【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

「国立大学法人法改正案」採決は先送りも質疑終局宣言、「官報発行法案」で閣法すべて審議入り、参議院憲法審査会は辻元清美会長代理

2023年11月15日 15時21分59秒 | 第212回秋の臨時国会 2023年秋
[写真]冬の国会議事堂、9年前の2014年、宮崎信行撮影。

 4カ月の夏休みからあけた第212回臨時国会は、世論は沸騰しつつも方向感なく、早いもので26日目となりました。筆者も早稲田政経卒ながら高卒の両親が機械販売で成功したため反知性主義がトランプ当選・日本学術会議問題でデフレ下に噴出しましたが、そのうねりの中で、国立大学法人法改正案が採決直前となっています。この法案はさすがにまずいと思います。

●参議院本会議は水曜日10時が定例日ですが、きょうは開催されませんでした。

【衆議院文部科学委員会 きょう令和5年2023年11月15日(水)】
  「国立大学法人法改正案」(212閣法10号)は、採決は先送りされましたが、田野瀬太道委員長が「質疑終局」を宣言し、あさって17日(金)9時半から委員会を開くことを宣言して散会しました。私が知る限り修正協議は始まっていないと思われ、与党は政府原案通りの採決を提案するとみられます。あすの参議院の文教科学委はこの法案そのものは議題になりません。

 気になるのは、田野瀬委員長は私立・大和大学、西大和学園高校の創設者である元衆議院議員の子どもであり、どちらも世襲ということになります。本人が希望したのでしょうが、政治においては適材適所といえないでしょう。

 きょうは、野党の対政府質疑1巡目から始まりました。立憲民主党の筆頭理事の柚木道義さんは冒頭から採決反対を明言。森山浩行さんは「卓越大学にしてあげるから文科省の言うことを聞けという法案だ」と述べました。盛山正仁大臣は博士号を持っていますが「博士号をとってもいいことあるのか、落選したときのために司法試験を受けた方がいいと言われた」と日本のエリート(政策決定者の意味)にはびこる反知性主義をのぞかせました。

 宮本岳志は、橋本行革の委員から政治にめざめた有馬朗人元東大総長が「国立大学法人化はだまされた」と生前に反省していたことを紹介しました。物理の学者で俳人でもあった有馬さんは、森喜朗総裁の「人たらし」で拘束式時代に、比例単独1位で当選。直後に文部科学大臣として入閣しました。しかし、閣外に出てから6年の任期中は、「俳人」の肩書で新聞投稿をするなど意気消沈していた印象でした。が、「だまされた」ではすまない、というのが現役の教員の本心でしょう。

【衆・内閣委員会】
 「官報の発行に関する法律案」(212閣法8号及び212閣法9号)が自見はなこ大臣から趣旨説明されました。自見大臣は「明治16年の創刊以来、紙の印刷物として定着してきた」とし「官報の発行について必要な事項を定める法律案だ」としました。そして「内閣総理大臣が発行し、法律の公布や官報の掲載について必要な事項を定める」とし紙でなく「自動公衆送信で行うこととする」を本則としました。閣法9号は、国立印刷局法、鉄道抵当法、内閣府設置法、復興庁設置法などの「紙を前提とする」条項を改めるものだとしました。

 次回は17日(金)9時から。これで今国会提出の閣法はすべて先議の院の委員会で審議入りしました。筆者調べでは、ことし「閣法による新法」はこの1法(案)だけとなりそうです。

【衆・国土交通大臣】
 一般質疑でした。大臣所信に対する一般質疑が先週1巡しており、なぜ2巡目があったのか分かりませんが、2025年大阪・関西万博に関しては経済産業、内閣が所管だからか質問はなく、地元の話が多かったようです。

【参議院憲法審査会】
 今国会第1回目の開催となりました。中曽根弘文会長は、辻元清美会長代理をはじめて選びました。参議院法制局長が「合区に関して」説明し、それに対する質疑を委員会の自由討議があわせてなされました。この間、特定枠、合区とも最高裁判所で「合憲」判決が出ていました。

【参・地方創生・デジタル特別委員会】
 河野太郎、自見はなこ両大臣の所信に対する質疑。参議院では「特別委員会」は主に水曜日の本会議後に開催されます。
【参・東日本大震災復興特別委員会】
 土屋品子大臣が所信的あいさつ。
【参・災害対策特別委員会】
 松村祥史・災害対策相が所信的あいさつ。
【参・情報監視審査会】
 非公開で開かれました。

 以上です。


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