【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

メイ首相、庶民院を解散し、2017年6月8日(木)EU離脱総選挙断行 仮に労働党が勝つなら8年ぶりの政権交代【再追記】

2017年04月18日 19時32分54秒 | 英国の事例

 テリーザ・メイ首相(保守党党首)は、2017年4月18日(火)の朝11時過ぎ(=グリニッジ標準時=日本時刻同日夜7時過ぎ)、首相官邸で記者会見し、

 庶民院を解散し、2017年6月8日(木)に総選挙を行う、と電撃的に発表しました。

 英国の任期は5年間。2011年任期固定法があるので、それとの兼ね合いはどうか、今後、私の方で、報道なども参考に、そのことを調べてみます。

 解散総選挙は、今世紀になってから、2001年6月7日、20015年5月5日、2010年5月6日、2015年5月7日、2017年6月8日(木)にそれぞれ施行、ということになります。

 このように、5月か6月にしているように、通常国会の召集は10月なので、仮に選挙結果が過半数を獲得した政党がない、ハング・パーラメント(宙ぶらりん議会)となっても、政権づくりには夏の猶予期間があるため、混乱は一定の範囲内に収まるでしょう。選挙結果に限らず、メイさんが首相であり、場合によっては2・3位連合も可能。労働党が過半数を握れば、コービンネクスト首相(労働党首)がリアル首相になり、8年ぶりの政権交代となりますが、党内最左派でベテランながら閣僚経験がないコービンさんが首相になることには、同党員も現実味がないと認めており、それを含めてメイ首相が解散時期を選んだかもしれません。

 総選挙の頻度は減りましたが、英国では、2014年にスコットランド独立住民投票、2015年に総選挙、2016年にEU離脱投票、2017年に総選挙と、国のかたちを決める選挙が続く「政治の季節」となっています。保守党主流派から見ると、各々、勝ち、勝ち、負け・・・と来ています。2015年総選挙は、スコットランド民族独立党に労働党が食われ、意外にも保守党が単独過半数を獲得し、自由民主党との連立を解消したうえでの、第2次キャメロン内閣となりましたが、前年のスコットランド、翌年のEUで、選挙対策が後手にまわりデービッド・キャメロンさんは49歳の若さで首相と庶民院議員の立場を追われました。

 キャメロン政権発足で、初入閣でしかも内相のポストを射止めたメイさんは、EU離脱に反対しながらも慎重に行動。派手な行動に出た、人気のジョンソン議員(現在は外相)と、ジョンソン議員を立てて置いて政権担当能力から首相の座をねらったコーブ法相(当時)らが相次いで脱落し、メイ内相が首相となりました。

 英国政治は、二大政党以外に、スコットランド民族独立党(SNP)が議席を多く得ており、庶民院ではミニ政党ながら、欧州議会の議席がある英国独立党(UKIP) 、2年前まで連立与党だった野党・自由民主党をふくめて、注目の選挙戦となります。ただ、単純小選挙区制ですので、6月8日(木)、日本時間では、6月9日(金)の昼前後に、大勢が見えて、それからが勝負になるのでは。いずれにせよ、歴史が刻まれることになります。

 英国庶民院では、今現在(午前11時台)は、財務委員会だけが開かれているようです。

【追記 午後8時半】

 スカイニュースが生放送中。

Sky News - Live

【追記終わり】

【再追記 日本時間の19日午前6時】

 メイ首相の官邸前の演説、YouTubeでは保守党本部のチャンネルで公開。官邸のチャンネルでは公開されていません、使い分けが興味深いですね。6分強にまとまっています。

