宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

やっと通常国会に青空が広がる、税制、子ども手当→特例公債法案」が来週にもメド、100日間?延長へ

2011年06月18日 22時24分06秒 | 第177常会(2011年1月)大震災・3党合意

【2011年6月17日(金) 参院本会議】

 来週の6月22日(水)が会期末となっていますので、週5日間たっぷり使えたのは今週がとりあえずは、最後となりました。

 17日(金)の参院本会議では、6本の議員立法(衆法=衆議院議員提出法案)が大量に可決・成立しました。

 自民党の二階俊博さんら和歌山県選出などの議員が取り組んできた、「津波対策推進法」(177衆14号)が成立しました。「3・11」以前に提出されていたので、遅きに失しました。この背景には、2007年の参院選でのねじれ国会、2009年政権交代後の与党慣れしない民主党と野党慣れしない自民党の国会運営が“宿題”を積み重ねてきたことがあります。

 このほか、衆院・文部科学委員会として、今国会2本目の議員立法となる「スポーツ基本法」(衆11)が、森喜朗さんに加えて、参院側では田村亮子さんら幅広い年齢・層の議員力の結集で成立しました。法案が大渋滞している、厚生労働委員会も3本の議員立法を1日で成立させました。お疲れ様です。「障害者の虐待防止とその養護者の支援法」(衆16)、「母体保護法改正案」(衆17)、そして、「社会保険病院存続の法律」(衆15)が成立しました。

 評価したいのは「社会保険病院の存続法」。これは今まで超党派のつなぎ法(時限立法)から、社会保険病院と厚生年金病院を存続させることを恒久法にしたものです。私は以前から自民党政権の末期症状のひとつとして、「特措法政治(時限立法国会)の限界」を挙げたことがあります。これが野党・民主党による、インド洋からの海上自衛隊の一時撤退、ガソリン値下げ(暫定税率の一時失効)を実現させ、政権交代につながりました。だから、政権交代の原点に戻るのなら、なるべく時限立法「特措法」「特例法」「つなぎ法」は避けて、恒久法案を出すべきです。

 さて、今週の国会では、6月30日に「つなぎ法」が切れる、税制改正法案が国税・地方税とも、衆院を通過しました。民自公が合意してつくった法案ですので、参院でも来週成立するでしょう。これにより、政府・与党執行部の第177通常国会の見場(みば)は大きく良くなりました。まるで丘に登って青空をながめるような気分です。そして、4月29日の3党合意に基づき、民自公の政調会長が子ども手当の見直しをしていて、合意次第、「特例公債法案(平成23年度の赤字国債発行法案)」も民自公3党で、衆参とも通過するメドが立ちます。

 審議日程からすると、税制改正法案(国、地方)、子どもの手当の新法案、特例公債法案とも22日(水)には間にあわないないでしょう。ですから会期延長です。22日(水)に衆参本会議で、第177通常国会の延長が議決される運びになるでしょう。通常国会は、国会法12条の第2項で、1回しか延長できないため、延長幅が高度な政治判断で決まります。私は、おそらく子ども手当つなぎ法が9月30日((金)で切れるので、そこまでのちょうど「100日間の延長」ということになると予測しています。民自公3党の政調会長は「オレを信頼していないのか」と怒るかもしれませんが、危機管理上も9月30日(金)を会期末にすべきです。そして、この間に、第2次補正予算案(復旧テコ入れ予算)、第3次補正予算案(復興スタート予算)が提出されることになりそうです。国会会期の延長は国会法12条に続く13条で「衆院の優越」がありますので、波乱なく、政府・民主党執行部の判断した通りの延長幅になります。

 6月1日(水)提出、6月2日(木)の衆院での内閣不信任決議案をめぐる政局の波風はいまだに衆参与野党に影響しています。1日夜、民主党の小沢グループの71人の議員がホテルニューオータニに集まっている頃、解散総選挙のポスターのキャッチフレーズを考えたり、いつでも引き払えるように議員宿舎掃除をした議員もいました。そうした「天気晴朗なれど波高し」の国会で、こうやって議員立法が6本も通るというのは心強い限りです。また、参議院はがんばっていると考えます。

 17日の参院本会議では、閣法でも、大震災の被災者の相続期間にかかる民法特例法(衆18号)、刑法改正案「サイバー犯罪防止法」(閣42号)も成立しました。いわゆる「六法」の一つである、民法および刑法の関連法の改正は、今国会で2回目以上になるのではないでしょうか。一つの会期で、民法や刑事関連法が2回以上、改正案が成立したというのは、おそらく極めて異例だと考えます。スピードです。このほか、「北朝鮮制裁の特定船舶入港禁止法」の政府の延長措置に関する承認も国土交通委員会の報告通り、本会議で議決されました。

 さて、延長国会では自民党に攻め手がないように感じます。予算委・決算委の「集中審議」は面白いのですが、これは法案とは関係ありません。塩崎恭久さんがやっている原子力災害の国会での調査委員会の設置法案でもいいでしょうし、自民党の知恵を結集して、法案を出して欲しいです。公明党も「東北復興銀行」設置法案を他党の協力を得て、出したらいいのではないでしょうか。

 私は国会の青空を見て、100日間延長でもどんと来い、楽しみが増えて良かったと感じています。まあ、ことしは夏休みにどこかに出かける気もしませんから、良かったです。さあいよいよ、国会の巻き返しが始まります。