【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

岡田・鉢呂国対、1年生議員を「国対委員長補佐」に起用へ 「412人国対」で衆参ねじれを突破せよ 

2011年01月04日 06時05分34秒 | 第177常会(2011年1月)大震災・3党合意

 うれしいニュースがありました。

 4日付日経新聞2面に「委員長補佐新設、新人活用へ 民主党、国対ポスト強化」という2段見出しの記事が載っています。

 これによると、第177通常国会から、民主党国会対策委員会(国対)は、「国対委員長補佐」を設けて、おもに衆院1年生(政権交代チルドレン)を起用するとのこと。国会の委員会の筆頭理事に1人ずつつけて、各省との法案協議や野党との折衝を担当するとのことです。

 記事中にはありませんが、国対委員長補佐には、衆院での法案通過に満足せず、参院の委員会の傍聴まで押しかけていって、嫌な顔をされても、参院での可決・成立までしっかりと見届けて欲しいですねね。

 実は政権交代後、法案成立率が100%の委員会があることに気付きました。財務省と内閣府金融庁を担当する「財金委員会」(衆・財務金融委員会、参・財政金融委員会)です。

 衆・財金委員会は第173臨時国会の「中小企業金融円滑化法(亀井リスケジュール法)」の採決で、強行採決第1号となり、政権交代に期待した多くの国民を失望させてしまいました。国対の指示で採決におよんだ玄葉光一郎さん(当時、現・政調会長・大臣)は、衆・本会議での「委員長解任決議案」の採決にじっと耐えました。同案は否決されましたが、与党とは耐えることだとつくづく思いました。このときの筆頭理事は、篠原孝さん(現・農水副大臣)です。

 篠原さんが「プレス民主号外(長野1区総支部)」で、「財金委員会提出法案100%成立のカギ」というコラムを書いています。


 「我が財務金融委員会だけは、順調に委員会を開き続け、第174国会に当初から提出された6本の法案すべてを成立させることが出来、法案成立率100%となりました」と自負した上で、その秘訣を披露しました。

 「私に対峙すべき野党の理事は、自民党筆頭理事の竹本直一氏で、我が母校の京都大学卒後、建設省より国会議員になられたかねてから親交のある方でした」「わざと邪魔して審議を延ばす戦術などはとらない大人物で、私の切実な要求を快く受けていただきました」。

 そのうえで篠原さんは「委員会の折衝のこつは、小ざかしい駆け引きや強硬な姿勢などではなく、信頼関係に他なりません」「予想される参議院の混乱解決のカギもこの信頼関係ではないかと思います」としています。

   
[写真]民主党の篠原孝さん、自民党の竹本直一氏

 篠原さんは「当初から提出された6本」すべてを成立させたとしていますが、「ただ、小規模共済を救済するための共済法の改正案が会期末になって急遽提出され、それが終盤ッ国会の乱れで成立しなかったのが心残りです」としています。心残りの共済法ですが、第176臨時国会で、補正予算より先に閣法第1号として成立したことはお伝えしたとおりです。衆・財金委筆頭理事のバトンを受け継いだ、古本伸一郎さん、参・財金委筆頭理事の大塚耕平さん、それぞれ財務政務官、金融担当副大臣として、しばらく答弁席から財金委を見ていて、また委員席に戻ったコンビが責任感を示しました。このほか、財金委ではすべての閣法が成立しています。そのうえ、自民党による卑劣な政権攻撃揚げ足取り法案である「財政再建責任法案」(後藤田正純・野党筆頭理事ら提出)は趣旨説明すら許さないパーフェクトぶり。このように委員会というのは、筆頭理事によってずいぶん変わってくるものだ、と最近思います。

   
[写真]古本伸一郎・衆院議員、大塚耕平・参院議員

 この財金委のスピード審議に驚いた1年生議員の間では、「古本さんというのはすごいらしい」「民社協会のエースで首相候補らしい」「岩手4区(小沢一郎さん)より愛知11区(古本伸一郎さん)の方がテッパンらしい」と噂になっているようです。政権交代チルドレンは地方議員・秘書出身者が少ないので、全国の選挙区事情を知る人は少ない傾向にあります。

 衆院の議場には参院議員傍聴席、参院の議場には衆院議員傍聴席があります。

 衆院本会議場では、昨夏引退した参院議員の南野知恵子(のおの・ちえこ)元法相(自民党清和会)をたびたび見かけました。厚労関係の法案の可決をみると、ぺこりと頭を下げて退席していくのですが、私は「さすがに人生のスタートに携わる助産師さん出身は違うなあ」と感じました。

 
[写真]昨夏まで自民党参院議員を務めた南野知恵子元法相

 ぜひ、国対委員長補佐には、役所との折衝もいいですが、参院(ないしは参院先議なら衆院)まで押しかけていって、筆頭理事どころか委員長(民主党ないしは自民党)に法案成立を直談判するぐらいの意気込みをみたいところです。岡田克也幹事長は、国対委員長補佐で法案を成立させた比例単独議員(いちもく会)を選挙区が空いているや四国ブロックなどの小選挙区総支部長をあてがったり、第23回参院選の院替え候補として、引退する一人区や組織内候補を見つけられない組織の代表となる参院総支部長にあてる考えをもっています。

 ちなみに、前述の篠原孝さんは、農水副大臣拝命に関して、同じプレス民主号外に次のように書いています。「私は55歳で政治家の仲間入りをしました。ある同僚に言わせると、渡部恒三さんに次いで捨て身で何でも自由に言える立場にあり、現にそうしているそうです。つまり、後の事は考えずに思い切り発言し、政治活動ができるということなのです」。まあ、こういう風に思いっきりやる人の方が結果を残すというのは、どんな世界(政治、スポーツ、会社経営、恋愛、新聞記者などなど)でも共通しますな。

 物事を最後まで見届けない人間の人生は、中途半端に終わります。早ければ1月21にも召集されると思われる第177通常国会は150日間を越えて、おそらく200日間を越える夏の終わりまでのロングラン国会になると予想しています。民主党国会議員はいろいろな名目で赤坂で飲み会をやっていますが、飲み会などやるな! 政界で生涯の友など絶対にできません。飲み会をすればするほど、東大法学部卒業生との差は広がる一方。だったら、一つの法案を、提出して、趣旨説明して、審議して、修正協議して、採決して、本会議で可決して、送付して、趣旨説明して、審議して、修正協議して、付帯決議つけて、採決して、本会議で可決・成立させて、天皇陛下に公布していただく(憲法7条)。そのためには篠原さんのように「京大卒・公共事業官庁の出身」というつながりも含めて野党議員との信頼関係をつくる。城山三郎さんの『官僚たちの夏』で、法案が通らずに通産官僚が泣きますが、『民主党政権交代チルドレンの夏』は、法案成立で与野党抱き合って泣いてくれ。初当選以来所属委員会を固定している日本共産党議員にも相談したらいいですよ。

 「412人内閣」なんて生意気だ!「412人国対」をつくれ! 


今後の政治日程1月4日版を更新しました

2011年01月04日 01時12分35秒 | その他

ことし最初の「今後の政治日程(下町の太陽プラス1先読み政治日程)」を更新しました。こちらも3年目の年に入りました。

どうぞよろしくお願いします。

下町の太陽プラス1先読み政治日程

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