【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

岸田内閣初の大臣辞任翌日の衆議院本会議で首相「後藤さんが後任です」発言に質問通告なし各党質問に首相「様々なご意見」でアドリブ能力ゼロ、野田佳彦「安倍さん勝ちっぱなしはないでしょう」

2022年10月25日 21時05分52秒 | 第210回臨時国会 黄金の2年間 統一教会
[写真]野田佳彦さん、3年前の2019年、衆議院議員会館内で宮崎信行撮影。

 前夜の山際大志郎さんが経済再生・コロナ担当相を辞任したことで、参議院内閣委員会が流会となりました。衆議院側の混乱は、本会議での首相発言とそれに対する各党質問と首相のまとめの答弁のはこび。首相は「後藤茂之さんを後任にする」と異例の本会議発表をしましたが、答弁は「政府一丸となって」と全く質問に答えず、アドリブ能力が著しく欠けていました。

【衆議院本会議 きょう令和4年2022年10月25日(火)】

 「感染症法改正案」(210閣法5号)「それに対する立・維対案」(210衆法5号及び210衆法6号)が審議入りしました。立憲民主党は早稲田ゆきネクスト厚生労働相が趣旨説明・答弁。2期で63歳ですが、鎌倉・神奈川4区は山本朋広さんが「マザームーンにカーネーションをプレゼント」して被弾し、浅尾慶一郎さんが自民党参議院議員になったのでしばらく選挙は優勢かもしれません。厚労は「旅館業法改正案」(210閣法6号)もあるので審議日程はパンパン。
 
 午前10時からの与野党国対委員長会談=写真は宮崎信行撮影=で安住淳さんの提案で、おそらく憲政史上初の総理の発言とそれに対する各党質問が議題に追加されました。

 首相は本会議で「山際大臣の辞任で統一教会の被害者救済と経済対策と補正予算案のとりまとめが遅れることをお詫びする」とし「後藤茂之さんを後任として、経済対策をとりまとめる」と人事を衆議院で発表しました。

 本会議に登壇した逢坂誠二・立憲民主党代表代行は「えー、みなさん、統一教会は日本人に贖罪を求めて、献金をさせている」とし、8月10日の改造で首相が閣僚候補に自己申告を求めたのに山際さんが続投したのは「総理は山際大臣に騙されたのか」と問いました。

 日本維新の会の金村龍那さんは質問は少なかったのですが「このタイミングしかなかったと山際さんが言ったのはどういう意味か」としました。

 国民民主党の浅野聡さんは「一度の予算委員会終了後まもなく、山際前大臣は辞任の意向を示しました。これにより、本日午前中に予定されていた総務委員会、農林水産委員会、国土交通委員会などが全て一時止まるなど、国会審議に甚大な影響が発生をしました。さらにこの本会議中においても、先ほど、裁判官訴追委員に後藤茂之議員が指名されたばかりでありその直後、岸田総理からこの後任に示したという発言がございましたが、これもまた立法府に対して大きな影響を与えるものであります。そもそも、山際前大臣は国会召集以前より旧統一教会との関係が指摘されていた中で、今回の顛末となったわけですから任命責任者たる岸田総理の見通しの甘さ、判断の遅さにも責任があると言わざるを得ません。猛省を求めます」と語りました。共産党は塩川鉄也さんが発言しました。

 これらの「質問」に対して、岸田首相は「各党から様々なご意見をいただきました。私の任命責任を重く受け止めております。ご意見を受け止め政策に遅滞が生じないよう政府一丸となって、国政の運営にしっかりと取り組むことで職責を果たしてまいります」との決意表明で、何ひとつ答弁しませんでした。あまりにもアドリブ能力に欠けています。安倍晋三首相は代表質問の「再質問」でも、官房副長官らの助けを借りつつ、自分で原稿を見ずに発言していました。

 きょうの本会議では冒頭、故安倍晋三元議員に対する追悼演説があり、野田佳彦さんが登壇しました。先週からこの日程が出ていたため、多くの東京近辺の意識高い系の高校生グループが自主的に一般傍聴に訪れたようです。

 野田さんの演説は、あまり初めて知る事実は少なかったのですが、平成24年12月の皇居での親任式で、安倍さんから「お疲れさまでした。野田さんは安定感がありましたよ。あのねじれ国会でよく頑張り抜きましたね。自分は5年で返り咲きました。あなたにも、いずれそういう日がやって来ますよ」と声をかけられたと明かしました。また、平成29年1月の政府四演説後に、首相公邸で2人で皇室典範特例法について話したとしました。野田さんは「安倍さん勝ちっぱなしはないでしょう」と語りました。日本国民の行き過ぎた民主党たたきで二大政党制が壊れ、自民党が9連勝となれば、首相を物理的に取り除こうという動きが出るのは道理で、民主主義の敗北は田舎でのんびり暮らす人を中心とした日本国民1億人全員が背負うべきだと私は考えます。

 今週の木・金は本会議は立たず、次回の本会議は、早くても来週火曜日以降になります。

●参議院本会議の予定
 28日(金)に首相からの説明と質疑をする方向。

【衆議院国土交通委員会 同日】
 先週金曜日に開催されず、きょう火曜日に開催されました。大臣から「円安をいかした地域の稼ぐ力をつけたい」「円安の資材高に対応する」との所信的あいさつがあり、「港湾法改正案」(210閣法14号)の審議のお願いがありました。次回は28日(金)9時。

【衆議院総務委員会 同日】
【衆議院農林水産委員会 同日】

 定例日のきょう開かれ、大臣の所信的あいさつがありました。次回はともに27日(木)9時からで、大臣所信に対する一般質疑。

【衆議院議院運営委員会 同日】
 本会議で暫時休憩があったので2ラウンド開催。午前中は松野博一官房長官が出席して、山際大臣の辞任で発言しました。

【参議院第1種常任委員会 同日】
 大臣の所信的あいさつ。
●参議院財政金融委員会だけは衆側と同様に開かれませんでした。鈴木俊一財務大臣兼金融担当大臣の所信的あいさつは、あすの衆が初めてになります。「マネーロンダリング対策の国内実施法案」(未提出)を審議することになります。

●参議院内閣委員会は取り止めになりました。山際大臣のせいで、「人事院勧告実施法案」(210閣法1号及び210閣法2号)が2日間以上遅れてしまいました。衆先議なので遅れを取り戻せるかもしれません。

●参議院国土交通委員会は、蓮舫委員長が白ジャケット黒インナーで議事をとり、大臣の所信的あいさつがありました。

●参議院経済産業委員会は西村康稔経産相に加えて、河野太郎国務大臣が公正取引委員会の事務を担当する大臣だとして「取り締まりを強化する」とし、フリーランス保護法案提出の動きはこの委員会では言及せずに、あいさつをしました。

●あすの予定
 衆議院の水曜日を定例日とする委員会で大臣所信に対する一般質疑。野党は、葉梨康弘法相、寺田稔総務相の政治とカネと井出庸生文部科学副大臣の統一教会問題を追及するかまえ。寺田さんの件は総務審議官が辞職した案件と重なっています。


[写真]野田佳彦さん、3年前の2019年、衆議院議員会館内で宮崎信行撮影。

 以上です。


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