【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

[きょうの国会]籠池理事長衆参証人喚問で驚くべき証言続出今後の炎上確実な情勢に、文科法案(奨学金、定数)は順調なペース、小泉法案(JA県中央会対策)が審議入り

2017年03月23日 18時20分32秒 | 第193回通常国会(2017年1月から6月まで)学校法人森友・加計学園国会

 驚くほどいろいろなことがあった一日でしたので、あえて簡潔明瞭にします。

【参議院予算委員会 平成29年2017年3月23日(木)】
【衆議院予算委員会 平成29年2017年3月23日(木)】

 学校法人森友学園への国有地払い下げや大阪府庁の私学認可などについて、籠池康博さんの証人喚問がありました。参は平成29年度予算案の審議として、衆は予算の実施状況の調査として呼びました。

 籠池さんは「学校法人森友学園瑞穂の国記念小学院」の開業が絶望的になったため、「17億円から18億円ほどの負債を負う。大変なことになったな」と語りました。建設費を回収していない「藤原工業」が土地を仮差押えしたことも確認されました。

 校舎建設費の見積書を、国交省に提出分、府庁に提出分など3種類あると指摘されていることについては一貫して「刑事訴追されるかもしれないので発言しない」としました。当然ですし、経済事案ですから、くれぶれも国会での審議が最優先であることをすべての公務員に理解してほしいところです。

 塚本幼稚園の講演会で、安倍昭恵・首相夫人から人払いされて2人で会い、「安倍晋三からです」と言われて現金100万円を受け取ったとしました。

 首相夫人付の、経済産業省出身のたにさえこさんに、籠池理事長が「定期借地権の買い戻し特約を、介護施設の規制緩和で可能となった50年にしてもらえないか」と問い合わせ、後日、できないとファクスで回答が来たとしました。たに職員が近畿財務局などに問い合わせをした可能性が浮上しました。経産省主導安倍官邸についても、なんらかの広がりが出るかもしれません。

 府庁に出した書類に、愛知県内の学校法人との連係を強調したことの正当性については、「JR東海の葛西会長(葛西敬之さん)から生徒を入れちゃいたい、というリップサービスをしてもらい本気にしてしまった」とし、愛知県内の学校法人の経営者である葛西さんとの関係を示しました。安倍首相応援団で、来年度予算案で1・5兆円の融資(30年間据え置き)を受けるJR東海の最高指導者と籠池氏がなぜ知り合いなのかは不明なままで、徹底的な追及を今後期待したいところです。

 まだまだありますが、とりあえずここまで。

【衆議院本会議 平成29年2017年3月23日(木)】

 第193回国会は63日目となり、今国会最も多い7法案が衆議院を通過。一般法案の審議が本格化しました。

 「津波対策推進法5年延長法案」(193衆法6号)は全会一致で可決し、参議院に送られました。

 「臨床研究法案」(190閣法56号)は、提出から10か月たって採決され、全会一致で可決し、参送付。

 「原子炉等規制法などの改正法案」(193閣法17号)は、共反対、自公民維など賛成多数で可決し、参へ。

 「放送法にもとづくNHK平成29年予算承認案」は全会一致で承認。

 「給付型奨学金法案(独立行政法人日本学生支援機構法改正案)」(193閣法2号)は全会一致で可決し、参へ。年度内成立は確実。

 「認可外保育所の災害共済のためのtoto独立行政法人日本スポーツ振興センター法改正案」(193衆法9号)が全会一致で可決。

 「関税定率法改正案」(193閣法12号)も全会一致で可決し、参へ。

 「日米ACSA(物品役務相互流通協定)の承認案」(192条約2号)、「日豪ACSA承認案」(193条約1号)、「日英ACSA」(193条約2号)は民共反対、自公維賛成多数で承認されました。参に送られますが、今国会での承認が確定しました。この案件では討論が行われ、民進党は稲田防衛相の辞任を要求。自民党の佐々木紀さんは「条約が重要広範議案になったのは初めてなのに、一部野党は政争に関する質疑を中心にすえた」と批判しました。政局質問は別として、ACSAへの大きな抵抗が野党になかったのは残念です。

 この後、趣旨説明と代表質問。

 「農業競争力強化法案(小泉法案)」(193閣法21号)が審議入り。各党が質疑しました。

【衆議院農林水産委員会 平成29年2017年3月23日(木)】

 上述の通り、小泉法案が衆・本会議で審議入りしましたが、その後、審議していた閣法2本が可決しました。

 「農業機械化促進法改正案」(193閣法22号)は、自公民維が修正案を出して、採決の結果、賛成多数で「修正すべし」と決まりました。

 「種子法廃止法案」(192閣法26号)は、民共など反対、自公など賛成多数で可決しました。2つの法案で与野党の処理のしかたが異なり、嵐の気配を醸しだしました。種子法について質疑では「稲の奨励品種の4割は各県の開発だ」と県庁の試験場の実績への評価はありましたが、法律を廃止したとしても民間の参入に大きな影響は無さそうです。

【参議院文教科学委員会 平成29年2017年3月23日(木)】

 今世紀初頭に最も売れていた人気女性ダンス歌手グループ「SPEED」の代表格だった歌手の今井絵理子参議院議員(自民党、全国比例、昨夏初当選)も質問しました。2月22日の調査会で発言していますが、委員会では初めての質問のようです。

[画像]質問する今井絵理子・自民党参議院議員、2017年3月23日、参議院インターネット審議中継からスクリーンショット。

 「義務教育職員定数標準法改正案」(193閣法14号)は全会一致で可決しました。採決前に共産党が修正案を出しましたが、政府原案を共産党も含めた全員が支持しました。

【衆議院憲法審査会 平成29年2017年3月23日(木)】

 定例木曜日の開催で、先週に続き、今国会2回目。前回の参政権と国会議員の任期延長の緊急事態条項の関する自由討議を受けて、今週は、参考人質疑をしました。弁護士からは「災害対策基本法(の105条以降などで)に災害緊急事態の布告で対応できる」として国会議員の任期延長は要らないと断言。自民党の中谷元さんが「法律の準用はなるべく避けるべきだ」として憲法改正を主張しました。次回の開催は未定のまま、散会しました。

【参議院外交防衛委員会 平成29年2017年3月23日(木)】

 「在外公館職員給与法改正案」(193閣法20号)が趣旨説明され、審議入りしました。

【参議院財政金融委員会 平成29年2017年3月23日(木)】

 「所得税法改正など平成29年度税制改正法案」(193閣法6号)の質疑が続きました。

【参議院厚生労働委員会 平成29年2017年3月23日(木)】

 「雇用保険法改正案」(193閣法3号)が質疑され、次回も続けることになりました。日切れ指定の他の法案、例えば介護保険法改正案の年度内成立は絶望的と思われます。 

このエントリーの本文記事は以上です。
(C)2017年、宮崎信行。

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