【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

参議院「11ブロック」「大選挙区」「個人名」「単記」「200議席」の公明党案が軸になるか?

2011年07月13日 20時53分46秒 | 第23回参院選(2013年7月)二番底


 再来年、2013年(平成25年)の6月ごろ公示、7月ごろ投開票の見通しの第23回参議院議員通常選挙から適用される、ルール・オブ・ザ・ゲームづくり(選挙制度改革)について、2011年7月12日、公明党の山口那津男代表が記者会見し、公明党案を発表しました。

 ポイントは、「全国11ブロック(衆院の比例ブロックとまったく同じ区割り)」、「定数200(100議席ずつ半数改選)」、「個人名の単記式」ということになります。

 プロセス的には、参議院議長が4月に提示した案の「全国9ブロックの大選挙区」を「議長が案を出され、政党の側で応えていく必要があり、党の考え方をまとめた」(山口さん)格好になります。

 ちなみに単記式とは、定数にかかわらず、1枚の投票用紙に1人の名前(ないし1つの政党名)を書く選挙のことです。連記式は過去にありますが、人気投票的になり知名度競争になる弊害があります。

 この公明党案では、1票の格差は1・385倍。四国ブロックの有権者の1票が重く、北海道の有権者の1票が軽いのですが、わずか1・385倍に収まっています。私が公明党案で評価し、支持したいのは、議長案の「9ブロック」と違い、公明党案の「11ブロック」は現行の衆院の比例ブロックとまったく同じ区割りだからです。シンプル・イズ・ベスト、デモクラシーのプロセスの最初にある、選挙のルールはなるべくシンプルである方がよい。なぜなら、日本では、有権者は1億400万人います。ですから、ルールはシンプルな方がいいのです。そうでないと、デモクラシーのプロセスが見えにくくなります。シンプルで困る人はいます。それは小沢一郎さんです。ルールや状況が複雑であればあるほど、小沢さんの「剛腕」の出番となりますが、シンプルだと「国民の出番」が増えます。

 ちなみに衆院のブロックは政党名だけで投票します。参院のブロックが個人名だけで投票することになると、そこが複雑で「なんとなく政治が大事だっていうのは感じるけど、正直言って、投票のしかたがよく分からなくて・・・」という有権者が出てきます。が、その辺をきっちり徹底させるというのも、選挙運動の一つだと考えます。

 衆院の比例ブロックは、よく出来ています。あえて言えば、「北関東3県」といわれながらも「北関東ブロック」は埼玉県を入れた4県です。もう一つ、千葉県が「南関東ブロック」になり、東京ブロックをはさんで、「千葉県」と「神奈川県・山梨県」が飛び地になっています。新住民の多い両県ですから、なかなか分かりにくいという人も多いでしょうが、ここを除けば、ブロックの地域の名称と、各都道府県のイメージは合致しているのではないでしょうか。

 山口那津男さんは「ミスター・バランス」の政治家で、じつによくできた案です。
 
 まず定数200。これは現行の定数から42議席削減ということになります。民主党は09マニフェストで「衆院定数80削減」「参院はそれに準じた数」を削減する、と書いています。これは事実上「42削減」ということになります。衆参とも第一会派の民主党は賛成せざるを得なくなります。それに、改選100議席というのは、分かりやすいですね。

 ちなみに、第23回参院選から第24回参院選までの2013年夏~2016年夏の3年間は、非改選の関係で「221議席(過半数111)」となります。参議院では平成元年(1989年)夏以降、過半数会派が一つもありません。かりに過半数を第23回参院選でとるならば、自民党は「定数100のうち61議席以上」、民主党は「定数100のうち67議席以上」が必要です。大選挙区では獲得不可能な議席数です。衆参ねじれは常態化することになります。それを当然とした国会運営が必要になってきますが、それは「熟議」につながります。両院協議会改革だけしっかりやれば、むしろねじれが常態化した国会の方が良いのかもしれません。

 おそらくこの制度だと、各ブロックとも得票ラインは20万~30万票になると考えられます。一方で、タレント候補が100万票以上とってくる可能性があります。

 ちなみに公明党案は公明党に有利です。そんなのは当たり前でなんら問題ありません。が、法制化には各党の修正協議は必要になってくるでしょう。ちなみに公明党は第23回参院選で10議席が改選を迎え、第24回で9議席改選を迎えます。つまり11ブロックに1人ずつ候補を立てて、公明党・創価学会の総力を結集すれば、11議席が可能で、今より増えることになります。ただ組織政党には「ガラスの天井」がありますから、倍増ということはないでしょう。近畿ブロック(改選定数16)には大阪のほかに、兵庫県などの候補者、東京ブロック(改選定数10)にも男性候補と女性候補、南関東ブロック(改選定数12)には千葉で1候補、神奈川で1候補という格好で、複数擁立してくるでしょう。そして個人名単記式だと、市町村ごとに開票結果が分かりますから、地方組織や地方議員の動きはチェックできます。

 それから、民主党では、11ブロックになると、連合のうち、UIゼンセン同盟が不利になりそう。様々な業種に100万人以上のはたらく仲間をもつゼンセン同盟ですが、いわば「食品スーパーのあるところにゼンセン同盟員あり」という状況です。全国どこにでもいます。フツーに考えれば1ブロックにつき組合員が10万人ずつにわかれてしまい、最低得票ライン(20万票~30万票?)に届かないでしょう。ただ、繊維産業が盛んな琵琶湖周辺が近畿ブロック(改選定数16)になりますから、ここで1人絞って勝つということは可能でしょう。

 国民新党の支持団体である全国郵便局長会「全特」は前回参院選からして、組織票は40万~50万票だとみられます。ここも、どのブロックでも単独では勝てない見通しになってきます。国民新党は島根と富山で改選を迎える議員がいますが、2人とも「無所属(民主党・国民新党・社民党推薦)」で当選していますので、原点に返れば勝てるかもしれません。

 それから、中国ブロック(改選定数6)となると、ここで強い自民党が、山口県連、広島県連、岡山県連などのどこから候補者を出すかという問題が出てきそうです。あるいは四国ブロック(改選定数4)も、人口の多い愛媛県連に対して、人口の少ない香川、徳島、高知の自民党県連の間で軋轢が生まれないか。四国に限れば民主党各県連も同様の問題を抱えそうです。特に、山口、高知で自民党が強い理由は幕末・明治維新にまでさかのぼりますので、自民党の県連が強いところは、この案に反対する可能性があります。

 これは国政ですから、衆院の21増21減案とセットで考えた方がいいと思います。

 
[画像]衆議院の「21増21減」による各県の小選挙区当選者の人数案
 
[画像]参議院選挙の11ブロック案。

 このように衆参一体で見ると、鳥取県の国会議員が衆院1人だけになる可能性がなきにしもあらず。東北ブロック(改選定数8)の中で、仙台市に事務所を置く候補が各党から出てくると、秋田県が衆院2人だけになるかもしれません。それとやはり四国各県。あと、九州ブロック(改選定数11)で衆院は3→2に削減される佐賀県が参議院がどうなるか。福井も衆院2選挙区、参院北陸信越ブロック(改選定数7)となると微妙です。ただ、この辺は、例えば、近畿ブロック(改選定数16)で、「私は和歌山県の代表です!」という選挙運動をする有力候補者が1人だけなら、かなり有利になります。要は、現状分析と戦い方ということになるでしょう。そもそも、全国知事会の機能も強化されていますし、国の公共事業や交付金・補助金が右肩上がりの時代ではありませんからこれでもいいのではないでしょうか。

 ひきつづき、組織は有利ですが、知名度のある県議やタレントを擁立した方が組織の重荷は軽くなります。その辺で、いろいろな人材が参議院に入りやすくなるのは確実です。東京ブロック、近畿ブロックに限らず、100万票以上で当選するタレント候補・議員は何人か出てきそうです。最近の参議院は昔に比べてタレント候補・議員が減っていますから、私はむしろ好感します。例えば、青島幸男・参院議員が佐藤栄作首相のことを「財界の男妾(おとこめかけ)」と呼びましたが、これは今でも通用する名言ですし、タレント議員だからこそ言えることです。また、青島さん質問のなかで、佐藤首相に「政見放送」というアイディアを提案し、佐藤自民党も「金権選挙でなくなる」と好感し、具体的な事業として実現し、今日に至ります。その後の青島さんは政見放送だけして、選挙期間中は「国政の勉強」と称して家に閉じこもり、街頭演説もせずに連続当選しました。まさに「ルールをつくった人間がイチバン強い」ということです。あるいは西川きよし参院議員が、地元で持っているラジオ番組に寄せられたハガキを読み上げて、宮澤喜一総理にダイレクトに“答弁”してもらっていたのも、だれか復活させてほしいものです。これも「100万票のきよしさん」だから出来たことです。

 社民党も近畿、九州で議席を獲得できる可能性があります。公明党に敵愾心が強い日本共産党も、議席数を延ばす可能性があるし、闘争しやすい制度ではないでしょうか。で、これだと、参院で組織政党が一定の指定席を確保できます。そうすると、衆院の「比例定数180→100に削減」という民主党09マニフェストが実現する余地も浮上します。山口さんというのはそこまで考えている人だと思います。公明党はどこに行くのか?最近迷走がありましたが、47都道府県の地方議員3000人のネットワークを、11ブロックごとの衆参選出議員が集約して国に届けるということになればいいのではないでしょうか。今の公明党は「政調会長(兼)北関東ブロック選出衆院議員(兼)茨城県本部代表」というシステムになっていて、ごちゃごちゃしているように、傍目に見えます。例えば、この政調会長が昨年11月に突然補正予算案に反対しだしたのも12月に茨城県議選が控えていたからではないかと思います。こういうのが基礎自治体→47都道府県本部→11ブロックに集約してくると、地方分権改革にもつながってきます。

 政党というよりも、各ブロック内で人口がイチバン少ない県の地方組織や選出議員が反対する可能性が高いということになりそうで、その辺の修正があるかもしれません。また、やはり公明党に有利な参議院選挙制度案ですので、各党現職幹部のメンツもありますから、修正はあるでしょうが、私は公明党案がベターだと思うし、たたき台として最適でしょう。

 とにもかくにも、分かりやすい選挙制度にして、山本有三の緑風会があったころの、「閉鎖的でない参議院」を取り戻すことが絶対に必要です。


「再ねじれ」から1年、「3・11」から4ヶ月 それぞれの“再スタート”

