ニュースサイト宮崎信行の国会傍聴記

元日本経済新聞記者の政治ジャーナリスト宮崎信行が衆参両院と提出予定法案を網羅して書いています。業界内で圧倒的ナンバー1。

第190回国会提出の「TPP対策赤字補てん法案」は9割を新マルキンで牛豚とも法制化

2015年11月21日 13時28分06秒 | 第190回通常国会(2016年前半)

 先週10日既報の「TPP対策の国内牛肉農家の赤字補てん法案」が提出されることが確実になりました。

 牛肉農家のみならず、豚肉農家も含めて、行政指導の「新・マルキン」を恒久法にする法案。

 自民党政府が来週決定する「TPP対策大綱」で、国内の牛肉、豚肉農家の赤字を補てんする「新・マルキン(肉用牛肥育経営安定特別対策事業」を法制化し、赤字補てん割合を現行の8割から9割に引き上げて法制化します。

 新・マルキンはもうネーミングセンスは、明らかに農水省のそれであり、猫の目農政が続くことになります。ただ、法制化は大きな一歩です。ことし1月15日の日豪EPAの発効で、国内産の牛肉・豚肉が激安となっており、国政府による赤字補てんは当然だと私は考えます。一部に「10割」という声もあるようですが、私は「9割」だと考えます。

 民主党内には、TPPの国内翻訳が出ない状態で、TPP対策大綱がまとまることに大きな抵抗が出ています。

 衆議院農林水産委員会は、岸本周平ネクスト農相が筆頭発議者となった民主党単独提出の「農業者戸別所得法案」など合計6法案が継続審議(閉会中審査)として年を越します。民主党の法案攻勢が、行政指導猫の目農政を恒久法農政への方針転換させる一助となっているのかもしれません。

 ただ、予算書を読むと、TPP条約との兼ね合いで整理が必要となりそうです。まずは、名前を分かりやすくすること。民主政治の第一歩です。それができていないから、農水省に入ってから若手官僚が自主的に農業研修をするようになるんです。君子を本を務む、本立ちて道生ず。がんばれ、若手農水官僚!

 新マルキン法制化法案は、TPP特別委員会(未設置)で審議されるかもしれません。

 以下は、10日既報の当ブログの記事です。

[当ブログ内から引用はじめ]

TPPで「農業輸出品の補助金廃止」へ 「牛肉農家の赤字補てん」の恒久法案が2016年通常国会提出か

 TPP条約=大筋合意=の第2章第23条に「農業輸出品の補助金の廃止」が入っていることが、筆者(宮崎信行)の精査で分かりました。

 畜産輸出補助金を廃止し、国内牛肉農家の「赤字を補てんする」法案が2016年通常国会に提出されるかもしれません。

 これはきのう9日のNHK報道を受けて、筆者・宮崎信行が、TPP条約案、平成27年度一般会計予算、法律を精査して、分析したものです。

 TPP条約の第2章第23条は、農業の輸出にかかる補助金の廃止を、12か国に求めています。

 条約(案)の英語版によると、「Article 2:23 Agiricultural Export Subsidies」という第2章第23条には、

 「1.The Parities share the objective of the multilateral elimination of export subsidies for agricultural goods(後略) 」とあります。

 仮に翻訳すると、加盟国は農産物の輸出補助金を廃止することを多国間(マルチラテラル)で共有する、という感じです。

 そして、平成27年度2015年度の日本政府の一般会計予算書には、農水省の「牛肉など関税財源国産畜産物食農連携強化対策費」が710億円計上されています。この補助金は、「ALIC(エーリック)独立行政法人農畜産業振興機構」が付けています。この独法は、畜産物だけでなく、砂糖、野菜の補助金も交付しています。

 これは現在予算措置で根拠法がないようで、報道によると、「牛肉農家の赤字補てんを恒久化する法律案」を作成し、豚肉農家も対象にするかどうか検討するということです。

  おそらく、ALICが所管する畜産物価格安定法の、農相が定める「安定価格」を維持するための「交付金(補助金)」を、国内流通に限るかたちの方向性になると考えられます。

[引用おわり]

このエントリー記事の本文は以上です。

(C)宮崎信行 Nobuyuki Miyazaki 
(http://miyazakinobuyuki.net/)

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