋にあるのではないかと思います。

 そんな中、NHKの世論調査で内閣支持率が2%上がりました。支持率アップは8月以来ということで、私がつねづね書いている「国会閉会中は与党の支持率が上がる」という傾向が裏付けられました。もちろん、第177通常国会中の半年前後では、基本的には、野党第1党の自民党の支持率が上がり続けると考えるべきで、統一地方選にのぞむ人には覚悟が必要です。ただ、予算が成立すると、内閣ないしは与党の支持率は5%前後アップすることがあります。とはいえ、野党の自民党と公明党もあんまり抵抗野党でいくと、落とし穴に落ちる、というか、竹馬がこける可能性があると思います。とくに公明党の抵抗で、子ども手当法案(予算関連法案)が遅れると、突然、公明党支持層が離れていく可能性もあります。公明党現職地方議員は創価学会員以外の支持者を多く獲得しています。

 民主党は2011年1月13日(木)定期党大会で、統一地方選に勢いを付けますが、衆・政治倫理審査会の閉会中審査と小沢さんの強制起訴案件をのぞけば、とくだん仕事がないですから、13日の党大会終了と同時に一気に人事が動き出すと思われます。

 そこで、当選回数別の未入閣者リストを作ってみました。

 未入閣の民主党議員。勤続年数をベースにしたうえでの、当選回数別。おなじ当選回数では、連続当選者、そのなかでも、小選挙区当選回数が多い人を前に持ってくる感じで並べました。年齢・地方議員経験はまったく考慮せずにつくりました。

 ベースは、国政情報センター『国会議員要覧』平成22年8月版で、勤続年数は単純に6ヶ月足した数字を書きました。政治家の人生にかかわることなので、「未定稿」にしておきます。なにかあれば、コメント欄か、メール(miyazaki@wa2.so-net.ne.jp)にお寄せ下さい。

 【民主党・国民新党の当選回数・勤続年数別の未入閣者リスト】

 衆11回(30年4ヶ月) 中野寛成(ただし、三権の長に準ずる衆議院副議長経験あり)

 衆10回(27年7ヶ月) 横路孝弘(衆議院議長) 

 衆5回・参2回(24年1ヶ月) 山岡賢次

 参3回・衆3回(22年1ヶ月) 田中直紀

 衆7回(21年1ヶ月) 小平忠正、土肥隆一
 衆7回(20年6ヶ月) 鉢呂吉雄(他の7期連続当選組よりも勤続年数が短いのは、民主党推薦での北海道知事選立候補のためで、党への貢献度は高い、とされる)
 衆7回(20年1ヶ月) 古賀一成

 参2回・衆4回(20年8ヶ月) 前田武志

 参3回・衆2回(19年4ヶ月) 輿石東

 衆6回(17年8ヶ月) 藤村修、横光克彦
 衆6回(その他年数) 田中慶秋、池田元久
 
 参3回(15年8ヶ月) 小川勝也、、平田健二

 衆5回(14年5ヶ月) 中川正春、安住淳、渡辺周、近藤昭一、末松義規、古川元久、滝実、川内博史
 衆5回(13年9ヶ月) 国民新党・松下忠洋
 衆5回(その他年数) 筒井信隆、滝実、小林興起、東祥三
 衆5回(10年9ヶ月) 平岡秀夫(比例任期を自ら捨てて、山口2区補選に立候補し当選したことがあるため当選5回。他の同期当選=主に4回生より党への貢献度は高い、とされる)

 衆4回・参1回(12年8ヶ月) 小宮山洋子
 参3回(12年8ヶ月) 福山哲郎、櫻井充、郡司彰、小川敏夫

 参2回・衆3回(12年5ヶ月) 増子輝彦

 衆3回・参1回(12年4ヶ月) 奥村展三

 衆1回・参2回(11年6ヶ月) 斎藤勁

 衆4回(12年6ヶ月) 笹木竜三
 衆4回(12年) 吉田公一
 衆4回(10年9ヶ月) 多数=略

 参3回(11年5ヶ月) 羽田雄一郎(補選初当選のため勤続年数は短い)
 参3回(10年9ヶ月) 高橋千秋(補選初当選のため勤続年数は短い)