2011年07月11日 22時33分00秒 | 第177常会(2011年1月)大震災・3党合意

[画像]答弁者としておじぎする自民党”ヒゲの隊長”こと佐藤正久さん、2011年7月11日午後1時過ぎ、参議院インターネット審議中継からキャプチャ、トリミング。

〈国民が与えた「再ねじれ」、参議院自民党の一つの答え〉

 1年前、2010年7月11日(日)の第22回参院選で、国民(有権者)が民主党政権および国会に与えた課題は「再ねじれ」でした。再ねじれ国会では、尾辻秀久さんの副議長昇格にともなう参議院自民党の会長選挙で、世襲グループ(中曽根弘文さん、小坂憲次さん、山本一太さん、林芳正さん、世耕弘成さん、西田昌司さん)が勝ち、その主導権をにぎりました。自民党の衆参の横串だった派閥のくびきから解放された、参議院自民党はあたかも“関東軍”のような雰囲気となりました。ついには、「参院での予算審議で衆院を解散に追い込む」(小坂幹事長)、「問責決議案を提出する」(一太政審会長)とだんだん先鋭化していきました。実際に昨秋の第176回国会のネット傍聴者は参院の方が多いという逆転現象になりました。しかし、3月、これは国民でなく、天がある“判断”を下しました。年間で最大の見せ場である3月前半の予算審議中の「3・11」でした。それからの4か月、参院自民党は不発をくり返してきました。そして・・・

 国民が与えた「再ねじれ」という課題からちょうど1年・・・参議院が出した一つの答え。それは、「議員立法」でした。

 参院自民党がコツコツと議論してきた「原子力災害の(東京電力でなく)国費による仮払い法案」(177国会参法9号)が野党5党共同提出としてきょう、実質審議入りしました。法案提出者はみな非世襲議員・・・自民党の陸上自衛隊1等陸佐出身の佐藤正久さん、公明党の通産官僚出身の浜田昌良さん、みんなの党の福島県議出身の小熊慎司さん、新党改革の元福島県議で典型的「たたき上げ」の荒井広幸さんらです。

 “ヒゲの隊長”は、第21回参院選で初当選した2007年夏から4年間、北澤俊美さん(参院外交防衛委員長→防衛大臣)という好敵手の下、国会議員としての力を上げてきた感じがします。ヒゲの隊長は、おととし、「国の防衛を司る防衛大臣の言動は極めて重い。防衛大臣が前言を変えたら、困るのは部下たる自衛官である」とする内容の質問主意書を出しました。責任野党らしくて好感が持てますが、やはり野党慣れしていないのか、その主意書のタイトルは「北澤防衛大臣の発言の無責任性と防衛問題の考え方に関する質問主意書」と「無責任性に関する質問」という初めから、けんか腰でした。案の定、全閣僚が閣議で決定した答弁書では「政府としては、憲法および専守防衛などの基本的防衛政策の下で、我が国の平和と独立を守り、国の安全を保つことを目的とした各種施策を推進する」と軽くあしらわれてしまいました。これでも答弁書としてはていねいな方ですよ。こういうのはたいてい20代前半の新米キャリア官僚が書いているとされています。ところで、ヒゲの隊長が福島県出身であることは「3・11」で初めて知りました。そして、きょう筆頭発議者として、答弁デビューしました。やはり陸自の隊長になるような人は、どんな世界でも通用するし、体が丈夫ですから、これからドンドン責任あるポジションで活躍していくことになるんだと考えます。

 午後2時半ごろ、みんなの党の松田公太(まつだ・こうた)さんが質問に立ちました。スター選挙区の東京選挙区で、最下位5位に滑り込みました。その松田さん、「きょうは東日本大震災から4ヶ月」「私が当選した第22回参院選から1年」と述べました。週末に被災地に行き、配偶者と2人のお子さんを亡くされた被災者と会ったときに、「この1年間、私自身ナニやってたんだろう」「この4ヶ月間、政治家はナニをやってたんだろうと思った」とし、「今日から被災者の人をしっかりとみて、再スタートしたい」としました。この質疑中に松田さんは「いまちょうど2時46分になりました」と話し、他の委員が第1委員会室の時計を見上げる光景がみられました。こういった流れをつかむ松田公太さんの非凡さを感じました。この松田さんにも「大化けの予感」がありますが、どうなるでしょうか。

 

 ねじれ国会が熟議で再スタートしました。

〈骨抜きされた地方一括交付金は沖縄県限定で再スタート〉

 さて、きょうは2009年8月30日の第45回衆院選からの再スタートがありました。民主党幹事長の岡田克也さんは11日の定例記者会見で、枝野幸男官房長官に提言を出した「沖縄振興一括交付金」の「一括交付金」の意味について、マニフェストに盛られた地方一括交付金のことだとの認識を示しました。そして沖縄県をモデル地区にして、権限を「各府省の根っこから断ち切って」沖縄県に一括してオカネを渡し、使い方は「沖縄県に決めてもらう」としました。

 岡田さんは、「地方一括交付金は、マニフェストの中でもうたった地方主権の改革の柱です。そのなかで、沖縄(県)を、モデルとして位置づけてやっていこう」としました。なお、2009マニフェストでは「地域主権」という言葉を民主党は使っていましたが、いわゆる「地域主権3法案」について、今国会で、自民党の修正要求に基づき「地域主権」という言葉を削って、成立させました。ですから、「再ねじれ」の中で、振るい落とされて、「地域主権」という言葉は消えたと考えるのがスジです。

 これは岡田さんが、霞が関の抵抗・骨抜きの盲点を突いたのだと思います。私は「総務省主管の地方一括交付金」になるのだと思ったのですが、「内閣府主管の地域自主戦略交付金」に骨抜きされました。ただ、橋本行革で、北海道開発庁は「国交省北海道局」になりましたが、沖縄開発庁は「内閣府沖縄振興局」になっています。また、今年度予算書では内閣府に盛られた「地域自主戦略交付金」は、沖縄だけ別の費目で計上されています。ですから、これを沖縄振興一括交付金として、マニフェストの原点に戻ろうという考え方だと思われます。

 いわば、苦しいときこそ、原点に戻る。君子は本を務む、本立ちて道生ず。マニフェストの地方一括交付金の原点を、霞が関の骨抜き工作の盲点をついて、内閣府と沖縄県に突破口を見つけたのだと考えます。

 ハットカズ(HAT-KZ)といって、これは長妻昭さんが野党時代に提唱したもので、「ひも付き補助金」「天下り」「特別会計」「官製談合」「随意契約」の頭文字です。これらは、すべて、各府省から自治体への「補助金」を断ち切ると、天下りを受け入れる必要もなくなるし、官製談合も随意契約もなくなり、自治体が元気になり、国および自治体ひっくるめた公会計の総額が安くなります。長妻さんは現在「筆頭副幹事長」として党本部幹事長室にいます。

 そして、「いくつものステップを踏んだ上で」、税源移譲がゴールだとの認識を岡田さんは示しました。そして、岡田さんは、二大公共事業官庁である、国土交通省と農林水産省の両大臣(大畠章宏さんと鹿野道彦さん)にきょうあすで会って、「覚悟をもってやってほしい」と強調します。また、枝野官房長官が土曜日に菅直人総理に話しており、総理と官房長官のラインはできているということです。少し青空が広がった気がします。

 このように、各省にある紐付き補助金の温存を図る官僚が、内閣府に置いた「骨抜き地方一括交付金=実質は紐付き補助金」を、岡田さんがターゲットにしたのではないか、と私は推測しています。

 ちなみに事務次官人事の季節ですが、ことしは震災と延長国会で止まっていますが、農水省の町田勝弘事務次官に続き、岡田さんと同じ昭和51年入省組がドンドン事務次官になります。ときどき「岡田さんに官房長官をやってほしい」という人がいますが、私は岡田さんが官房長官をやったら霞が関と大げんかになると考えます。ですから、もっと民主党支持率が高くないとその人事案はないと考えます。そして、岡田内閣総理大臣というのは、それこそ今の民主党のレベルでは議員がついて行けません。岡田さんは木曜日で58歳になりますが、何となく雰囲気や政界ポジションが似ている鈴木貫太郎が首相になったのは77歳で、大隈重信は78歳まで首相を務めています。まずは民主党の底上げです。

 骨抜きにされたマニフェストの地方一括交付金は、沖縄県限定で再スタートしました。

〈村松岐夫・衆議院小選挙区画定審議会会長に岡田幹事長がメッセージ〉

 記者会見で岡田幹事長は、来年2月に迫っている小選挙区の区割り案の策定作業が止まっていることに関連して、「(国会が)1人1枠方式を認めないという(最高裁判例を公職選挙法に反映させる)ことになれば、21増21減(案)でやるのか、あるいは選挙制度を変えるのかというどちらかの選択肢しかないだろう」と語りました。7人の委員で構成する衆議院選挙区画定審議会の村松岐夫(むらまつ・みちお)会長(京大名誉教授)は3月28日に記者会見し、「「国会や各政党、各会派が議論を開始されると思う。その結論に注目する以外ない」として1人1枠(いちにんいちわく)方式に関する国会の答えがでるまで、区割り見直し作業を一時中断ています。

 衆議院議員選挙区画定審議会設置法では「衆議院小選挙区選出議員の選挙区の改定に関し」「その改定案を内閣総理大臣に勧告するものとする」とあります。ですからこの審議会は小選挙区を前提にしたものです。ということは、岡田さんの「21増21減か選挙制度を変えるのかという選択肢しかない」というのは、村松会長らに「21増21減で作業を進めてください」というメッセージであると考えられます。審議会は官僚の手はなるべく借りずに7委員の手でやるべきです。今回は平成の大合併による、自治体ごとの見直しも必要です。選挙の投開票事務などは法定委託事務ですから、現在のように、一つの基礎自治体が2つの選挙区の投開票作業をしていると、おそらく日本全体で、10億円程度の国費が“ムダ”になっているのではないでしょうか。いまどき10億円は大きいです。ぜひ、村松先生らは、21増21減で区割り案をつくってほしいと考えます。これは私の考えですが、きょうの岡田幹事長の発言はそういう意味で、ほぼ間違いないと考えます。

 これは第46回総選挙に向けたスタートといえるでしょう。3月でいったん作業が進んでいましたが、村松さんら7委員は見切り発車で再スタートしてください。

 私は日本の歴史の転換点に立ち会い、きょう「歴史の証人」となっていることをうれしく感じています。日本には底力がある。そして、それを上手く分配していくためにどうするか、もっと積極的に政治の議論をする。そのたった一つの工夫だけで、日本は復活できるでしょう。7・11からの再スタートです。


