【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

[きょうの国会]名古屋議定書など7条約承認案を衆委可決、参本で臨床研究法、改正原子炉等規制法が成立

2017年04月07日 17時16分06秒 | 第193回通常国会(2017年1月から6月まで)学校法人森友・加計学園国会

[写真]4月半ばの国会議事堂、おととし撮影。

 連休入りまで残り3週となり、先議の院、衆議院の各常任委員会では法案審議が活発化。参考人質疑をした当日に採決する、与党の強気の運営が目立っています。森友もあり不正常だった国交委も正常化。対決案件が通過した衆外務委も穏健な雰囲気に。法務委は紛糾しており開かれませんでした。

 参では2本の法律が成立しました。

【参議院本会議 平成29年2017年4月7日(金)】

●原子炉等規制法の初の抜本改正法が成立


 「臨床研究法」(190閣法56号)が投票総数232、賛成232、反対0の全会一致で可決し、成立しました。施行は来年4月以前。

 「改正原子炉等規制法」(193閣法17号)は投票総数234、賛成212、反対22の賛成多数で可決し、成立しました。3年以内に施行。

●やまゆり園事件を受けた参議院先議の改正法案で代表質問

 これに先立ち、法案の趣旨説明と代表質問がありました。参議院先議の政府提出法案です。

 「精神保健福祉法改正案」(193閣法34号参先議)について、塩崎厚労相は「相模原での障害者施設殺傷事件や、精神保健指定医の不祥事をふまえた改正だ」と説明しました。代表質問に立った、自民党の島崎大さんは「まず、この場を借りて、私の地元である神奈川県のやまゆり事件の被害者やご遺族に、哀悼の意を表したい」とし、措置入院者の情報共有などの法案に加えて差別のない環境整備をうったえました。

【衆議院国土交通委員会 平成29年2017年4月7日(金)】

 「住宅セーフティーネット法案」(193閣法8号)。まず参考人質疑。その後、法案審査があり、採決となりました。慣例では参考人質疑をした当日には採決をしないことになっていますが、今国会は与党有利のためこのケースが増えています。共産党が修正案を出しましたが否決。政府原案は共産党を含めた全会一致で可決しました。附帯決議は本村賢太郎さんが朗読し、全会一致で採択されました。

 この後、これも異例ですが、もう1本、法案が審議入りました。

 「都市緑地法及び都市公園法改正案」(193閣法24号)を石井大臣が趣旨説明。質疑は12日(水)午前9時から。この法案も新自由主義的な要素が含まれています。国交委は3週間前後不正常でしたが、正常化しました。

【衆議院外務委員会】

●アメリカ2017年4月6日=現地時間=シリアトマホーク攻撃で外相「安保理理事国として」


 前回に質疑を終局していた、7承認案が採決されました。別々に順々と採決し、結局すべて全会一致でした。この後、一般質疑となりましたが、日本時間の午前11時前(アメリカ東部時間の前夜8時前)に、アメリカが巡洋艦(デストロイヤー)からトマホーク巡航ミサイルをシリアに60発弱撃ち込んだとのニュースが入ってきました。民進党の小熊慎司さんが聞き、岸田文雄外相は国連安保理非常任理事国として情報を収集したいとしました。

●名古屋議定書は承認すべしと可決

 きょう承認すべしと決まった7条約は次の通り。

 「1994年のガットの日本部分の修正及び訂正の確認書の承認案」(193条約4号)
 「北太平洋漁業委員会NPAFCが日本に本部を置くことによる法人格などの日本国との協定の承認案」(193条約5号)
 「遠洋漁業を防止する寄港地の措置に関するNPAFCと日本の協定の承認案」(193条約6号)
 「名古屋議定書、生物の多様性に関する名古屋議定書の承認案」(193条約7号)
 「カルタヘナ議定書、バイオセーフティーに関するカルタヘナ協定の補足議定書の承認案」(193条約8号)
 「万国郵便連合IPU条約の追加議定書の承認案」(193条約9号)
 「郵便送金業務の約定の承認案」(193条約10号)。 

