[写真]民主党1年生議員の左から後藤祐一さん(神奈川16区)と岸本周平さん(和歌山1区)
(このエントリーの初投稿日は2011年6月16日)
後藤祐一さん、岸本周平さんの2人の民主党1年生衆院議員が、議員立法(閣法の民自公修正含む)の提案者として、参議院委員会で答弁しました。140人を超える政権交代チルドレンですが、そろそろ差がついてきたようです。大幅な延長国会になれば、議員立法のチャンスが増しますから、党内内輪の政調で吼えるんでなく、公の国会の委員会で、与野党合意で、法案作りをしたらどうでしょうか。
【2011年6月14日(火)参・東日本大震災復興特別委員会】
先のエントリーでも紹介したこの日の委員会ですが、衆院で民自公が修正した「東日本大震災からの復興基本法案」(177国会衆法13号)の修正者として、黄川田徹・特別委員長、自民党の加藤勝信さん、公明党の石田祝稔さん、民主党の後藤祐一さんら答弁者席に座りました。社民党の吉田忠智さんの質問で、内閣府に設けられる「復興庁」と、地方一括交付金(内閣府の地域自主戦略交付金)について後藤さんが答弁しました。
後藤さんは「内閣府復興庁」の構想について、「①被災地のためになる、②ワンストップでできる、③スピード感を持ってやる」の3条件つけました。そして、「二重行政にならないように」復興庁設置法案をつくっていきたいとし、設置法案への関与にも意気込みを示しました。後藤さんは経産省出身ですが、内閣府の構造改革特区担当大臣の事務局にいたことがありそうですから、”ごちゃ混ぜ”の内閣府のことにも詳しいのだと思います。マニフェストでは「地方一括交付金」で、内閣府の主管となり、なぜか「地域自主戦略交付金」に名前が変わった制度について、苦言を呈しながら次のように答弁しました。
「一括交付金的なおカネを、というご質問ですが、現に今、被災地(の自治体で)ものすごくたくさんの事業をやりたい。ところが、この事業は(国庫)補助事業になるのか、ならないのか(不明確だ)。こういったものが何百とあるわけです。これについて、補助金の拡充に関して、この委員会での午前中の審議でも菅総理、片山善博・総務大臣から前向きな答弁がありましたので、ぜひ2次補正予算案に入れて欲しいと思います」とちゃっかり、総理に予算要望。
そして、「23年度当初予算に入っている内閣府の地域自主戦略交付金というのがあるんですが、これが使いにくいんです。これじゃダメなんです、総理!
[画像]「これじゃダメなんです、総理」と言って、菅首相を振り向く、答弁席(演台)の後藤祐一さん。右は拡大写真、赤丸が後藤さんと菅首相。(参議院インターネット審議中継から)
と言って、答弁席から菅総理を振り向き総理を諫めると、委員会室から「オーッ!」というどよめきが挙がりました。そのうえで、「ぜひいろいろな交付金、いろいろな補助対象、補助率の自由度の高い交付金を与野党共同してつくっていただきますようお願いします」と締めくくると、「総理より良い答弁だ!」のヤジが飛びました。
【2011年6月14日(火)参・内閣委員会】
岸本周平さんは、「NPO促進法の改正案(177国会衆法12号)」の答弁で、参院委員会室に。ちょっとこの法案のことはあまり詳しくないので、岸本さんのブログからの引用を含めてお伝えします。
[画像]答弁席に座る左から逢坂誠二・総務政務官、玄葉光一郎・国家戦略大臣、荒井聰・衆院内閣委員長(元国家戦略大臣)、岸本周平・衆院議員(岸本さんのブログから)
岸本さんは「参議院の委員会室は、衆議院と違って、こじんまりとしています。答弁者もテーブル席に座っているので、答弁はその場でできます。一々、答弁席に歩いて行って答弁しなくても良いので、合理的ですね」、「採決も、衆議院では起立採決ですが、参議院は挙手による採決でした」との感想でした。私もこのエントリーの国会傍聴は両方ともネット傍聴ですが、衆院と参院を同時に聞いていると、ビミョーな疲れが出るんですよね。ぜひ、その衆参の違いを日本を前に進める方向に進めて欲しいものです。
岸本さんは、NPOへの優遇税制について、「NPOの認定基準は国税の減税につながる。だからといって、基準を不利にすることはあってはならない」と答弁。「私は(財務官僚時代に)に税務署長の経験もありますが、」とさりげなくアピールしながら、「自治体の条例に任せるのが妥当だ」としました。制度の悪用への懸念については、「公益法人と同じような監督権限」を都道府県庁に持たせるという考えを答弁しました。