正常化で動き出した国会

2011年07月09日 21時14分55秒 | 第177常会(2011年1月)大震災・3党合意

 6月23日(木)から空転していた延長国会ですが、7月6日(水)の衆院予算委の集中審議(全閣僚)、7月7日(木)の参院予算委の集中審議(総理と閣僚)で正常化しました。8日(金)は衆・厚労委で「新型インフルエンザの予防接種に関する特措法の改正案」(174閣法55号)が可決され、同日午後の衆院本会議で参院へ。衆・厚労委(民主党・渡辺周筆頭理事自民党の加藤勝信、田村憲久公明党の古屋範子理事)はあいかわらず「働きます委員会」です。これまでの宿題が山積みだからという状況もあるので手放しで褒められませんが、衆参の厚労委は今国会で議員立法も3本仕上げています。

 このように、延長国会では、法案審査も正常化してきました。

 そして、8日(金)には、衆本で「原子力賠償スキーム法案」(177閣法84号)が審議入り。一方、参院では「原子力災害の国費による仮払い法案」(参院自民党など野党5党提出、177参法9号)が審議入り。そして、来週月曜日には、衆・東日本大震災復興特別委員会で「スキーム法案」、参・東日本大震災復興特別委員会で「仮払い法案」が同時に動くという、「両院制(2院制)」らしい国会フル操業がみられます。これは衆院側で閣僚が答弁し、参院側で提出者の自民党・佐藤正久さんら野党5党が答弁するので可能になったわけです。しかし、ねじれ国会による国政の停滞による参議院に向けられた厳しい目も影響していると思われます。私も今第177国会では、ねじれのおかげでだいぶ勉強させていただきました。岡田克也幹事長もそう思っていると考えます。安住淳・国対委員長も、10年後にはそう振り返るでしょう。

 特例公債法案(平成23年度の赤字国債発行法案、閣法1号)については、参院・財政金融委員会の荒木清寛理事(公明党)が、7日のTV入り予算委員会に乗り込みました。そして、4月29日の3党政調合意について、「公党間の信頼を損ねた」として、菅直人首相を激しく批判しました。荒木理事が怒るのはムリもなく、たいていは3月に参院財金委に回るこの法案ですが、3党政調会長協議のストップにより、7月になっても参院に回っていません。いまだに衆院財金委に残っています。そこで、参・財金委は、一般質疑で、自民党の林芳正さんらが野田佳彦財務相らに「早く回せ」と議論していますが、法案そのものが来なければ、参院はどうにもなりません。荒木さんが怒るのは当然でしょう。で、その翌日7月8日(金)に、3党政調会長(玄葉光一郎さん、石破茂さん、石井啓一さん)が協議を再開しました。翌日付日経2面は「自公、ハードル下げる」「子ども手当の見直しを必ずしも法案成立の前提条件にしない方針」を示したそうです。ただ、公明新聞は「子ども手当 実務者で見直し協議へ」としています。民主党ニュース(ホームページ)では「実務者協議は、民主党政調会長代理の城島光力さん、自民党政調会長代理(元厚労副大臣)の鴨下一郎さん、公明党副代表で元厚労相の坂口力さんが務め」、「12日(火)夕方に3党政調会長協議をする」ということになっています。こういった情報はこれまでなかなかディスクロージャーされていなかった情報で、民主党広報委員会には頑張ってほしいです。一方、「子ども手当」については、やはり坂口試案の方向性で決着しそうな気配です。特例公債法案に光明がみえてきました。

 それから、「東日本大震災の二重ローンの債権買い取り機構」(自公案は参院に提出、民主党案は未提出)についてですが、8日(金)の衆・財務金融委員会の一般質疑で、珍しいやりとりがありました。与党時代に財務副大臣を務めた自民党の竹下亘・野党側筆頭理事が、「まとまれば民自公で法案を出したい」「政府(民主党)は法案は出さずに政令で出したいと聞いている。なぜ閣法を出さないのか?」と質問しました。これに対して、金融庁を担当する内閣府政務官で民主党の和田隆志さんが「現状は、自民党が法案を用意しているとうかがっている」として、閣法は出さない方針を黙認しました。これに対して、竹下さんは「その自公案を参考にしながら、民自公で実務者協議をしている。できれば閣法として提出して欲しい」と“お願い”しました。野党が政府・与党にこのような“お願い”をするのは極めて異例だと思います。やはり、菅政権の法案の作成能力が遅いということがうかがえます。もちろん、この債権買い取り機構について、「被災3県と茨城県で、県ごとに機構をつくり、中小企業融資の独立行政法人に加えて地域金融機関にも出資させる」という構想を日経が報じました。これには、県域営業が基本の、地方銀行、信用金庫、信用組合からもオカネを出させたい、という金融庁あるいは財務省の狙いが見え隠れします。ぜひ、日本国憲法第83条の「財政民主主義」という基本に、国難のときだからこそ、立ち戻ってほしいと考えます。ちょっと調べましたが、この条文は400年近く前のイギリスでの国会開設運動にまでその思想はさかのぼります。また、これは権力闘争によって勝ち取った「被支配者(有権者)の権利」だそうで、大事にしたい物です。

 また、空転中の先週末7月1日(金)には、自民党の小里泰弘さん、谷公一さん、公明党の西博義さん、みんなの党の山内康一・国会対策委員長、たちあがれ日本幹事長の園田博之さんら野党4党が「がれき処理の(自治体の希望による)国の代行を可能とする特別措置法案」(177衆法19号)を衆院の鬼塚誠事務総長に提出しました。これは災害廃棄物(がれき)の処理で手一杯の自治体が国に代行する「補完性の原理」を定めた法案です。こういった法案が閣法で出てこないのは、政務三役の責任の下にあるとは言え、官僚の能力が落ちているからだと考えます。そして、消極的であってもそれは、菅政権というよりも日本国への背信行為になりかねない、ということをよく自覚して欲しい。

 今週の国会で気になったのは、正常化直後の6日(水)の衆・予の午前9時台の宮城1区民主党の郡和子さんの質問で、前夜に就任した平野達男・復興相が答弁に立つと、委員席から拍手がわきました。この後、細野豪志・原発事故担当相が答弁に立ったときは、まったく拍手がありませんでした。しかし、国会会議録上は、細野大臣も、これが就任後初登場であり、平野さんと同様です。かつて、将棋の羽生善治さんが「7冠」になったとき、「7冠よりも、後世に残る棋譜を残したい」という趣旨の発言をしたのが印象に残りました。今はチャンスです。国難のこの第177国会の議事録は後世、何度も読み直されるでしょう。そいう意味では、8日(金)の衆本で、総理に対して、賠償スキーム法案で代表質問になった民主党1期生が、この人がとても頑張っているのはよく聞いていますが、東京電力福島第一原子力発電所周辺の動物の保護について、質問したのが気になりました。本論と関係からです。この議員がこの問題でタイヘン良くやっていること、また政調や議連の声が政府に届いていないのは分かります。しかし、被災者のことも考えれば「我慢(Patience)」も与党議員の仕事なのではないかと思いますが、どうでしょうか?もう少し、小説のように「流れ」「ストーリー」というものをみんなが意識して国会を運営して欲しいものです。

 さて、来週月曜日である7月11日は、第22回参院選の民主党敗戦・自民党勝利による「再ねじれ国会」から1周年です。それを思えば、民主党執行部は1年間、よく頑張ってきました。ところで、参議院史上1回しかない首相問責決議の審議を、参本一般傍聴席で見たことを思い出します。趣旨弁明は輿石東さん、賛成討論は簗瀬・参院国対委員長でした。そして政権交代で与党になった第22回参院選で輿石さんは18・7万票(得票率43・0%)と自民党の宮川典子候補に18・3万票(得票率42・2%)まで追い上げられる危機一髪の勝利。簗瀬さんは賛成討論で「総理主催の桜を見る会で」「女優の菊川さん、タレントの眞鍋かをりさんに囲まれた総理は、物価が上がる」「しようがない」と攻撃して、全体の文脈としては問題なかったのですが、あたかも福田康夫首相が菊川怜さんや眞鍋かをりさんと桜を見たから問責するかのような趣旨にとられかねない演説に感じられました。簗瀬さんは自民党とみんなの党のはさみうちにあって落選してしまいました。このような野党時代の体験も踏まえて、輿石会長は、問責を出せないように、参院自民党も、参院民主党もしっかりおさえているのだと考えます。月曜日の、ヒゲの隊長や、元福島県議のみんなの党の小熊慎司さんらの答弁が楽しみです。こういった非世襲グループががんばって、参院自民党を食い物にする世襲グループ(中曽根弘文会長、小坂憲次幹事長、山本一太政審会長)と民主党内世襲グループ(小沢一郎さん、鳩山由紀夫さん、田中眞紀子さん)らの復興利権をねらう6月1日以降の不信任政局の不安定をなだらかにすべきです。不安定はいけません。波風はいりません。参議院の将来のためには、世襲グループは問責決議案を提出しないという選択をすべきです。

 また7月14日(木)の衆本で「再生可能エネルギーの全量固定価格買い取り法案」(閣法51号)が趣旨説明と代表質問で審議入りする見通しです。そして、15日(金)には、第2次補正予算案が提出され、衆参本会議で、野田財務相の演説と代表質問が行われる見通しです。来週はかなり忙しくなりそうです。フル操業といきましょう。


「再生エネ法案」が審議入りしていなかった理由が明らかになった民主党の轟木利治さんの良い質問

2011年07月07日 22時38分30秒 | 第177常会(2011年1月)大震災・3党合意

[画像]参・予算委で質問する民主党の轟木利治(とどろき・としはる)さん=参議院インターネット審議中継から

(未定稿)
(利害関係者の方は、必ず会議録やインターネット審議中継などで確認してください。あくまでも私の手元のノートから書き起こした国会傍聴記です)

【2011年7月7日(木)参院予算委員会集中審議】

 きょう(7月7日)から、参院でも審議が再開しました。

 トップバッターは民主党・新緑風会の轟木利治さん(全国比例)でした。「初めて総理に質問します」、「この機会を与えていただいた先輩に感謝します」、「この委員会の与野党の理事のみなさんにも感謝します」ということで、TV入り・総理出席の「集中審議」に、さしかえで予算委員に起用されたことがうかがえます。で、私は、なぜ轟木さんが起用されたかは、ピンと来ました。彼は「基幹労連」(日本基幹産業労働組合)の組織内として、民主党比例代表で当選しています。

 轟木さんは「再生可能エネルギーの全量固定価格買い取り法案によって電気料金が上がる。業種によっては、コスト高になる。(法案審議では)その産業に配慮すべきだ」と指摘しました。基幹労連は、鉄鋼・非鉄金属などの素材産業のはたらく仲間が参加しています。

