宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

7月6日(水)に衆院予算委員会で国会正常化か?

2011年07月04日 17時35分52秒 | 第177常会(2011年1月)大震災・3党合意


 私は昨年の3月に、とあるコンベンション施設で、松本龍さんにエスカレーターで、前を譲ってもらったことがあります。とある参院議員と2人で話していて、長幼の序、エレベーターに乗るところで、「松本先生どうぞどうぞ」と言うと、「いいよいいよ」と言われて恐縮しながら、先にエスカレーターに乗りました。そのときはその参院議員に「さっきの本会議でノー原稿で演説してましたよね?」という話をしていて、松本さんは衆院なので、「えっなに(参院)本会議でノー原稿?やるねえ~」と後ろから話に加わってくれました。大変なジェントルマンだと思いましたが、慣れない閣僚生活と「3・11」の重責と緊張のなかで、吹っ切れすぎたのでしょうか。ちょっとよく分からない現状です。

 6月22日の衆院本会議(会期の8月31日までの延長)の翌日から、きょう7月4日まで合計8営業日、本会議・委員会がまったく開かれないという最近では珍しい国会空転が続いていましたが、与野党衆参とも正常化への意識は高く、あさって7月6日(水)に、衆院・予算委員会集中審議ということになりそうです。

 「浜田政務官引き抜き事件」がありましたので、参院自民党がしっかり国会に戻ってくれるのが大前提です。参院自民党も野党5党共同で、「原発被害者への(東電を待たずに)国費による仮払い法案」を参議院先議で出しています。これは参院では可決される可能性が高く、衆院でも絶対安定多数を占める民主党とも、委員会での政治家同士の修正協議次第ということになります。参院自民党も早く審議をしたいでしょう。ただ、「浜田事件」がありました。会期末までの日程をまだありますから、多少の冷却期間としてのここ8営業日、あすを入れて9営業日、集中審議(法案との直接の関係はない)を入れても、合計10営業日の空転はやむを得ない、民主主義のコストだ、と私は考えます。

 とにもかくにも衆参同時の正常化が必要です。昨日のNHK日曜討論で、自民党の石原伸晃幹事長が唐突に「自民党は審議拒否はしていませんよ」と強調しました。石原さんの言うとおり、私も自民党は審議拒否をしていないと考えます。とはいえ、やはり、国会運営をめぐる有権者の監視の目が強まっていることを感じさせる発言でした。そして、石原さんは「浜田事件」についても「引き抜いた、引き抜かない、という話は(民主党も自民党も)両方悪い」と述べて、自民党内での衆院と参院がまとまっていないのではないか、ということをうかがわせました。

 というわけで、国会空転だと、特段ネタもないので、当ブログも開店休業となってしまいそうですが、ブログというのは定期的な更新を楽しみにしてくださっている方もいらっしゃるので、更新しました。中には、「具合が悪いのか?」と心配してくださる方もいるので、こうやって更新しました。

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 心配ついでに、民主党1期生を中心とする衆議院議員が心配です。マジメな人が多いので、1月24日から通常国会があり、3月11日に大震災があったということで、平日は東京、土日は被災地で、あまり選挙区に帰れていない人がいるようです。

 それと、心配ついでに、あまり選挙区で後援会活動としての戸別訪問をあまりしていない人が多いようです。各種団体の行事に「(与党の)民主党衆議院議員、○○先生のごあいさつです」との紹介で、登壇して、それが第46回総選挙の票になると思っている人が少なくないようです。ぜひ、その人は、民主党の2期生以上の先輩に聞けば、分かるはずです。その団体は、野党時代は、民主党議員を登壇させていないし、イチバンヒドイのは、入場拒否、あるいは入場しても、来賓としての名前の読み上げすらしていなかった団体です。そんな団体は向かい風になれば、またそっぽを向くし、第一、歳出のうち政策的経費が実質マイナスとなっているなか、各種団体の選挙での応援は、もはや集票マシーンというよりは、何とか選挙の体裁を保ってくれるというぐらいの存在になりつつあります。各種団体のしめつけで、逆風下のマッチレース1人区(小選挙区)を勝てるとは思えません。各種団体のしめつけは「昨年はオタクの団体を仕分けたけど、選挙の応援をしないと、来年はもっと仕分けるぞ!」とやるのでしょうか。そんなの無駄です。

