【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

[きょうの国会]後半国会最大の対決法案共謀罪法案が審議入り、7次一括法案、肥料価格調査法案が衆・委員会で可決、種子法改正案が参・委員会で審議入り

2017年04月06日 18時51分41秒 | 第193回通常国会(2017年1月から6月まで)学校法人森友・加計学園国会

[画像]国会審議にのぞむ、左から、民進党の福田昭夫前栃木県知事、岡田克也前副総理、玄葉光一郎前外相、2017年4月6日、衆議院インターネット審議中継からスクリーンショット。

 後半国会最大の対決法案となったいわゆる共謀罪法案が審議入り。スケジュール的には修正協議なしの政府原案が連休明けに成立することはかたく、今後の動向が注目されます。

●委員会の法案の審査順を決めるのは委員長、参議院法務委員会(公明党)は2法案のうち1法案だけ審議入り

 複数の法案がある場合、国会の審査順はどうするか? これは衆参とも先例があります。

 参議院委員会先例録=紙の50頁参照=

 「53 審査案件が数個あるときは、議題とする順序は委員長が定める。委員会において審査すべき案件が数個あるときは、議題とする順序は委員長が定める

 とあり、国会では提出順に関係なく、委員長が付託された法案を審議する順番を決めることができます。「この場合において、委員長は理事会に諮ってその順序を定めた例が多い」と参の方の委員会先例には、ていねいな付け加えもあります。

 公明党幹部が委員長を務める参議院法務委員会。下述する、衆から送られた2法案のうち、1法案だけ審議入りしました。もう1法案とで審議日数を食うことになります。こういうことは再考の府・参ではよくあることですが、今国会では異例。勘ぐることはありませんが、衆参、与野党のかけひきは続いています。 

【衆議院本会議 平成29年2017年4月6日(木)】

 「国際開発協会IDAの第18次増資のため0・3兆円出資する、加盟法改正案」(193閣法13号)が、全会一致で可決しました。参へ送付。施行日は「公布の日」。

●いわゆる共謀罪法案が審議入り

 この後、いわゆる共謀罪法案が審議入りしました。「組織犯罪処罰法改正案」(193閣法64号)。審議入りにあたっての野次はさほど大きくありませんでした。が、代表質問で民進党の逢坂誠二さんが「私は怒りに震えている」とし、「本会議が開催されないよう願ったが、開催された以上、法案の内容の質問をする」と語りました。

【参議院法務委員会 平成29年2017年4月6日(木)】 

 魚住裕一郎委員長「裁判所職員定員法改正案」(193閣法4号)のみ議題にしました。金田法相の趣旨説明で審議入りしました。

 上述の通り、衆を全会一致で通過した司法修習生給付金復活法案の審議入りは遅れましたが、施行日は11月なので問題ないでしょう。

【衆議院地方創生に関する特別委員会 平成29年2017年4月6日(木)】

●7次一括法案が衆委通過

 「地方分権第7次一括法案(193閣法36号)」は、わずか3時間の審議で可決しました。共反対、自公民など賛成多数。内容は、認定こども園を県から政令指定都市に移管するなど小ぶりな内容。7次で打ち止めかもしれません。

【衆議院東日本大震災復興特別委員会 平成29年2017年4月6日(木)】

●岡田克也、玄葉光一郎のいわゆる兄弟が登場

 「福島復興再生特別措置法改正案」(193閣法19号)に、政界の兄弟とされる、岡田克也前副総理と玄葉光一郎前外相が迫りました。

 岡田さんは法律の第1条に「これまで原子力政策を推進してきたことに伴う国の社会的な責任を踏まえて行われるべき」とあると指摘しながらも、今次改正法案で「帰還困難区域の除染を東電に免責させる根拠が法案に不明確だ」と指摘しました。玄葉さんは「私が国務大臣(兼)政調会長だったときのように、野党にも事前に相談すべきだ」と指摘しました。

 これに先立ち、自民党の根本匠元復興相は「自民党の6次提言を踏まえた法律案だ」と説明しました。委員会は第一委員会室で開かれ、冒頭、今村復興相がおとといの記者会見での発言を謝罪しました。

【衆議院農林水産委員会 平成29年2017年4月6日(木)】

●肥料の価格調査などの法案が可決

 「農業競争力強化支援法案」(193閣法21号)。まず、社長や東大教授ら4名の参考人質疑がありました。午後は質疑で、その後、質疑が終局しました。討論では民進党の岸本周平さんが「政府の関与が高まることを危惧する」と語りました。採決の結果、民共反対、自公賛成多数で可決しました。

 この法案の附則第2条は肥料などの価格調査は省が1年以内に公表しなければならない、という強い書きぶりで、資材業者としてのJAを糾弾しています。

 この委員会には、今後も、収入保険の法律案など農政抜本改革の法案が続きますが、法案作成段階から小泉進次郎・自民党農政部会長が話題を集めながら原案を形成したためか、与党ペースとなっています。

【衆議院総務委員会 平成29年2017年4月6日(木)】

 「電波法及び電気事業法改正案」(193閣法27号)が3時間程度の質疑で採決され、共反対、自公民などの賛成多数で可決すべし、と決まりました。

【参議院厚生労働委員会】

 「臨床研究法案」(190閣法56号)が全会一致で可決しました。あす成立。医師(兼)弁護士(兼)教授という開業医の賜物のような古川利治さん(埼玉県=定数3=自民党)も質問しました。

【参議院環境委員会】

 「原子炉等規制法改正案」(193閣法17号)がていねいな審議のうえ、共反対、自公民の賛成多数で可決すべし、と決まりました。あすの本会議で可決・成立。もともと議員立法である原子力規制委員会の法律に、IAEAの勧告を反映するなどした改正法案。

【参議院外交防衛委員会】

 「日米ACSAの承認案」(192条約2号)、「日豪ACSAの承認案」(193条約1号)、「日英ACSAの承認案」(193条約2号)の野党の質問が始まりました。あがなえないですが、なんとか野党に気を吐いてほしい所。ちなみに、委員会から離れますが、今週話題になっている、北朝鮮の敵基地先制攻撃は個別的自衛権だと整理されているところですね。 

【参議院農林水産委員会】

 「農業機械促進法廃止法案」(193閣法22号衆修正)、「種子法廃止法案」(193閣法22号)が、山本農相や、修正発議者の民進党の岸本周平さんから趣旨説明されました。質疑は後日。散会。

【参議院国土交通委員会】

●民進議員会長がさしかえで委員となり、森友追及

 まず、一般質疑として国土の整備・交通政策について、質疑がありました。差し替えで委員になった、民進党の小川敏夫会長が「森友学園問題に関して、国交省航空局の残土の掘り方」について、質疑しました。以前は二大政党の議員会長は通常国会に1回程度しか質問しませんでしたが、自民党単独過半数の2016年体制で、小川敏夫さんの奮闘が目立っています

 この後、「海上輸送法及び船員法改正案」(193閣法7号)が趣旨説明され、散会しました。

【参議院経済産業委員会・環境委員会連合審査会】

 「化審法改正案」(193閣法52号参先議)を議論。

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(C)2017年、宮崎信行。

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