 轟木さんは「菅直人総理は、先日の国会答弁で、『コスト高になるので反対している業種がある』としているが、それはどの業種を想定しているのか?」と聞きましたが、菅さんは「新・成長戦略の会議で、米倉弘昌・経団連会長が書面で提出した意見によるものだ」として、具体的にどの業種かは想定していないが、経団連から「業種別では(電気料金高で)コスト高になる産業がある」との意見が出ているとしました。

 「総理のお考えは分かりましたけれども」として、「日本の電気料金は世界的に高いポジションにあります」としました。

 そして、再生エネ法案(177国会閣法51号)について、担当の海江田万里・経済産業大臣に説明を求めました。海江田答弁から、現在の法律でも、余剰分の買い取り制度はすでにあり、買い取り価格も現在も電力料金に負荷されていることを確認して、「再生エネ法案は“全量固定価格買い取り制度”という名前でどうも難しく考える方もおられますが、理解していただけたかなと思います」と述べました。だれが?理解していただけたのか・・・となると、おそらく、素材産業の経営者だったり、労働者だったりするでしょう。支持者の中でも、ちょっと理解不足で、法案への反対論を轟木事務所にぶつけている人がおそらくいるのでしょう。大組織をバックに当選した議員も楽でないですね。

 轟木さんは法律や政府の決定にある「電力多消費産業」とは何か? そして、それに対する国の支援はあるのか?と経産相に問いました。

 海江田さんは「私どもの頭の中にあるのは、電炉業、曹達業、鋳造業・・・こういったところに属する事業者は電気を大量に消費しているという認識があります」としたうえで、国の支援策として考えられるのは「その業種の会社が省エネ設備を新設したり、省エネ研究をしたりするときの補助だ」としました。この辺はいかにも与党と閣僚の答弁という感じですが、私としては、なるほどという感じです。

 調子が出てきた轟木さんは「この3つの電炉業、曹達業、鋳造業は他の産業の10倍電気を使います。いわば“電気が原材料”です」と述べました。「電炉業と言っても、あまりピンとこない方もいらっしゃるでしょうが、鉄をつくっています」とTV入りですので、かみ砕いて説明しました。

 原材料に、「工場・電気・労働力」を加えると、製品ができあがる・・・というのが経済学のイメージですが、現場のイメージは、「電気も原材料だ」と。これは専門家でないと出て来ないヒトコトだと感じました。

 そして、はたらく仲間は「(電力料金の安い時間に操業するので)土日も、深夜も、お盆も・・・とにかく人が休んでいるときに稼働している産業です」としました。これ以上の電気料金という“原材料高”はごめんだ、だから「再生エネ法案」は審議するな!~~と論が進むのか思いきや、轟木さんも民主党国会議員です。支持者の聞きたいことを引き出し、自分たちの産業のこともTV入りでアピールしたうえで、「こういった産業もあります。(電力高で生産コストが上がれば国際競争力が下がるので)新成長戦略にも影響もあります。そういった点もふまえて、再生エネ法案の審議をしてほしいと思います。本日は大変ありがとうございました。以上でございます」。

 ということで、轟木質問で、素材産業が労使協調で、再生エネ法案の慎重審議を求めているらしい、ということが、参・予算委員会の集中審議という場で明らかになりました。こういう風に、轟木さんが質問してくれたので、見えなかった論点が見えてきました。やはり国会議員たるものは、非公開の政調部門会議はほどほどにして、ヒラバの国会でドンドン発言して欲しいと考えます。

 轟木さんは最後まで「基幹労連の出身だ」と名乗りませんでしたが、名乗ってもいい、ハッキリした国会審議を私たちは求めてもいいのではないでしょうか。

 ぜひ、政府も出したい法案は、国会冒頭にどーんとだして、各委員会は定例日には必ず開いて、理事会もネット中継して、法案の審議入り自体がされないというルール改正をしてほしいです。これは野党も賛同するでしょう。この前日の衆院予算委員会では自民党が「津波対策推進基本法案」を9ヶ月も審議してもらえなかったとしています。しかし、自民党が与党だった頃には、野党である国民新党・民主党共同提出の「郵政民営化一時凍結法」が参院で可決された後、衆院で1年間議論されなかったことがありました(郵政株式売却凍結法案、1年間の眠りから覚める)。

 当ブログは、5月18日付エントリーで「再生可能エネルギーの全量固定価格買い取り法案(177閣法51号)の成立を呼びかけよう!」ということで、各種団体だけでなく、国民の声も一般法案の審議に届けようと呼びかけさせていただきました。しかし、その後、「3つの想定外」が重なってしまい、やや困惑しております。1つは、審議入りしないという状態になり、大手マスコミと違い、体が1つの当ブログとしては、「なぜ審議入りしないんですか?」と国会議事堂に出向き、与野党理事から本音を引き出す取材が難しいという状態になりました。これはきょうの轟木質問でスッキリしました。そして、2つめは、当ブログが他のブログに引用され、「菅直人は初めから脱原発派だった」という「原発vs再生エネ」の二元論が展開されました。わが国の政治議論のなかで、「いまだにこんな低水準の議論を展開する国民がいるのか?」と思うと、うんざりです。わが国土のエネルギー源はほとんが火力と水力で、原子力も再生エネルギーも少数派です。脱原発で、LPGをドンドン燃やしたり、川をせき止めてダムをドンドンつくるという選択肢もあるわけですから、この二元論はあり得ません。政治的思惑です。そして3つめは、菅総理が、政権延命の3条件に使っている。ただ、第176臨時国会の所信表明演説(2010年10月1日)でも、菅総理は、再生可能エネルギーの全量固定価格買い取り制度の創設に言及しています。

 なお、2011年6月16日の民主党幹事長定例記者会見で、私は「(再生エネ法案が)(衆院)経産委員会で審議入り自体されていない状況にあるが、経団連の一部企業からの圧力があるのか」と質問しています。岡田幹事長は、「そういったことを私、感じたことはありません。それから、この固定価格買取制度によって、大きく電力料金が上がるわけではありませんので、諸外国の例を見ていても。それが競争力を失わせるとか、そういう議論ではないと考えております」と答えています。

 一方、なぜ太陽光パネルでは、日本のシャープ、京セラ、三洋電機などがドイツ企業としのぎを削っていたのに、太陽光パネル産業でドイツが国際競争力を強めたのかを調べたら、これは、やや古い文献でも、「ドイツでは2000年の再生可能エネルギーの全量固定価格買い取り法の成立による国内での普及」によるものということでほとんど一致しています。三洋電機なんか全体では再建企業になってしまいました。この10年間の政治の怠慢が悔しいです。昭和セル石油も太陽光パネル産業に進出してきていますから、産業政策としても、修正協議もして、再生エネ法をしっかり成立させましょう。

 また、電炉業、曹達業、鋳造業の経営者・労働者が納得できるよう、ていねいに説明し、また、修正協議も辞さない構えが求められます。きょうは、国会内で、衆院経産委の民主党側筆頭理事を見かけました。この法案だったんでしょうか。ちょっと声をかけようかと思いましたが、面識のない方ですので自重しましたが、しっかりと延長国会を見ていきたいと考えています。


岡田克也幹事長、落選県議・政令市議候補に「県連政策委員で年60万円」の再チャレンジ制度導入

2011年07月07日 20時48分02秒 | 岡田克也、旅の途中


【きょう上梓の石川知裕さん著『悪党 小沢一郎に仕えて』は選挙必勝本?】

 きょう2011年7月7日(木)、待望の石川知裕・衆院議員(北海道11区、現在は無所属)の著書『悪党 小沢一郎に仕えて』が出版されました。私も、きょう、国会内の石川事務所で購入しました。夕方に帰宅して、すでに読了しました。これは、言ってみれば、あるいは、歴史書といえるかもしれません。この手の本にしては珍しく、245ページとかなりボリュームは厚く、小沢事務所に入った「1996年2月3日」(50ページ)からの回想部分が実に面白いです。ですから、海部内閣の小沢「剛腕」幹事長のころのことはありませんが、その後の小沢氏の「壊し屋」政治人生が石川さんの人生と重ね合わす格好で書かれています。ベールに包まれた小沢秘書軍団も実名で登場します。例えば、秘書時代にはよく「どうやったら(小沢さんの)秘書になれるのか?」と聞かれることがたびたびあったそうですが、その答えは「紹介のみ(でしか秘書になれない)」だったというエピソードが語られます。

 ところが、どういうわけか、「2002年ごろ、日本大学の就職課に秘書の募集をかけた」ことがあったと書かれています。これとは別の部分にこの答えがあり、小沢さんの奥さんは上智大学を卒業しているそうで、これは私は初耳でしたが、小沢夫妻がけんかになり、奥さんが「上智でも早慶より入るのが難しい学部もあるのよ」と言うと、小沢さんが「そんなはずない」と譲らない。石川さんは推測として次のように書いています。「小沢は慶応を出た後、日大の大学院に入りながら司法試験の合格を目指した。私が察するに、アイデンティティーは慶応ではなく日大にあると思う。2浪しても東大に受からずにしぶしぶ入りながら、大学院に進ませてもらえなかったからか、小沢が慶応の愛校心を語るのを聞いたことがない」としています。

 年齢が上で市議の経験もあるけれども、小沢事務所としては後輩になる大久保隆規さんが、公設秘書に昇格することになったときのことも振り返っています。大久保さんは、石川さんのことを、「石川」でもなく、「石川さん」でもなく、「石川ちゃん」と呼んでいたそうで、大久保さんが秘書寮にある自宅に石川さんを呼んだときの回想。また、小沢流選挙必勝法では、やはり詠んでいて唸るような部分があり、参考になりました。小沢さんは「中選挙区を知っているから、小選挙区に強い」ということで、「何のこっちゃ?」と思いましたが、つまりは、中選挙区時代に自民党で対立していた陣営が、それぞれの小選挙区で棲み分けているので、その支持者間の過去の因縁を突くという戦法です。これが、北海道11区で中川昭一さん(故人)と闘う上で、石川さんと鈴木宗男さんが共闘することにつながったとのことで、けっこうドロドロした話ですが、小選挙区を闘う人は必読でしょう。しかしまあ、最後の衆院中選挙区選挙からもう18年が過ぎていますから、この作戦もだんだん使えなくなっていくでしょう。こういった「小沢一郎」が古びていっている、と感じさせるエピソードも多く、歴史書という感じもします。小沢事務所を2日間で辞めた人、元衆議院議長秘書が小沢事務所に移籍したけどすぐに辞めた話などもあります。今後も時折、このブログでもご紹介しようかと思いますが、待ち遠しい方は、ぜひ、お買い求めのうえ、ご一読いただきたく存じます。いわば「当事者が書いた週刊誌」といった感じで、読み進めると止まらなくなりました。石川さんはきょうは、出版社の人と書店周りをしましたので、東京の方では、店頭に平積みにしてくれた本屋さんも出たかと思います。みなさんのお手軽な方法でぜひ、お手元に1冊ご用意下さいませ。