Theresa May: Statement from Downing Street 18th April 2017

 庶民院本会議は現地午後10時過ぎても開催中ですが、解散とは別件のようです。

【再追記終わり】

 このエントリー記事の本文は以上です。 


[きょうの国会]衆議院本会議は週をまたいで冷静になって介護保険法改正案通過、農林水産委員会は農地バンク法改正案が審議入りで、農業保険法案は後回し

2017年04月18日 17時25分09秒 | 第193回通常国会(2017年1月から6月まで)学校法人森友・加計学園国会

【衆議院本会議 平成29年2017年4月18日(火)】

 先週の1日間空転時に、二大政党国対委員長が合意していた、介護保険法改正案の週をまたいだ審議がありました。

 「地域包括ケアシステムのための介護保険法改正案」(193閣法15号)。それと、私は先週、委員会段階で廃案となった、という誤ったことを書いてしまいましたが、「介護保険法案の民進党対案」(193衆法7・8号)も「否決すべし」との厚生労働委員長報告がありました。討論のすえ、介護保険法改正案は賛成多数で可決し、参議院に送られました。

 「金融商品取引法(金商法)改正案」(193閣法37号)は全会一致で可決し、参へ。

 この後、「平成24年度決算」「平成25年度決算」「平成24年度国有財産増減及び現在額総計算書」「平成25年度同」「平成24年度国有財産無償貸し付け等現在額総計算書」「平成25年度同」が玄葉光一郎・決算行政監視委員長から報告され、承認。決算は先議の院がないため、これで審査がフィニッシュになりました。

 これに先立ち、3月17日に亡くなった、白石徹議員に対する追悼演説がありました。隣席で、同期、同じ派閥だった、工藤彰三さんが「中小企業の跡継ぎの地位に満足せず、衆議院議員や政務官として国政に尽力した」と持ち上げました。

【衆議院農林水産委員会】

 「土地改良法などを改正する農地バンク法改正案」(193閣法28号)が審議入りしました。収入保険を創設する「農業保険法案」は後回しになりました。 

【衆議院安全保障委員会】

 「防衛省設置法及び財政法等改正案」(193閣法26号)が趣旨説明され、質疑は21日(金)午前9時からすることになりました。日豪ACSA日英ACSAの国内実施条項や、古くなった装備品の友好国への移転を可能とする財政法改正条項など。

【参議院外交防衛委員会】

 名古屋議定書など多国間条約が大量7本衆から送られてきましたが、きょうは、「1994年のガット協定の修正及び訂正の議定書」(193条約4号)、「万国郵便連合IPU条約の改定議定書」(193条約9号)、「郵便送金業務の約定」(193条約10号)の3本が審議入りしました。名古屋議定書やカルタヘナ条約改定は後回しになりました。ちなみに、「約定」を岸田外相は「やくじょう」と呼んでいますが、衆でも参でも「やくてい」と言う国会議員が見受けられました、どうでもいいことですが。

【衆議院総務委員会】

 マイナンバー法の不名誉な形での改正となった「地方公共団体情報システム機構法改正などのマイナンバー法改正案」(193閣法45号)は共反対、自公民維など賛成多数で可決しました。採決に先立ち、民進党の奥野総一郎さんが「付則に、機構の情報公開を義務付ける規定を入れる」とした修正案を提出。修正案に限っては共産党も賛成しました。

【衆議院環境委員会】

 「種の保存法改正案」(193閣法33号)が審議入りしました。本会議では11日(火)に代表質問をしていました。

【衆議院消費者問題に関する特別委員会】

 「国民生活センター法改正案」(193閣法39号)を起立採決し、起立総員の全会一致で政府原案通り可決しました。

【参議院内閣委員会】

 「地方分権第7次一括法案」(193閣法36号)が自公民維賛成多数、共産党と希望の会の反対少数で「可決すべし」と決まりました。

【参議院総務委員会】

 「電波法及び電気通信事業法改正案」(193閣法7号)の趣旨が説明され、質疑は後日することにして、閉会(散会)しました。

【参議院法務委員会】

 「裁判所法を改正して司法修習生の給費制を復活させる法案」(193閣法5号)が全会一致で「可決すべし」と決まりました。

【参議院国土交通委員会】

 「住宅セーフティーネット法案」(193閣法8号)が全会一致で「可決すべし」と決まりました。民進党で代表と同じ派閥なのに倫理委員長をつとめる長浜博行さんが付帯決議案を朗読しました。

このエントリーの本文記事は以上です。
(C)2017年、宮崎信行。

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