 ◇

 こういう風に並べてみると、菅総理もタイヘンだなあという感じです。マスコミ不信とは別に、以前からこの辺の新聞の筆の切れが悪かったのは、当選回数が多いということと閣僚がマッチするとは限らない。いろいろな表現方法があります。優秀な人もいます。そうでない名前も見受けられます。ただ、野党時代から民主党を見てきて、上の名前の3分の2以上は、第46回衆院選前にぜひ、一度は入閣して欲しい人です。

 以前、自民党結党45年目辺り(2000年)の第42回衆院選後の第2次森内閣が「滞貨一掃内閣」というのをやって、入閣待望組をどんどん入閣させて5ヶ月で中央省庁再編を迎えた事がありますが、あれによって、同じ清和会の小泉内閣の5年半のパワーにつながっていったと振り返ることができます。そう言う意味では、自民党清和会内閣が4代続いた「中興の祖」として森喜朗さんがいまだに影響力を持っているのは分かります。仮に1997年12月に新進党が解党していなければ、第42回衆院選で政権交代が実現し、日本はここまで衰退しなかったといまでもくやしく思います。その13年1ヶ月の昔年の恨み、新進党を突然死させた、小沢一郎(氏)を真綿で首を絞めるように(政治的な意味での)死の階段に追いやるメドができて、どっと疲れが出てきて、このところ、エントリーの更新が滞っていました。きょうも疲れたので、寝ます。上のリストに、各々の年齢(言い換えれば、政治生命の残り年数)を入れるとさらにリアルになりますが、疲れたので、やめときます。政務三役未経験者のリストもつくりたいところですが、民主党政権は、2013年通常国会まで続きますので、何が何でも今回入閣、政務三役入りして欲しい、という人は私はいません。来年辺りになったら、そういうデータもリストに入れていった方がいいでしょう。

 それとリストを作って気付いたこと。1996年の第41回衆院選初当選以降の人は、小選挙区しか闘っていないことになりますが、小選挙区での当選というのは、やはりマッチレースで相手(自民党候補)がありますから、当選回数だけでは見えてこないものがあります。5回連続小選挙区勝ち上がり組は素晴らしいですが、よくみると、元々民主党の幹部の地盤の中選挙区を受け継いだ人もいます。得票率は毎回60%を超えるテッパンも素晴らしいのですが、テッパンになって以降、自民党が本気で候補者を立ててこなかったように思える選挙区の勝ち上がりもいます。

 とはいえ、やはり議会政治は、まずは当選回数。すなわち有権者に「国会に行ってこい!」と信任を受けた回数が最優先です。まかり間違っても、当選1回生が政務三役をねらうようなことがあっては困ります。

 二大政党の先輩である、イギリスでも、政権交代直後は、野党時代の幹部が、与党大臣としてぎこちなく、実際には副大臣クラスが仕切っているケースはたびたびあるようです。いずれにしろ、主要ポストには、実力がある人が就けないと、これは国会が動きませんから、大丈夫です。ただ、今回の内閣改造は、民主党としては結党後初めて、「総選挙・参院選・代表選とは関係ない内閣改造」です。たとえば、自民党なら派閥の出番です。民主党も凌雲会で動きがあるようですが、派閥会長がつくった「リスト」からしか閣僚を選べなかった自民党時代とは大きく変わります。そこが魅力的な改造だし、また、二大政党デモクラシーでの先例となっていきます。内閣改造は総理のリーダーシップを高める上では、特効薬で、予算を組み上げて、これから答弁というタイミングは絶好のタイミングです。ただ、改造日程が13日午後から17日までと幅がある理由は私もよく分かりません。

 人事異動とは、政党政治の活力です。人事で活力をつけて、半年におよぶ第177通常国会の議論をじっくり楽しむために。そのためには人事ですが、菅総理におかれては、自信を持って思いっきりやってほしい。100%任せた!というだけです。

 ただ、反執行部系(小沢系)のベテランで最近少し発言が静かになっている人が見て取れます。さっきも書きますが、これに年齢、すなわち政界引退までのおおよその残り年数を入れると、かなりリアルになってきますが、そこはしょせん、人間が政治をやっているのですから、冷めた目も必要だと考えます。