 なお、このエントリーを更新した時点で、amazonでは全体で75位になっています!パチパチ!政治部門で75位ではないですよ、全体で75位です。これはもう、読まなきゃ恥ずかしい!それと、くれぐれも読んだ後、速攻で中古本に出品するのは止めてください。1年以上は自宅で保管してください。頼みますよ。お世辞抜きで、面白いよ(^_^)v

【岡田幹事長、落選候補予定者を「県連政策委員」や「県連嘱託職員」に起用で、パワーマネーを注入、土曜日の全国幹事長会議で正式決定へ】

 さて、民主党幹事長の岡田克也さんと、選挙対策委員長の石井一さんは、第18回統一地方選(2015年4月)に向けて、第17回統一選の「落選した地方議員候補者に対する再チャレンジのための支援策」をまとめました。すでにおととい(5日)の第528回民主党常任幹事会に提出し、あさって土曜日(7月9日)の全国幹事長会議に諮ります。

 当ブログが独自のルートで入手した常幹提出ペーパーは、この後ろに付けます(赤線は筆者が参考用に引いたものです)。

 これは、道府県議選(昨年末の茨城県議選含む)と政令市議選(2月の出直し名古屋市議選含む)の落選者のうち、「惜敗した候補者」のなかから、「県連政策委員」を任命し、年間60万円の「政策活動支援交付金」を支給するということです。政策委員の人数は、道府県ごとの落選者を勘案することになっています。

 政策委員になる条件は、「次回選挙での捲土重来を期す固い決意を有する者」で、その他にも、①前回選挙の惜敗率、②次回選挙時点の年齢、③選挙区情勢ーーも「任命要件」になります。

 ただ、やはり岡田さんというのはやさしさと厳しさが合わせ鏡になった男ですから、厳しい条件があります。まず、道府県連の申請を受けて党本部がこれを認めた者に限ります。そして、1年ごとの更新制となっており、3回を限度に更新できるということになっています。ちなみに、次の選挙までの残り年数は4年弱ですから、3回更新すれば、次の選挙で勝って、歳費を受け取れ、息切れすることはありません。しかし、道府県連は、毎年、政策委員の活動状況を点検し、党本部に報告することになっています。

 これとは別に、「主に地域政党の伸長などにより、県議、政令市議が大幅に減少した府県連」すなわち「大阪、愛知、神奈川、千葉、埼玉の5府県連」では、落選候補者を嘱託雇用するための資金を党本部が府県連に援助します。この場合の「落選候補者」は一般市長村議も対象になるものと思われます。この嘱託雇用職員の条件は、「次回選挙での捲土重来を期す固い決意を有する者」で、①前回選挙の惜敗率、②次回選挙時点の年齢、③選挙区情勢ーーも選定要件になります。手続きは、所管地域の総支部長が推薦し、府県連幹事会(人事委員会)でこれを認めた者は、府県連と嘱託契約を締結することができます。

 府県連は「地域基盤再建計画」と「人事活用計画」を策定しなければいけません。そして、それを党本部が審査し、党本部が府県連に対して貸付金を交付することになっています。ただ、「後日その実績を審査し、(党本部が府県連に対して)一部貸付金の返還免除を行う」ことができます。この辺も岡田さん流のやさしさと厳しさが合わせ鏡になっています。また、嘱託者が①次期選挙出馬を取り止めたとき②他の選挙への立候補が決定したとき③後見人、府県連がその人に不適格であると判断した場合ーーはその資格は失うことになります。


[画像]第20回参院通常選挙での岡田克也代表率いる民主党の快勝を伝える新聞。

 ところで、岡田さんは民主党でも屈指の資金力を誇り、唯一の政治資金管理団体の「岡田かつや後援会」は昨年1億9650万円の収入(繰越金含む)を挙げています。岡田さんは他に三重県第3区総支部の代表者もしており、9月末、政治資金収支報告書が公開されると分かりますが、あわせて3億円前後の収入(繰越金含む)があると思います。

 が、勘違いはいけません。このお金・貸付金は、民主党本部のオカネです。以前、NHKを見ていて、たしか埼玉だったと思いますが、“水年寄”という役目があり、集落の長老が務めるそうですが、水の湧く泉から用水路に流れる水を、棒で配分する習慣があるようです。この“水年寄”が岡田幹事長であり、配分役とそのルールをつくるのは岡田幹事長です。「パワーマネー受給資格」を1年更新にしたのは、そのときの幹事長(水年寄)に、限られた資源である党本部資金の配分の裁量の余地を与えた面もあると考えられます。以前、民主党には、党のオカネをあたかも自分のオカネのようにふるまう幹部がいましたが、今はいません。そういう意味では、岡田さんは幹事長に適任でしょう。岡田さんには、ぜひ政権交代可能な二大政党デモクラシーの完成のために、党のルール、国会のルール、選挙のルール作りに没頭して欲しいものです。どす黒い漆黒の孤独の暗闇の内閣総理大臣官邸・公邸になんて行ってほしくないですね。

 落選候補者も、なかなか、秘書の仕事も少ない昨今。県連政策委員や、県連嘱託職員をしながらも、いくばくかの不労所得を得られるシステムをつくっておくと、4年後に(仮に)議員になった後も行動しやすいと思います。息切れしないように、各々のペースを考えながら、しっかりと前に進みましょう。

 





[画像]岡田克也幹事長が第528回民主党常任幹事会に提出した資料
 (当ブログが独自のルートで入手したものをキャプチャ、赤線は筆者が参考用に引いた物です)


自民党の危機管理に隙(すき)はないか? 岩屋毅シャドウ防衛相の後任が空席のまま

2011年07月06日 22時42分40秒 | 第177常会(2011年1月)大震災・3党合意

[画像]自民党の岩屋毅さん、同氏ホームページの「岩屋たけしの歩みーAn Album Of Mr. Takeshi Iwaya-」からキャプチャ、トリミング。

 7月6日(水)の午前9時からの衆院予算委員会の「延長国会の諸課題に関する集中審議」から国会が正常化しました。6月22日(水)の衆院本会議以来、2週間ぶりの正常化。その本会議で、フロントベンチの政権準備政党(The Opposition) である「自民党」の党議に違反して、横路孝弘議長の発議による「延長幅70日間」に造反(賛成)した、シャドウ防衛大臣の岩屋毅さんと、シャドウ内閣府特命担当大臣(行政改革・公務員制度改革担当)の河野太郎さん。2人とも辞表を提出していましたが、自民党党紀委員会(民主党では倫理委員会)から「役職停止1年間」の処分を受けたことから、シャドウ閣僚辞任となりました。

 これにより、自民党のシャドウ・キャビネットのホームページ(http://www.jimin.jp/member/s_cabinet/index.html)からは、6日午後に2人の顔写真が削除されました。とはいえ、自民党は大丈夫なんでしょうか? というのは、河野さんの後任はまだしも、岩屋さんはシャドウ防衛大臣だったんですが、現在、空席ということになります。副大臣として、徳田毅さんと佐藤正久さんがいますが、どちらが優先するかは決まっているのでしょうか。自民党のことはよく分かりませんが、自民党は「東日本大震災復興基本法」を成立させたのに、いまだに、シャドウ復興担当大臣も置いていないようです。このようなことでは困ります。民主党に何かあったらどうするんですか? 日本のために、自民党にもしっかりしてもらわないと困ります。

 7月6日(水)の予算委は、久しぶりだからか、自民党の質問はあまりキレがありませんでした。というよりも、自民党は明らかに、「菅内閣を退陣させよう」という気はまったくない。このまま任期満了に追い込むか、できれば解散して欲しい。これは幹事長と政調会長が質問に立っての感想ですから、間違いないでしょう。みんなの党も渡辺喜美代表が明らかに解散してほしいという本音が見えました。政権を担い続けることのきつさというのを、十分に、民主党議員・秘書も、あるいは国民も、味わうべきだと、私は考えています。

 幹事長の石原伸晃さんが、延長国会で「閣法で出すべき法案を菅内閣が出さないので、議員立法で出す」として、二重ローン対策の金融機関再建買い取り法案などをアピールしました。そのうえで、「浜田政務官引き抜き事件」に触れました。菅直人首相は、「私も新進党から自民党に一本釣りされるのを(さきがけ・第1次民主党で)見ていた」と攻撃しました。

 続いて、政調会長の石破茂さんが60分間質問しましたが、相変わらずの「与党ならこうするもんだ」という説教調でした。伊吹文明さんと石破茂さんは野党質問になっていないように思えますが、自民党会派は持ち時間が多いので、サンドウィッチのように間に挟むには、傾聴に値すると思います。勉強になります。しかし、石破さんは「浜田事件」について、自分が新進党を離党して自民党に帰った過去がなかったかのように、ぬけぬけと批判しました。鳥取県の有権者はいい加減に怒ったらどうでしょうか。浜田氏について、石破さんは、「(第22回)参院選は政権選択選挙ではないが、民主党政権を批判する有権者の声があらわれたものだ」として、「こういう人を(自民党公認候補として)鳥取県民にお願いした不明を恥じ入る」と述べました。しかし、鳥取県ではこのような二大政党間の鞍替えが相次いでいます。ちなみに「鞍替え」は「旦那がひいきの芸者を”鞍”替えする」という下品な語源を持つ言葉なので、当ブログでは、「国替え」、「院替え」などと言い換えていますが、この場合は、「鞍替え」がピッタリです。第44回衆院選(2005年9月11日)では、郵政造反で自民党を除名(民主党でいう除籍のこと)された川上義博さんが、小沢一郎氏の誘いで、第21回参院選(2007年7月29日)で民主党公認で当選し、小沢グループになりました。小沢氏は、さらに自民党の田村耕太郎参院議員を引き抜き、選挙区も捨てさせ、第22回参院選(昨年7月11日)で民主党公認の全国比例の候補者としましたが、落選しています。また、民主党の鳥取選挙区の女性候補者は、元自民党参院議員の孫娘でしたが、これは祖父と孫は別人格ですから、いいでしょう。鳥取県では有権者が選んだ政党を次々と裏切る政治家が出ていますが、火付け役は石破さんです。石破さんは、自民党政科研(中曽根・渡辺派)から、細川・羽田内閣発足後に新生党に移り、新進党結党に参加しました。そして、小沢一郎氏に辟易し(これに関しては同情しますが)、自民党平成研(小渕派)に一本釣りされてしまいました。この石破氏の「1度裏切る人間は2度裏切る」行為により、鳥取県では「鞍替えは全然オッケー」になってしまいました。鳥取県民はもっと怒るべきです。