岸本さんは、答弁を終えて、「自分が、国会議員として議員立法を手がけたことで、まさに、英語で言う“Lawmaker(立法府の議員)”になり得たと実感しました」と振り返っています。
【岡田パワーマネーが背中を押した若手が八面六臂の大活躍】
ところで、後藤さんは昨年6月の代表選で菅直人候補の推薦人に、岸本さんは、昨年9月の代表選で小沢一郎候補の推薦になっています。ところが、2人とも、当選前の総支部長時代に、副代表だった岡田克也さんからパワーマネーを注入され、元気モリモリと初当選してきた新人です。「融通が利かない」、「グループを持たない」、「友達がいない」と小沢グループ・鳩山グループに散々こき下ろされている岡田さんだけに、みなさん、意外に思うでしょう。
岡田さんには、第44回衆院選(2005年9月11日)の翌日に民主党代表を辞めて、常任幹事、副代表を経て、鳩山由紀夫代表の下、野党幹事長(2009年5月)に復帰するまでの3年半の「野党内野党」というすさまじく閑職だったころがありました。岡田さんは中曽根康弘さんのアドバイスに基づき、"kill the time"(時間を殺す)していました。といっても寝ていたわけではなく、日本を2周半して、衆院予算委で安倍晋三首相に「私も代表・幹事長時代は時間がなかったけれども」としながらも、「地方は疲弊しているんじゃなくて、死んでますよ!」と地方行脚のススメをしました。NPO(非政府組織)「民主党」の代表者を名乗り、インドネシア・バリ島の国際会議に私費ででかけ、自民党の環境大臣のはるか後方の席から見ながら、休憩中のロビーで、話しかけて人脈を作るといった時間を過ごしていました。
この全国行脚では、第44回衆院選で落選した浪人組を手厚く回っています。麻生太郎首相が2008年10月上旬に解散するそぶりをしながら、リーマン・ショックの景気対策を口実に「死んだふり続投」して、民主党浪人組は兵糧攻めでとても苦しくなった時期があります。この辺は当ブログでも散々書いていました。最近になって当ブログをお読みいただくようになった方は、2008年10月から2009年7月までのエントリーを目を通していただきたいと思います。
岡田さんは政治資金管理団体を一つしか持っていません。「岡田かつや後援会」だけで、それと民主党三重県第3区総支部の代表者をしています。岡田かつや後援会からは、2007年と2008年だけで、18人に900万円のパワーマネーを注入しています。そして、このうち、やむなく引退した佐藤謙一郎さんをのぞく、ほとんどが小選挙区で当選し、今の民主党政権の中心人物となっています。
岡田パワーマネーは、2007年は政治資金パーティのチケット購入が中心でした。2月22日に佐藤謙一郎さんの総支部から20万円のパーティー券を買いましたが、佐藤さんは引退し、現在「配達員」をされているようです。そして、同年3月7日には、生方幸夫さんの「実行委員会」から10万円、5月1日には城島光力さんの実行委員会から10万円、10月9日には、樽床伸二さんの政治団体から20万円、10月30日には山花郁夫さんの実行委員会から10万円、11月5日には中川治さんの総支部から10万円、11月28日には海江田万里さんの実行委員会から10万円、12月11日には辻恵さんの政治団体から10万円のパーティー券を買うことで、パワーマネーを注入しています。この人はみな、このころみな浪人中の苦しい時期でした。
2008年には、第44回総選挙初出馬落選組を中心に、パワーマネーが増えます。そして、麻生解散先送り兵糧攻めの中で、現在の1期生議員にもパワーマネーを注入しました。1月9日付で玉木雄一郎さんの後援会に30万円、1月10日付で、岡田康裕さんの後援会に100万円を寄付、1月10日に和田隆志さんの総支部に100万円を寄付しました。そして、自らの比例の議席を捨てて、山口2区補欠選挙に打って出た東大法学部同級生の平岡秀夫さんには、3月10日付で後援会に20万円。軍資金としてはちょっと少ない気もしますが、岡田さんなりの考えがあったのでしょう。5月3日には荒井聰さん(知事選出馬のため、浪人中)の後援会に10万円、6月3日には、石井登志郎さんの総支部に10万円、6月25日には後藤祐一さんの後援会に10万円、8月20日には、江端貴子さんの出版記念パーティー(著者名は「えばたたかこ」名義)に10万円。