【タイガーマスクは細川律夫さんでは?】

 ところで、1月4日に菅さんが記者会見で「最小不幸社会」を呼びかけ、孤児院育ちの「アニー」を演じた山尾志桜里衆院議員が5日に第1子(男の子)を出産しました。そして、ここ数日、全国で、「タイガーマスク現象」が起きて、全国の児童相談所や、児童養護施設(孤児院)に、ランドセルや、野菜、オカネなどが、「タイガーマスク」などの名前で届けられています。これは菅さんの最小不幸社会の呼びかけに応じて、「菅直人」をもじった「伊達直人(タイガーマスク)」を名乗る人が呼応してくれているのではないでしょうか。タイガーマスクを名乗る人ばかりではなく、「肝っ玉母さん 越谷の京塚昌子」という寄付者もいたようです。私はこの人の正体は何を隠そう、厚生労働大臣(厚労相)の細川律夫さん(埼玉3区)その人ではないかと勘ぐっています。


     

[画像](左)厚労大臣の細川律夫さん (右)「肝っ玉かあさん 越谷の京塚昌子」さんが施設長にあてた手紙(日本テレビさんnews every.より拝借)

 細川さんは当選7回生ですが、野党時代(当選6回生)のころ、トレンチコート姿で、国会から選挙区方面に地下鉄に乗る姿をよく見ました。代表選では、同期の桜として、年下の岡田克也さんの応援団の音頭取りをしてくれています。選挙は強いです。もともと埼玉3区では、自民党系の若い市長が衆院に進出するのではないか、と噂されていたんですが、市長選をしくじり、小選挙区は細川さんで盤石になりました。詳しくは分かりませんが、どうせ自民党のことですから、悪いことをしていたのでしょう。政権交代後も、当選4回生の厚生労働大臣、長妻昭さんを、7回生の副大臣として支えました。最近は、政治主導の新しいあり方に向けて、厚労省を軌道修正していて、政務三役会議に官僚が入る格好になるそうです。そんな細川さんの実直な姿もあって、タイガーマスク現象が起きているのではないでしょうか。

 細川さんは、11日の閣議後会見で「本当に温かい気持ちに感激している」「国としても懸命に取り組み、子供たちへの施策を充実させていく」と述べた、と報じられています。これに先立つ、1月7日の職員への新年のあいさつでは「仕事はしっかりやって、休むときは休んで」と語りかけました。ちなみに同期の桜の民主党幹事長、岡田克也さんも、昨年12月27日の職場の仕事納めで「有休をしっかりとって、メリハリある仕事と生活を」と呼びかけています。

 最小不幸社会の呼びかけに応じた善意だといえば、自民党の連中に「こじつけだ」と言われるかも知れません。公選法で、選挙区内への寄付は禁じられていますが、タイガーマスク現象に、所管大臣としていてもたってもいられず、「越谷の肝っ玉母さん 京塚昌子」を名乗って、細川大臣がランドセルを寄付したんだったら、ぜひそこは、国会閉会中ですし、おそらく今度の予算審議では、首相、財務相に次いで、答弁が多いのが厚労相でしょう。その前に今は心と時間に余裕があったということで、自民党さんにも、おおめにみてほしいと願います。

タイガーマスク:細川厚労相「うれしい」 施設の子に関心 - 毎日jp(毎日新聞)

漫画「タイガーマスク」の主人公・伊達直人を名乗った人物からのプレゼントが各地の児童養護施設などに贈られていることについて、細川律夫厚生労働相は11日の閣議後会見で「本当に温かい気持ちに感激している。一般の国民の皆さんも(施設で暮らす子供たちに)関心をもっていただくのはうれしい」と述べた。

 虐待や親の病気などの事情で児童養護施設や里親家庭で暮らす子供は全国で約4万人。少子化の中でも割合は増えており、大学進学率は一般家庭より低い。細川厚労相は「国としても懸命に取り組み、子供たちへの施策を充実させていく」と述べた。

ファイル:細川厚労相、職員に「有休消化を」 - 毎日jp(毎日新聞)

 細川律夫厚生労働相=似顔絵=は7日、職員への年頭あいさつで、「有給休暇の消化」を指示した。労働組合の調査では、厚労省職員の平均残業時間は月70時間を超え、全省庁平均(32.8時間)の倍以上。厚労相は「仕事はしっかりやって、休む時には休んで」と強調した。

 厚労相は、長時間残業や低い有給休暇取得率など職員の「働きすぎ」を指摘。「結婚記念日でも奥さんの誕生日でもいい。1年の初めに少なくとも5日ぐらいは休む日の指定を」と述べ、入省10年などの節目の年には1週間から10日間程度の長期休暇も勧めた。

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