 石原さんの総括的質問、石破さんの説教に続き、塩崎恭久さんが「原子力賠償スキーム法案」などについて、そして、赤澤亮正(あかざわ・りょうせい)さん成立した議員立法に対する民主党の対応について質問しました。この赤澤質問も大会派だからできる質問です。赤澤さんは鳥取2区ですから、石破さん、赤澤さんの鳥取選出の衆議院議員は全員が質問に立ったことになります。小泉チルドレンで小選挙区で生き残った2期生は、赤澤さん、稲田朋美さん、徳田毅さん、小里恭弘さんの4人で、全体の5%程度になります。

 赤澤さんは、議員立法の津波対策推進基本法案(筆頭発議者・二階俊博さん)を第174回通常国会に提出したのに、民主党(小沢一郎幹事長・山岡賢次国対委員長)がたなざらしにしたことを菅総理(民主党代表)が知らなかったとして、民主党のシステムが危機管理に即していない、と批判しました。民主党と自民党の相対的な比較ならば、それは自民党に一日の長があるでしょう。しかし、だったら自民党政権50年間に、閣法として、津波対策推進基本法を成立させるべきでした。

 そして、繰り返しになりますが、自民党も政権準備党(The Opposition)として、シャドウ防衛大臣とシャドウ復興対策担当大臣、シャドウ行革・公務員制度改革相を今すぐ任命すべきです。聞くところでは、英国では、シャドウ大臣にも少額の手当が国から支給され、シャドウ首相には若干の交際費も国費で認められているようです。このように、日本でも、シャドウ・キャビネットに、「資料費」などを支給するシステム作りが必要です。

 2週間ぶりに国会が正常化した今朝、このブログの左につけた「ブンブンカウンター」を使ったリアルタイム・ログ(アクセス履歴)解析で、「hq.jimin.or.jp」というリモートホストからのアクセスが全体の4位になっていました。その後、現時点では19位となっていて、朝早くから働いていることからしても、自民党の総裁・幹事長室や政務調査会事務局などが見ていたかもしれません。おそらく、2人の新閣僚について、何か質問しようかと探っていたのでしょうか。ならば、あすの参院予算委員会の質疑では、意外にバクダンはなさそうです。ちなみ自民党本部よりも海上保安庁からのアクセスが多くて、「あれsengoku38さんか?」と思いましたが、その方はすでに退職していますし、この国会で法案や、第2次補正予算案は関係ないと思うんですが、どうなんですかね。

 とにもかくにも、日々のアクセスありがとうございます。また有料ブログの方も6月の無料試読の方が多く有料会員になっていただき、7月は過去最多の購読者となっております。すでに7月1日の昼頃には入っていた情報で、遅くなってしまいましたが、謹んで御礼申しあげます。

 さて、最後に。言わずもがな、野暮も野暮、スーパー野暮なヒトコトです。岩屋毅さんと河野太郎さんも、1年間の役職停止中も含めて、引き続き、自民党でがんばって、第46回衆院選で政権担当可能な2つの政党の選択肢を私たちに必ず提示していただきたいと考えます。

 あすは午前10時から参院予算委の集中審議です。衆院の青少年問題特別委員会もあります。そしてあさって金曜日の参院本会議、衆院本会議から法案審議が再スタートします。暑いですから、シャキッと、短時間でしっかりと仕上げていきましょう。

[河野太郎さんのブログから抜粋引用はじめ]

一夜明けて  私はなぜ会期延長に賛成したか
2011年06月24日 00:53|影の行政刷新・公務員制度改革担当相

http://www.taro.org/2011/06/post-1036.php

今朝入金するはずだった党本部からの交付金の振り込みが取り消されたという連絡で1日が始まる。議員会館の経常経費半年分だ。

(中略)

自分が正しいとは思っていても党と違う行動をとったのだから、役職の辞表を書く。党本部に提出に行く時に、地下道で蓮舫消費者問題担当大臣とすれ違う。「例の問題の打ち合わせをどこかでお願いします」と言われて、いかん、消費者問題調査会長を辞表に書き漏らした。

辞表の修正をしながら、来日中のシンガポールのゴー・チョクトン上級相との昼食会に帝国ホテルに向かう。

昼食会のメンバーは、党三役と小坂参院幹事長、塩崎代議士と僕。ここで辞表を手渡すわけにもいかないし。

しばらく静かにしていたが、上級相が原子力の問題を取り上げたので、Although today I am on probation, but 我が国の原子力業界は腐っている、力説した。上級相、笑いながら、彼はまだ党内で少数派かい。

遠藤筆頭副幹事長から、昨日の件で弁明を聞く機会をつくってから処分ということになるからとの連絡をいただく。

議員会館に戻って、スタッフに、辞表を出してからみんなの党にいくよと声をかけたら、ええっと驚いている。あれ、みんなの党の原子力の勉強会は今日だろと言ったら、離党してみんなの党にいくのかと思った、だって。おいおい、よせよ。

約1時間半、みんなの党の会議室で、原子力・エネルギー政策の勉強会で講師。渡辺代表から、みんなの党の総裁ポストが空席なのでこちらでぜひ、とお誘いをいただく。

その後、学術会議から河川の基本高水の検討状況についての説明。

自民党は、前日まで50日の会期延長で与党と合意していた。だから自民党は会期延長に反対しているわけではないという執行部の説明はウソではない。

しかし、昨日の本会議には、50日間の会期延長の動議はない。

昨日の本会議の採決は、会期を70日間延長をするかどうかだ。

自民党は会期を50日間延長しろと訴えたが、結果として70日間の会期延長の動議が本会議に提出され、採決となったのだから、それぞれの議員がとることができる選択肢は70日間の会期延長に賛成か、反対かだけである。反対が通れば、会期は延長されず、国会は閉会する。

自民党執行部は50日が妥当であり70日は長すぎると主張し、私は国会は通年でやるべきで70日は短すぎるという意見だ。

しかし、50日の延長も通年国会の開催も、そうした動議がかかっていない以上、その選択はできない。主張の如何に関わらず、70日の延長か閉会か、どちらかを選ばなくてはならなかった。

だから私は70日の会期延長に賛成した。

被災地の状況を考えれば、国会を閉会することはできない。東電に代わって国が賠償金を仮払いする法案を自民党は提出したばかりである。再生可能エネルギーの買い取り法案もある。そして特例公債法案も待ったなしだ。二次補正もある。

だから、閉会という選択肢はない。それならば、70日という数字にどの程度満足しているかは別として、賛成しなければならない。

私は、国会改革を訴える仲間や民自連といった超党派の仲間と一緒に通年国会をずっと訴えてきた。

南三陸や陸前高田、気仙沼などの被災地に足を運び、被災された方々や町長をはじめ行政に携わる方々の声を直接、聞いてきた。

今、政局で、復興を遅らせてはならない。永田町の理屈は、いや、屁理屈はどうでもいい。国民に、まっすぐに、政治が国民のために全力で動いているということを理解してもらえるような行動を議員一人一人が行っていかなければならない。

政治不信は極まっている。いや、むしろ、政治家不信だろう。

会期を70日延長したら三次補正が遅れるなどというのは永田町の理屈だ。世の中の理屈は、三次補正が必要ならば与野党の政治家が力を合わせてそれを全力で早くやればいい。

もし、自民党の理屈が被災された方々にもきちんと伝わるのだったら、なぜ、小野寺、秋葉、吉野、梶山といった被災地の代議士が本会議を退席しなければならなかったのか。彼らが一番、つらかったはずだ。なぜ、彼らが、自民党はこう行動したと堂々と地元で胸を張って伝えられるような行動を、自民党はとらなかったのか。

世の中が国会議員に望んでいるのは、与党も野党もなく、力を合わせて国民のために一生懸命仕事をしてくれということではないか。永田町の屁理屈で行動するのはやめよう。

[河野太郎さんのブログから抜粋引用終わり]

このエントリー記事の本文は以上です。 


平野達男・復興相の「それから」を応援しよう!

2011年07月06日 08時48分43秒 | 第177常会(2011年1月)大震災・3党合意

[写真]菅直人首相と平野達男復興相、2011年6月5日、首相官邸ホームページから。

 2011年7月5日、坊ちゃん議員らしく、スパッと辞任した松本龍さんに代わり、復興相(東日本大震災復興対策担当大臣)に平野達男さんが起用されました。順調な人事で、歓迎します。平野さんは、参院岩手選挙区(1人区)選出ながら、昨年6月の代表選で、小沢一郎氏が推した候補ではなく、副総理の菅候補に投票しており、「政権の重荷」「与党の責任」を知っている人だと思います。おとといのエントリーで、参院本会議でノー原稿で演説(討論)した議員を松本龍さんが「へーやるねえ」と感心したエピソードを書きましたが、このときノー原稿で、政権交代後最初の予算の賛成討論に1年生議員を起用したときの筆頭理事が平野さんでした。平野さんはノー原稿演説について、「憲政史上初だ!」と褒めたそうですが(実際にはノー原稿は野田佳彦さんらたびたびありますが)、人を見る目がある、頼れる“現場監督”です。

 このときの政権交代後最初の与党としての参・予算委で筆頭理事を平野さんが務めたのですが、与党でありながら、野次る議員が多く、残念でした。しかし、あるとき、野党の質問中に、最前列に座る平野筆頭理事が左手を高く挙げ、掌を後ろに向けて、「止め!」のジェスチャーをすると、委員会室がさっと静まったことがあります。そして、高く挙げた手をしっかりと伸ばしながらサッと前にやると、今度は野党の議員が、次の質問に進み、審議がスムーズに動き出した場面がありました。平野さんはヒトコトも発していませんから、議事録には残っていません。が、これが平野達男さんの正念(性根)場だったと思います。復興の陣頭指揮も同じようにとってもらいたいと考えます。一方、退任した松本龍さんについても、多くの人から「ああいう人ではない」「ストレスではないか?」という声が次々とあがっているようです。龍さんの面倒見が良いという人柄があらわれた格好で、こちらも「正念場」ということになります。イチイチ言葉がなくても、政治家というのはいろいろな人と交わるのが仕事ですから、性根は分かるものです。