 次の本会議で衆を通過し、参へ。 

  質疑終了後に二国間租税条約が審議入り。これで、日印原子力協定、日イスラエルなどの投資協定、社会保障協定は後回しになりました。

  きょう審議入りした、二国間租税協定5条約は次の通り。

 「日スロベニア租税協定」(193条約15号)
 「日ベルギー租税協定」(193条約16号)
 「日ラトビア租税協定」(193条約17号)
 「日オーストリア租税協定」(193条約18号)
 「日バハマ租税協定の改正議定書」(193条約19号) 。

 岸田外相が提案理由説明をして散会。次回の委員会で審査されます。

【衆議院内閣委員会】

 一般質疑では、この委員会の緒方林太郎理事が今国会目立つ、公文書管理法・情報公開法に反した文書管理や各省規定について。議運の筆頭理事である泉健太さんは教育勅語など政局マターを質問しました。

 この後、「医療ビッグデータ法案」(193閣法53号)が審議入り。答弁にあたる、石原伸晃・社会保障と税の一体改革担当大臣が提案理由を説明し、「匿名加工医療情報の取扱いについて規定を定める」と語りました。次回は12日(水)9時から。

【衆議院文部科学委員会】

 問題山積のため、一般質疑で終わりました。閣法は「専門職大学」の法案のほか、複数の議員立法が予想されます。

【衆議院経済産業委員会】

 「原子炉廃炉等積立金法案」(193閣法7号)の参考人質疑がありました。

【衆議院環境委員会】

 「土壌汚染防止法改正案」(193閣法43号)

【衆議院厚生労働委員会】

 「地域包括ケアシステムのための介護保険法包括改正案」(193閣法15号)と「それに対する民進党対案」(193衆法7号及び8号)。質疑は3巡目に入っています。おもに、新3割負担をめぐって、現在の2割負担の人と、現在も改正後も大多数の1割負担の人の関係で、2割負担の確認の仕方などの技術的な問題。また、そもそも論として、地域包括ケアシステムとはなんぞや、という質疑も出ています。次回は、火曜日午前9時から。

【参議院議院運営委員会】

 非公開で山本順三委員長のもと、開かれました。 

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(C)2017年、宮崎信行。

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衆議院法務委員会不正常に、古川禎久・与党筆頭理事が机を叩いて辞意を表明して退室し再び戻る、野党反発

2017年04月07日 05時41分19秒 | 第193回通常国会(2017年1月から6月まで)学校法人森友・加計学園国会

 衆議院法務委員会の運営をめぐり不正常な状態になったことが分かりました。7日付の朝日新聞1面トップ記事や、読売、毎日など各紙の報道によると、平成29年2017年4月6日(木)の理事懇談会で、自民党側の古川禎久筆頭理事(2003年初当選)が、日程について、鈴木淳司委員長(同)に対して、異論を唱えて、机を叩き、辞意を表明して、退室。その後、再び部屋に戻り、辞意を撤回した、というようなことがあったようです。

 このあおりで、民法債権編改正法案(189閣法63号及び64号)の採決を野党が警戒していた、7日(金)の委員会は、委員会そのものが開かれない事態となりました。

 自民党の竹下亘国会対策委員長は野党に謝罪しましたが、野党側は古川筆頭理事が辞任しない限り、今後の日程協議に応じないかまえともされています。野党・民進党の筆頭理事は逢坂誠二さん。

 民法債権編改正案は今国会で民進党が質問をしていないこともあり、来週11日(火)も採決どころか、委員会自体が開催できない可能性が出てきました。

 同委員会では、「いわゆる共謀罪法案」(193閣法64号)が本会議審議が終わったため、付託。性犯罪の重罰化が主眼の刑法改正案(193閣法47号)が審議入りを待つ状態となっています。

 3法案とも今国会(6月18日まで)で成立させるためには、連休前に衆院から参院へそのうち2法案以上送付していないと間に合わないと考えられ、今回の不正常事態は、与党・自民党にとってはかなり大きな乱気流となりました。

 衆議院法務委員会では、おととしも、改正刑事訴訟法の審議をめぐって、当時の柴山昌彦筆頭理事が、国対委員長の指示で更迭されたことがあります。当時の野党筆頭理事は山尾志桜里さんで、翌年の党役員人事での抜擢につながりました。 

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