【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

植田総裁は自ら辞任すべきだと思う、極度の円安是正のために「利上げ」焦る、日米金利差は「方向性の違い」と珍答弁

2024年08月23日 18時31分36秒 | 閉会中審査
[写真]首相官邸の雑草を駆除する人たち、きょう午後1時、宮崎信行撮影。

 人類史上初めて、量的金融緩和を続けているのに、利上げをした日本銀行の植田総裁は、その後初めての閉会中審査にのぞみました。筆者も散会前の30分ほどですが、直接傍聴しました。

【衆議院財務金融委員会 きょう令和6年2024年8月23日(金)】
【参議院財政金融委員会 同日】


 極端な円安を神田財務官(先月末退任)が為替介入をしてやや円高に戻した後に、植田総裁が利上げをしたことで、ボラティリティー(変動性)が高まり株の狼狽売りと円キャリー取引解消で、日経平均が史上最大の乱高下を繰り返したことについて、鈴木財務大臣と植田さんへの質疑がありました。

 植田さんは、金融政策決定会合にはかった理由を「為替や物価の影響を見極めた」としました。筆者としては、たしかにあの為替変動では気が気でないのは当然だし、同情します。そのうえで、日米金利差があるのは「方向性の違いだ」と答弁しました。人類史上初めて、バーナンキ議長が量的金融緩和をした際は、出口で「テーパリング」と呼ばれる月850億ドルから、100億ドルずつ減らして、ゼロにする手順表を示す「市場との対話」をしました。この間、アメリカにネガティブな統計が出ると、株が上がることがありました。これは、出口の手順表が1会合分延びることへの期待でしたが、そのような上昇分は数日程度で解消したでしょう。バーナンキはこの人類初の「着陸」に成功しノーベル賞を受賞しました。バーナンキが、福井日銀総裁の「日銀当座預金勘定のノルマ制」という量的金融緩和をした際に、出口で緩和終了と同日に利上げをしたことで経済が混乱したことを「実験場」として研究していたことは非常に有名です。バーナンキのテーパリングや、パウエル議長のコロナショックからの量的緩和終了のしかたをみていれば、植田日銀は月6兆円ペースで国債を購入していたのを、わずかながら減額するという「長期化」を発表しながら、利上げをしたのは、人類史上初めて、おそらく大失態になるでしょう。

 植田さんは日米金利差を「方向性の違い」と言いましたが「段階の違い」と言うべきです。

 植田さんを見たのは、実はきょうが初めてでした。衆の散会後、鈴木大臣は津島委員長とあいさつしましたが、鈴木さんと植田さんが目を合わせることはありませんでした。前にも書いたように、国会対応の政策委員会室職員が名古屋支店長に栄転してしまい松山支店長退任以降4年ぶりに永田町・霞が関・大手町を去った影響もあると思います。緑のリボンの植田さんは、他の緑・黄色リボンの職員を寄せ付けず、すべて一人で答弁していました。日銀行員は7000人もいるのですから、短時間労働・安定高報酬に安住せず、バーナンキの手順表を翻訳するなどして手伝えばいいと思います。私見を言えば、澄田日銀総裁が辞任しなかった逆を行き、植田さんには、前々任の白川さん同様に途中辞任してほしいです。

【泉健太・立憲民主党代表記者会見】

 泉代表の記者会見では、代表選出馬は明言しませんでした。泉さんは推薦人について「自民党以上に過酷だということは間違いないですね。そういうことに照らしたときに、例えば一つの考え方として、20人という。数字ではなくて、所属、衆参両院議員の何%という考え方とか、あるいは両院議員数が150を超えている場合は20人にする、100人から150人の間であれば、15人でいいとそういう可変性があるという考え方は一つあるんだろうなと思いますね。ただこういうことっていうのはルールですから中立公平でなければならないし、今のタイミングということで、本当に例えば全党が一致して変えようということであれば、もしかしたら告示日までならば間に合わなくもないのかなとは、一応可能性としてはあり得るなと思います」と語り、今から推薦人の人数を両院議員総会で変更することがあってもいいとしました。

 これは私が前から知っているから自慢したいのですが、先月首相になったスターマー党首率いる労働党。規約の第4章第2項あたりを見てもらうと分かりますが、すべて割合(定率)で書かれており、定数は一切使われていません。


[画像]労働党規約の代表選の規定は、すべて定率で定数は使われていない。

 上述のバーナンキの「市場との対話」では、「毎月100億ドルずつ」と定数の金額が使われています。これは、白人ユダヤ系の天才・バーナンキが馬鹿にも分かるように定額を使っていることがコミュニケーションの妙技です。一方、チャールズ国王と大差ない高校・大学で学んだ人も多い「労働党の庶民院議員」たちの社会では、定率だけを使っている。

 このような比較をしてみると、日本人の社会では、「定数」でよろしいのではないでしょうか。

 泉代表は記者会見で、パリ五輪で日本選手が20個の金メダルで3位となったことに関連して「スポーツ庁ですし何らか財源が限られる中で、スポーツを愛する一部の方々はそういった意味でスポーツくじ的なものにですね、お金を投じていって支援をするという仕組みがあるというのは、これも助かっていることだと思うんですね」と語りました。

 長野オリンピックに前後した時期に成立した「toto法」(サッカー・スポーツくじ)の財源を、JSC(日本スポーツセンター)、文部科学省の外局「スポーツ庁」として強化委員会の財源に充ててきた経緯があります。当時は、totoは刑法の特例賭博であり、ギャンブル全否定で政治的見解を示す有権者も多く、世論が二分されました。が、その財源から徐々にスポーツ庁へと議員立法などで改変されていきました。この関係者には早稲田大学卒業生が多い傾向があります。東京五輪の次のパリ五輪で、金メダル20個。世界3位。人口10倍の中国のちょうど半分という大躍進で大いに国威発揚にもつながったところではないでしょうか。金メダル獲得の瞬間の視聴率は5%未満だったのですが。

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1 コメント

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Unknown (季節労働者)
2024-08-24 12:53:00
日銀の大失態の件ですが、
岸田政権がアメリカ民主党から大統領選挙資金づくりのために、大胆な金利引上げ発言をする様強要されたか、金利引上げに反対した2人以外の金融政策決定会合の審議委員が経済学の理論しか眼中になく大胆な金利引上げにより株式暴落まで予期してなかった、どちらかであろうと予想します。
いずれにせよ、植田総裁は、早いうちに解任されるべきと考えます。
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