 とにかく余裕がありませんから、力がある人の背中を押して、日本復興を進めていきましょう。

 そのなかで、6日付東京新聞3面に気になる記事がありました。ベタ見出し(見出しが1行)の記事で、「小沢元代表『受けるな』平野氏に」。平野復興相が菅首相から就任を要請された際、首相と対立関係にある元代表・小沢一郎さんに連絡したところ、「受けるな」と言われ、入閣を辞退するよう促されていたと民主党関係者が明らかにした、とする記事です。東京新聞は「具体的な会話の中身は明らかではない」とことわりながらも、小沢の圧力は奏功しなかったとしています。そして、「入閣が正式に決まった後、平野氏は小沢元代表へ伝えようと、再び連絡を試みたが、返答は得られなかったという」としています。このように、小沢氏が電話の取り次ぎに一切応じることがなくなることは今までにもたびたびありました。かつては、岩手3区の佐々木洋平衆院議員が一切連絡をもらえず、黄川田徹さんに公認候補者をさしかえられ、佐々木さんは無所属で出馬しましたが小選挙区ではとうてい及ばず、その後国政に戻ることはできませんでした。新進党時代に船田元さんも同じようなことをされたみたいです。これはまさに、小沢氏の性根です。何とか、地方の方、高齢の方、貧しい方にも小沢氏の性根を知ってもらいたいものですが、なかなか支持者は根強い物があり、世襲グループ(田中眞紀子氏、鳩山由紀夫氏ら)への親しみが底堅いようです。

 平野達男さんは次の2013年6・7月の第23回参院選で改選を迎えます。選挙制度改革があれば、岩手県選挙区は他の選挙区と合区(がっく)したり、東北ブロック大選挙区などになったりする可能性があります。仮に平野さんが岩手県選挙区1人区ということで、立候補すると、小沢グループの嫌がらせや、自民党(鈴木俊一県連会長)の追い上げを受ける可能性が出てきました。平野さんは次の選挙の時点ではまだ59歳ですから、年金をもらうまで時間があります。たとえば、全国比例に転出するにしても、自民党にはJA組織内の山田俊男さん、民主党には岩手県連(元県会議長)の藤原良信さんらと支持層が重なります。衆参ダブルになれば、衆院という選択肢もありますが、いずれにしろ、参議院の岩手を中心とする選挙区が軸になります。ぜひ、平野さんの故郷への思い、復興に資する、国に報じようとする意気込みを私たちは買おうではありませんか。復興相としての実績で、仮に岩手県内で小沢氏が妨害しても、しっかりと押し上げる。有権者の識見が問われます。

 こう思うと、まさに平野復興相は「平成の長井代助(ながい・だいすけ)」と思います。長井代助とは、漱石(夏目漱石)が明治42年に朝日新聞に連載した『それから』の主人公です。代助は義侠心からかつての恋人・三千代を友人に譲りますが、「自然の児(こ)になろう」と決心し、三千代に告白し、三千代はそれを受け入れます。そして、代助は、兄から「貴様は馬鹿だ」「おれも、もう逢わんから」と言われながらも、立ち上がり、「僕はちょっと職業を探してくる」と言い、真夏の炎天下に飛び出します。そして、飯田橋から電車に乗り、まっすぐに走り出した電車のなかで「ああ動く。世の中が動く」と言いました。そして、「代助は自分の頭が焼け尽きるまで電車に乗って行こうと決心した」という一文で『それから』は終わります。昭和60年の東映映画では松田優作さんが演じています。

 平野復興相の『それから』を応援したいし、また被災民の方々のなかにひょっとして、立ち上がれるのに立ち上がろうとしていない人がもしもいるのなら、どうか炎天下のなかでも代助のように立ち上がってほしい。東北の『それから』、日本の『それから』。一体となって、もう一度立ち上がるために。志のある人をしっかりと応援し、偽者の政治家(おもに世襲グループの一部)をしっかりと抑えつけましょう。

 一人一人の有権者にとっても「正念場」の夏、あなたの性根がみられています。


東北放送(TBC)出身の郡和子さんがトップバッターで国会正常化 きょう7月6日(水) 衆・予算委

2011年07月06日 01時06分19秒 | 第177常会(2011年1月)大震災・3党合意

 さあ、いよいよ、きょう7月6日(水)の午前9時から、衆院予算委員会の集中審議(今年度予算の執行状況に関する調査)から、延長国会が正常化します。

 東日本大震災復興対策担当大臣が松本龍さんから平野達男さんに交代しました。これについては、エントリーを改めて、感想を書くかもしれませんが、松本さんがTV・スチールカメラ・ペン記者入りの、大臣と県知事の会談のアタマ撮りのなかで、話した後に、「今のはオフレコです」と言ったのは、これは報道における紳士協定上、ありえません。オフレコは事前に断り、両者が合意してからです。よほど仲の良い取材者ならば、武士の情けで後からオフレコを認めることもありますが、あの場面では、宮城県庁を担当している記者もいるわけです。これを報道した東北放送(TBC)は当然の対応ですが、他の会社が報道しなかったことから、東北放送のスクープになってしまいましたが、いずれにしろ、東北放送は「社会の木鐸」と言えると思います。

 その東北放送(TBC)のアナウンサー・解説委員出身の民主党の郡和子さん(宮城1区)が2期生ながら、集中審議のトップバッターに選ばれました。郡さんは今国会でははじめから予算委員でした。「3・11」後の最初の衆院予算委員会となった4月26日の集中審議でも、しっかり座って議論を聞いておられました。このとき、私は傍聴席の2階(一般傍聴席)にいたのですが、中井洽委員長に促されての「黙祷」のとき、それに従ったのが私1人だったことに違和感を持ちました。もちろん、前列の1階(報道傍聴席)から溢れたスチールカメラマンが黙祷する姿にシャッターを切るのは当然ですが、民報カメラのビデオエンジニア(?)の人なんかは、黙祷に加われたのではないでしょうか。

 それはそうと、郡さんは民主党代表選挙でも、勝ったり負けたりですが、毎回、私から見て、国益に資する判断をしています。女子アナから解説委員への道は、ご存じの通り、NHKの小宮山洋子アナウンサー・解説委員が拓いた道ですが、厚労副大臣を務める小宮山さん同様に、衆院・厚労委員会に所属していました。ただ、民主党の場合は、長妻昭さんなど、厚労委員会には人材のだぶつき感があったのは事実で、こうやって予算委員会で、震災復興と社会保障、そして財源と絡めた議論を、郡さんにはやってほしいと期待しています。

 時間も与党としては異例の25分間です。そして、地上波アナログ放送は、被災3県(宮城県など)を除き、7月24日の正午で終わります。郡さんは2月3日の基本的質疑でも、NHKテレビ・ラジオ中継入りで質問していますが、延長国会での再登場となりました。日ごろの行いが良いからでしょう。

 午前9時にNHKテレビ・NHKラジオ・衆議院インターネット審議中継・ニコニコ動画で視聴できなくても、ビデオで見ることができます。

 7日(木)には参・予算委の集中審議があり、8日(金)から法案審議に戻れそうです。


7月6日(水)に衆院予算委員会で国会正常化か?

2011年07月04日 17時35分52秒 | 第177常会(2011年1月)大震災・3党合意


 私は昨年の3月に、とあるコンベンション施設で、松本龍さんにエスカレーターで、前を譲ってもらったことがあります。とある参院議員と2人で話していて、長幼の序、エレベーターに乗るところで、「松本先生どうぞどうぞ」と言うと、「いいよいいよ」と言われて恐縮しながら、先にエスカレーターに乗りました。そのときはその参院議員に「さっきの本会議でノー原稿で演説してましたよね?」という話をしていて、松本さんは衆院なので、「えっなに(参院)本会議でノー原稿?やるねえ~」と後ろから話に加わってくれました。大変なジェントルマンだと思いましたが、慣れない閣僚生活と「3・11」の重責と緊張のなかで、吹っ切れすぎたのでしょうか。ちょっとよく分からない現状です。

 6月22日の衆院本会議(会期の8月31日までの延長)の翌日から、きょう7月4日まで合計8営業日、本会議・委員会がまったく開かれないという最近では珍しい国会空転が続いていましたが、与野党衆参とも正常化への意識は高く、あさって7月6日(水)に、衆院・予算委員会集中審議ということになりそうです。

 「浜田政務官引き抜き事件」がありましたので、参院自民党がしっかり国会に戻ってくれるのが大前提です。参院自民党も野党5党共同で、「原発被害者への(東電を待たずに)国費による仮払い法案」を参議院先議で出しています。これは参院では可決される可能性が高く、衆院でも絶対安定多数を占める民主党とも、委員会での政治家同士の修正協議次第ということになります。参院自民党も早く審議をしたいでしょう。ただ、「浜田事件」がありました。会期末までの日程をまだありますから、多少の冷却期間としてのここ8営業日、あすを入れて9営業日、集中審議(法案との直接の関係はない)を入れても、合計10営業日の空転はやむを得ない、民主主義のコストだ、と私は考えます。

 とにもかくにも衆参同時の正常化が必要です。昨日のNHK日曜討論で、自民党の石原伸晃幹事長が唐突に「自民党は審議拒否はしていませんよ」と強調しました。石原さんの言うとおり、私も自民党は審議拒否をしていないと考えます。とはいえ、やはり、国会運営をめぐる有権者の監視の目が強まっていることを感じさせる発言でした。そして、石原さんは「浜田事件」についても「引き抜いた、引き抜かない、という話は(民主党も自民党も)両方悪い」と述べて、自民党内での衆院と参院がまとまっていないのではないか、ということをうかがわせました。

 というわけで、国会空転だと、特段ネタもないので、当ブログも開店休業となってしまいそうですが、ブログというのは定期的な更新を楽しみにしてくださっている方もいらっしゃるので、更新しました。中には、「具合が悪いのか?」と心配してくださる方もいるので、こうやって更新しました。

 ◇

 心配ついでに、民主党1期生を中心とする衆議院議員が心配です。マジメな人が多いので、1月24日から通常国会があり、3月11日に大震災があったということで、平日は東京、土日は被災地で、あまり選挙区に帰れていない人がいるようです。

 それと、心配ついでに、あまり選挙区で後援会活動としての戸別訪問をあまりしていない人が多いようです。各種団体の行事に「(与党の)民主党衆議院議員、○○先生のごあいさつです」との紹介で、登壇して、それが第46回総選挙の票になると思っている人が少なくないようです。ぜひ、その人は、民主党の2期生以上の先輩に聞けば、分かるはずです。その団体は、野党時代は、民主党議員を登壇させていないし、イチバンヒドイのは、入場拒否、あるいは入場しても、来賓としての名前の読み上げすらしていなかった団体です。そんな団体は向かい風になれば、またそっぽを向くし、第一、歳出のうち政策的経費が実質マイナスとなっているなか、各種団体の選挙での応援は、もはや集票マシーンというよりは、何とか選挙の体裁を保ってくれるというぐらいの存在になりつつあります。各種団体のしめつけで、逆風下のマッチレース1人区(小選挙区)を勝てるとは思えません。各種団体のしめつけは「昨年はオタクの団体を仕分けたけど、選挙の応援をしないと、来年はもっと仕分けるぞ!」とやるのでしょうか。そんなの無駄です。

