【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

[法律の執行状況]改悪労働者派遣法施行1年半で平均月給2200円減る、製造業ですら1400円減、主犯は「パソナ」ではなく「経団連」だったか?

2017年04月17日 22時50分41秒 | 法律の執行状況

[画像]2015年9月8日の参議院厚生労働委員会、参議院インターネット審議中継からスクリーンショット。

 上の画像が印象的な、平成27年2015年9月8日委員会強行採決、9月30日施行の改悪労働者派遣法の記事(

涙する派遣社員を自民党議員が「早く追い出せ!」「騒ぐな!」 労働者派遣法改悪法案の傍聴席【追記有】

)へのアクセス数が増えてきました。

 そこで、その後、どうなったか、法律の執行状況を調べてみました。

 材料は、厚労省の毎月勤労統計(毎勤)で、平成27年2015年8月確報値と、平成29年2017年1月確報値。まあ季節調整ができませんが、関心が高い今、すぐに記事にしたいという思いを共有していただきたい。

 まず先に説明したいのは、パートタイム労働率は30・59%から30・85%へ。これをみて「たいして変わらない」と直感的に思う読者も多いでしょうが、私・宮崎信行や、あるいは共産党が「正社員ゼロ法」と呼んでいたように、改悪労働者派遣法は、「生涯ハケンで一生搾取」の法案。パートタイム労働者を正社員同然に働かせて、賃金は抑える法律です。

 気になる月給ですが、働く人の平均では、

 27万1919円から26万9790円(ともに名目季節調整せず)へ。

 わずか1年5カ月で、額面で月2200円下がっています。

 業種別では、飲食サービス業が、12・6万円から12・2万円へとかなり下がっています。1人あたり総労働時間は月106時間から99時間に減りました。ところが働く人の総数は、444万人から474万人に「激増」したので、「もっと残業したいができない」「製造業で働く夫の月給が上がらないので、新しく飲食業で仕事を得たから、給料の適正な水準はあまり知らない」という人もいるかも。


 ものづくり日本で、イチバンお堅い製造業。ここも、31万6830円から31万5277円へ。総労働時間は156・2時間から146・2時間へ。こちらは飲食業と違い、働く人は僅かながら減っており、「パートが正社員なみに働いて、給料はパート水準のまま」ではないかとの疑いが生じます。

 金融緩和で活気がある、建設業では、まず働く人の総数が282・0万人から294・2万人へと増えています。ああいえばこう言う、ですが、この急増は現場での転落死(法律用語では「墜落死」)が増える可能性が高いでしょう。お給料ですが、35・7万円から33・2万円と激減しており、繰り返しますが、余裕のない現場で、じわじわと事故が増えることが心配です。

 医療福祉は好調。月給は25・6万円から26・2万円に増えました。働く人の総数は650・9万人から668・9万人へ増え、総労働時間は月136・3時間から127・8時間へと「適正化」の流れ。

 これだけでまとめると、数字の派手さとは別に、

 製造業で働く人数が微減なのに、月給が1600円減ったのが、象徴的であり、改悪労働者派遣法の狙いだったのでしょう。

 法案審議過程で、民進党の部会で証言していたのも、製造業事務職の有期雇用半年間をずっと更新し続けていた、「うらやましい人」なのに、リーマンショックで雇い止めにあった女性でした。

 私は、2改悪を阻止する、このブログ内での2年1カ月間の闘争(2013年8月から2015年9月まで)で、後半戦からは、「パソナ」の名前を挙げて糾弾してきました。ただ、今見ると、輸出製造業の社長ばかりが役員を占める、経団連が主犯だったのかもしれません。

このエントリーの本文記事は以上です。

(C)2017年、宮崎信行。

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[きょうの国会]玄葉光一郎委員長のもと、政権交代時の決算が是認さる

2017年04月17日 14時42分03秒 | 第193回通常国会(2017年1月から6月まで)学校法人森友・加計学園国会

 シリア大統領政権のしわざと考えてほぼ間違いない、サリン化学兵器使用という非人道的行為に対して、アメリカがトマホークでピンポイント攻撃して報復しましたが、岸田文雄外相は、国連憲章51条の個別的自衛権または集団的自衛権行使の報告が国連になされていないと、答弁しました。日本自衛隊も、正統性無きアメリカの戦争に巻き込まれそうです。

【衆議院決算行政監視委員会 平成29年2017年4月17日(月)】

 玄葉光一郎委員長のもと、平成24年度ないし25年度決算の審議が議了しました。次の本会議に上程し、是認。野田内閣から安倍内閣へと政権交代の決算審査は、玄葉前外相がしあげました。いつも後始末は、岡田系の先生がしているような気がします。

 採決では、平成24年度決算と平成25年度決算は、民共の反対、自公維と、無所属の中村喜四郎さんの賛成多数で是認されました。

 同年度の国有財産増減現在額計算書は、民共維反対、自公と中村喜四郎さんの賛成多数で是認されました。

 同年度の国有財産無償貸し付け状況計算書は、民維反対、自公共と中村喜四郎さんの賛成多数で是認されました。共産党は例年賛成しており、おそらく国立大学法人関係者の支持者が多いからだと思います。

 この後、衆議院先議である、平成27年度予備費使用総調書の「その1」、「その2」が麻生財務大臣から趣旨説明されました。質疑は後日。麻生大臣は「前半は1791億円で消費税の軽減税率の円滑な導入に使った」とし「後半は8億円で選挙人名簿システムの更新に使った」 と語りました。私は「8億円」と聞こえましたが聞き間違いかもしれません。軽減税率の導入になんでそんなにお金がかかったのでしょうか。政権交代後の、年3500億円しか予備費を組まない手法は、議題の翌年(28年)度には、熊本地震の復旧予備費で7000億円の増額補正を求められましたから、規模が小さ過ぎるという問題もある、と私は考えています。

 この後、平成26年度決算と27年度決算の4分科会の主査からの報告がありました。

 これに先立つ、24・25年度決算のしめくくり質疑では、上述のアメリカのシリア攻撃や、TOCパレルモ条約共謀罪法案などが審議されました。久しぶりのテレビ入りでしたが、森友国有地の話はあまりなく、「こういうことがあるんだな」という国民の諦めとともにフェードアウトしていくかもしれません。 

【参議院決算委員会】

 27年度決算の省庁別審査3日目で、国土交通省、復興庁、警察庁。

【参議院本会議】

 先週の衆院日程の1日空転で、定例日ながらあまり開かれない、月曜日に開かれました。

 議題は、「原賠機構法を改正して積立金を設ける法案」(193閣法9号)の趣旨説明と代表質問でした。

 維新の石井章さんは「維新の法案は原発事業者5兆円の有限責任制としている。今までのように無限責任だと、国が援助して、事業者も刑事罰に問われない現状が続くのではないか」とただしました。

 伊達議長は質疑終局後、座りながら「本日はこれにて」と語り、立ち上がりながら「散会します」と宣言しました。

【参議院議院運営委員会】

 和やかに開かれました。

このエントリーの本文記事は以上です。
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