そして、麻生解散先送り兵糧攻めの12月5日付一気に10人にパワーマネーを注入しました。これは森本和義さんの後援会に50万円、緒方林太郎さんの後援会に50万円、稲富修二さんの後援会に50万円、阪口直人さんの後援会に50万円、玉木雄一郎さんの総支部に20万円、元職・本多平直さんの後援会に30万円、後藤祐一さんの後援会に40万円、谷田川元さんの後援会に30万円、岸本周平さんの総支部に50万円、そして、三重5区の藤田大助さんの後援会に100万円となっています。この2008年12月には玉木雄一郎さんが自身のブログで「兵糧攻めが知れ渡ってきたからでしょうか、白菜やネギの現物支給をいただくことが増えました」として、「現物支給大歓迎です」と記しています。そのタイミング、岡田パワーマネーが投入されたわけです。そうでなければ、こういった人材が息切れして日の目をみなかったかもしれません。全国を2周半まわっていたので、麻生解散先送り兵糧攻めの中で、議員会館の自室から電話で総支部長から窮乏状況その他をヒアリングし、岡田さんの判断で金額を決め、伝票を切り、パワーマネーを注入しました。この2008年12月5日の姿こそ、岡田さんが本来持つやさしさです。
さらに、2009年になると、1月8日に、岡田康裕さんの後援会に100万円を寄付。続いて、1月8日に橘秀徳さんの後援会からパーティー券を10万円、2月23日に城島光力さんの後援会からパーティ券を20万円、3月2日に谷田川元さんの「実行委員会」から10万円のパーティー券を、3月23日には山花郁夫さんの後援会からパーティー券を10万円買います。
さらに地方議員では、「新政みえ」の三谷哲央・県会議長(当時)が2007年8月28日に6万円、同じく「新政みえ」の稲垣昭義・県議が4万円のパーティー券を買ってもらっています。地方議員では、県議とはいえ、政治資金パーティーを開催するのはなかなか難しいのですが、私としては20年近いお付き合いになる稲垣先輩がパーティーを開催することができ、岡田さんに4万円買ってもらっていることを心から誇りに思います。
こうなると、「岡田パワーマネー」は引退の佐藤さんを除くと、当確100%。そして、小選挙区も難攻不落の三重5区の藤田大助さんを除いて、全勝です。樽床さんが代表選に出馬し、荒井さんは国家戦略相、海江田さんは経財相・経産相になりました。平岡さん、和田さん、山花さんは政務三役になり、城島さんは政調会長代理です。三谷さん、稲垣さんも4月の統一地方選は優秀な成績で当選回数を重ねました。
その中で、きょう、法案提出者として、参議院に出かけて答弁した、衆院議員というか、Law-makerとして1年生議員の中で一歩リードした、岸本周平さん、後藤祐一さんはともに岡田さんからパワーマネーを注入して元気モリモリ初当選した人材です。政治は嫉妬の世界。ここに名前が出て来ない民主党議員は面白くないでしょう。でも、一つ聞きたい。その人は、パーティーをやるときに、岡田さんに「買ってください」と営業に行ったんでしょうか。たぶん、「岡田さんは融通が利かないケチだ」という小沢グループの情報を信じて、初めから営業に行っていないんでしょう。
世の中、ため息ばかりですが、こうやって、正念場国会で、力のある政治家が見えてきました。1年に1回総理を変えれば、人材不足になるのは当たり前です。後藤さん、岸本さんに限らず、玉木さん、樽床さん、海江田さんなどまだまだ有望株がいます。そして、どうやら岡田さんには、「一定のメドがついた段階で責任を引き継ぐ若い世代」の人材が見えているフシがあります。今は党本部幹事長ですから、全員野球ということですが、人材育成という面でも岡田さんが適任者だと考えます。パワーマネーを注入されたうち、純然たる二世議員は山花郁夫・現外務政務官(山花貞男・元日本社会党委員長の息子、山花秀雄元同党副委員長の孫)だけで、後は、石井登志郎さん(石井一さんの甥で養子だが選挙区は神戸市ではなく、芦屋市・西宮市)、谷田川元さん(よど号人質の山村新治郎さんのいとこ)ぐらいです。非世襲議員の首相だと、海部俊樹さん、村山富市さん、森喜朗さん(お父さんは中選挙区内の現役町長だった)、菅直人さんと、4代とも政権内の政府外議員や官僚を使いこなせていない印象がありますが、その辺は、父親の首相政務秘書官を務めた福田康夫さん、外務大臣秘書官を務めた安倍晋三さんら「家業」の人たちには劣るでしょう。でも、ここ10年ぐらいは、非世襲議員が首相をやらないと日本は復活できません。ぜひ、この岡田パワーマネーで元気モリモリ集団に期待したいところです。
うんざりしないで、1歩1歩前に進んでいきましょう。