 私は、2人ないし3人の有力候補(予定者)のうち、戸別訪問に来てくれた候補(予定)者を、情勢が厳しければ応援してあげよう、育てようとするのが有権者の本音だと考えます。やはり、1期生でも「衆議院議員」という名刺を持った人が自分の家にあいさつに来てくれればうれしいものです。例えば、衆院なら、日本共産党員だって、家に来てくれた候補(予定者)がいれば、小選挙区では同党公認候補が立候補していても、当選は厳しく死に票になりますから、民主党の候補者に入れるという人がいても、まったく不思議ではありません。私の経験上、衆議院議員に自宅にあいさつに来られてイヤだという人間、それこそ、社会的存在としての「人間」(Human Being)はいない。衆議院議員が地元有権者に戸別訪問して、つっけんどんな対応をされたら、あの菅直人さんと同じ肩書きの衆議院議員でも、精神力でもショックかもしれない。その場合の特効薬があります。早く、次のインターフォンを鳴らすことです。「民主党は大変だけど、頑張りな」という温かい声に少しでも早く癒されるために、1秒でも早く、隣の家のインターフォンを鳴らすのです。公明党は「マイ獲得運動」を展開して、「県会議員」などの現職の名刺を使って、創価学会以外の支持者を増やしていたので、統一地方選後半戦で完勝しました。

 さて、比例復活ながら評価の高い1期生の議員が自身のブログで先輩議員から地元の飲屋街をわたり歩いて、日常活動の足腰を強くしたと聞いて、地元の食堂3軒をはしごしたら、けっこう名前を知られていました、と書いていました。これを聞いて、「あっもっと面白い方法があるのにな」と思ったので、それをきょうはぜひ書きたいのです。

 それは、第41回衆院選、初めての小選挙区で、四国地方で、新進党公認で2度目の当選を果たした衆議院議員から聞いた、日常活動必勝法です。その人は2期半、県会議員をやっていました。県会の定例会が開催されると、選挙区から県庁所在地に出て、日帰りができないので、ホテル暮らしになります。ここで、自民党の県議などはお互い飲み歩いて、その辺りの社交術で、一定の当選回数になると、議長ポストを手に入れるわけですが、この人は初めから国政に打って出るつもりだったので、県会での出世は興味ありませんでした。県会の定例会の審議は夕方に終わりますから、そうすると、県庁所在地のいわゆる「スナック」という類の酒食店に出かけます。スナック店内には、だいたい、ママとお客さんが10人くらいがいるでしょう。スナックの場合は、お客さん同士も顔なじみのことが多いです。20・30歳代の見知らぬ若い男性が一人で来店すると、初めは他のお客さんは声をかけないですが、ママは気を配りますから、段々打ち解けてきます。そうすると、会話の内容からお客さんも「なんだい、あんた県会議員さんかい?」という話になってきます。そうすると、「地元はどこ?」という話になりますから、選挙区を言うと、お客さんはそこに友達か親戚が1人以上はいるそうです。私もその後、地方周りをするようになって分かりましたが、県庁所在地というのは、働きに出たり、移住したりするなど、つねにその県の中心的存在です。だから、歴史的経緯として、そこに県庁が置かれ、県会議事堂もあるわけです。そうやってママとお客さん全員と友達になり、名刺を渡し、相手の連絡先も教えてくらうぐらい一晩で、打ち解けあう。楽しみながら、腹ごしらえもしっかりして、翌日の県会に向けて、ホテルに帰る。そして、寝る前に、新しい友達全員にお手紙を書く。選挙区の人がたまたま県庁所在地に出張していて会ったとなれば、地元に帰ればすぐに戸別訪問に出かけたのでしょう。そうでなくても、一晩とはいえ、小さいスナックで一緒に食事をし、話した突然あらわれた県会議員さんというのは、ずっと記憶に残るでしょう。ちなみに、1度行ってみんなと友達になったスナックですが、同じ店には2度と行かなかったそうです。

 この人は県議としては世襲ですが、国会議員としては非世襲議員です。お父さんはたしか58歳で県議を引退したそうです。なぜなら「僕は28歳の今、県議に出て実績をつくらないと衆議院議員になれない。だからお父さん、58歳だけど辞めてくれ」と説得して、引退してもらったそうです。そして、県議3期目で、38歳で国政に出た第40回衆院選は、中選挙区時代で全県区でしたから、かつての1夜限りのスナック友達もみんなが有権者ということになります。新党ブームの新生党公認ということもあり、初当選しました。そして、第41回衆院選は、新進党公認として、唯一の四国の小選挙区での議席を取りました。ちなみに、この選挙で自民党以外で四国の小選挙区で勝ったのは、もう1人、民主党元職の仙谷由人さんしかいませんでした。2人とも当選2回目ということになりました。ただ、やはり野党で小選挙区で勝つと、いろいろ軋轢があったのかどうか分かりませんが、けっして、金権選挙みたいなことをしたわけではないでしょうが、連座制適用で衆院議員を続けることができなくなりました。しかし、すぐに地元の市長に当選し、現在も務めています。やはり、スナックで「一夜限りとは言え、率直に語り合った仲」の人たちは、逆風のときこそ、支えてくれるんだと思います。

 選挙について、得票差で「圧勝だ」と表現する人が多くいます。私は小選挙区では、得票率で判断すべきだと思いますが、どうしても、「3万票の大差だ!」という言い方が好きみたいです。しかし、選挙に強い人というのは、「51%対49%」で勝てる人です。なぜなら、途中で情勢が伯仲していると分析は、どんなに小さい選挙でもオピニオン・リーダーは分かりますから、「あの子(人)を負けさせてはいけない」というオピニオン・リーダーたちの徳俵で勝ちます。だから、大逆風下でも勝てるようにするには、戸別訪問しかありません。

 初当選以来10万票以上の得票で連続当選している(比例復活あり)ある副大臣は、地元の秘書に、「各種団体の行事への代理出席は基本的にしなくていい」ということで、平日に休みをとってもらい、かわりに戸別訪問をしてもらうようにしているそうです。そして、土日に帰ったときは、1日に複数回のミニ集会をハシゴしています。

 また、別の議員のブログを読んで驚いたのですが、その議員は、同僚の閣僚経験者の誕生日にお花を贈ったそうです。民主党のどこにそんなお金があるんでしょうか。原資は資金管理団体や総支部ということでしょうが、お花を贈らなければ仲良くしてくれないような人に、贈っても意味はありません。そもそもこの人は総支部の水脈を絶たれそうになっていた人です。時代認識がおかしいです。私は政権交代選挙から2年が経ち、1期生議員にある傾向を見つけました。それは、1期生議員には初当選直後に「気負っている人」と「おごっている人」がいるということです。そして「気負っている人」は危なっかしく見えて、先輩のそれとない誘導もあり、あれよあれよという間に実績を挙げます。「おごっている人」は、自分の居場所がなくなっています。それでも勉強に徹すればいいのに、人間の性、「与党議員らしいこと」をやろうとしてしまうのですが、政府与党の幹部から見れば目障りで、政権を前に進めるうえでは、「線路の置き石」になっています。「気負っている人」→「評判の良い人」になった1期生議員も、統一地方選では、系列地方議員を減らしてしまった人が多いようですが、大型選挙は白黒ドミノになる傾向がありますから、心配ご無用でしょう。泣くのがイヤならさあ歩け。

 とにもかくにも、各種団体ほどアテにならない物はないというのが2011年日本の国政だと考えます。


衆議院事務次長に清野宗広さん 総理の後ろが指定席

2011年07月01日 08時30分20秒 | 第177常会(2011年1月)大震災・3党合意

[写真]清野宗広(せいの・むねひろ)衆議院・新事務次長=衆議院要覧(乙)から

 衆議院の鬼塚誠(おにつか・まこと)事務総長は2011年7月1日、衆議院事務次長に清野宗広(せいの・むねひろ)さんを任命しました。清野さんは衆議院事務局の委員部長を務めていました。井上茂男・事務次長は30日付で退職しました。

 政権交代直前の第171通常国会の2009年7月からの鬼塚体制では、事務次長は3人目となりました。

 国会法第27条は第2項は、「参事その他の職員は、事務総長が議長の同意および議院運営委員会の承認を得て、これを任命する」と定めています。

 「衆議院要覧(乙)」や新聞報道によると、清野宗広さんは1951年12月、福島県生まれ。東洋大学法学部卒業。1974年(昭和49年)4月衆議院に入り、委員部第6課長、委員部第4課長、委員部第1課長、管理部副部長、憲政記念館長、記録部長、管理部長を経て、委員部長。

 清野さんら、衆議院事務局の部長は、本会議では「参事」として、ひな壇の2列目に座っています。6月2日の本会議では、木札による投票がありましたが、清野参事は、白票(賛成票)を受け取る係として、谷垣禎一・自民党総裁ら、自民党、公明党などの議員から、白票を受け取って、投票計量器に投函する手慣れた姿がみられました。その後、投票計量器を見ながら、集計しました。

 
[画像]投票計量器の白票の数を数える清野宗広参事(委員部長)と、それを見守る鬼塚誠・衆議院事務総長、横路孝弘・議長、2011年6月2日の衆議院本会議、インターネット審議中継からキャプチャ・トリミング。

 本会議場に向かって左側のひな壇の2列目の議長より筆頭席が、衆議院事務次長の席になります。前列のひな壇の筆頭席には、内閣総理大臣の席となります。総理大臣の演説、代表質問、予算案、重要な閣法の審議や採決のときには、総理の左肩の後ろにうつります。ですから、総理秘書官だと思っている人が多いでしょうが、実際には衆議院事務局の職員、衆議院参事らということになります。

 
[写真]ひな壇で起立する首相。後ろ側(向かってやや右側)が井上茂男・衆議院事務次長=当時、2011年6月2日の衆院本会議、衆議院インターネット審議中継から。

 というわけで、これからは、菅総理の後ろが、事務次長になった清野さんが座る指定席となります。ただ、6月30日付で退職した井上さんは6月で満60歳ですが、清野さんも12月で満60歳になります。

 財務省が今週発表した「平成21年度国の財務書類」の101ページによると、衆議院の職員は1719人いるそうです。これは、衆議院事務局(衛視・運転手含む)、調査局、法制局の3つの部門の合計だと思います。これだけのスタッフがいるのですから、ホームページへの議案のアップを早くしたり、理事会や議運のインターネット中継を始めたり、衆議院規則223条にもとづく傍聴章の交付対象を広げたりするなどの改革に取り組んで欲しいところです。

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