 私は、2人ないし3人の有力候補(予定者)のうち、戸別訪問に来てくれた候補(予定)者を、情勢が厳しければ応援してあげよう、育てようとするのが有権者の本音だと考えます。やはり、1期生でも「衆議院議員」という名刺を持った人が自分の家にあいさつに来てくれればうれしいものです。例えば、衆院なら、日本共産党員だって、家に来てくれた候補(予定者)がいれば、小選挙区では同党公認候補が立候補していても、当選は厳しく死に票になりますから、民主党の候補者に入れるという人がいても、まったく不思議ではありません。私の経験上、衆議院議員に自宅にあいさつに来られてイヤだという人間、それこそ、社会的存在としての「人間」(Human Being)はいない。衆議院議員が地元有権者に戸別訪問して、つっけんどんな対応をされたら、あの菅直人さんと同じ肩書きの衆議院議員でも、精神力でもショックかもしれない。その場合の特効薬があります。早く、次のインターフォンを鳴らすことです。「民主党は大変だけど、頑張りな」という温かい声に少しでも早く癒されるために、1秒でも早く、隣の家のインターフォンを鳴らすのです。公明党は「マイ獲得運動」を展開して、「県会議員」などの現職の名刺を使って、創価学会以外の支持者を増やしていたので、統一地方選後半戦で完勝しました。

 さて、比例復活ながら評価の高い1期生の議員が自身のブログで先輩議員から地元の飲屋街をわたり歩いて、日常活動の足腰を強くしたと聞いて、地元の食堂3軒をはしごしたら、けっこう名前を知られていました、と書いていました。これを聞いて、「あっもっと面白い方法があるのにな」と思ったので、それをきょうはぜひ書きたいのです。

 それは、第41回衆院選、初めての小選挙区で、四国地方で、新進党公認で2度目の当選を果たした衆議院議員から聞いた、日常活動必勝法です。その人は2期半、県会議員をやっていました。県会の定例会が開催されると、選挙区から県庁所在地に出て、日帰りができないので、ホテル暮らしになります。ここで、自民党の県議などはお互い飲み歩いて、その辺りの社交術で、一定の当選回数になると、議長ポストを手に入れるわけですが、この人は初めから国政に打って出るつもりだったので、県会での出世は興味ありませんでした。県会の定例会の審議は夕方に終わりますから、そうすると、県庁所在地のいわゆる「スナック」という類の酒食店に出かけます。スナック店内には、だいたい、ママとお客さんが10人くらいがいるでしょう。スナックの場合は、お客さん同士も顔なじみのことが多いです。20・30歳代の見知らぬ若い男性が一人で来店すると、初めは他のお客さんは声をかけないですが、ママは気を配りますから、段々打ち解けてきます。そうすると、会話の内容からお客さんも「なんだい、あんた県会議員さんかい?」という話になってきます。そうすると、「地元はどこ?」という話になりますから、選挙区を言うと、お客さんはそこに友達か親戚が1人以上はいるそうです。私もその後、地方周りをするようになって分かりましたが、県庁所在地というのは、働きに出たり、移住したりするなど、つねにその県の中心的存在です。だから、歴史的経緯として、そこに県庁が置かれ、県会議事堂もあるわけです。そうやってママとお客さん全員と友達になり、名刺を渡し、相手の連絡先も教えてくらうぐらい一晩で、打ち解けあう。楽しみながら、腹ごしらえもしっかりして、翌日の県会に向けて、ホテルに帰る。そして、寝る前に、新しい友達全員にお手紙を書く。選挙区の人がたまたま県庁所在地に出張していて会ったとなれば、地元に帰ればすぐに戸別訪問に出かけたのでしょう。そうでなくても、一晩とはいえ、小さいスナックで一緒に食事をし、話した突然あらわれた県会議員さんというのは、ずっと記憶に残るでしょう。ちなみに、1度行ってみんなと友達になったスナックですが、同じ店には2度と行かなかったそうです。

 この人は県議としては世襲ですが、国会議員としては非世襲議員です。お父さんはたしか58歳で県議を引退したそうです。なぜなら「僕は28歳の今、県議に出て実績をつくらないと衆議院議員になれない。だからお父さん、58歳だけど辞めてくれ」と説得して、引退してもらったそうです。そして、県議3期目で、38歳で国政に出た第40回衆院選は、中選挙区時代で全県区でしたから、かつての1夜限りのスナック友達もみんなが有権者ということになります。新党ブームの新生党公認ということもあり、初当選しました。そして、第41回衆院選は、新進党公認として、唯一の四国の小選挙区での議席を取りました。ちなみに、この選挙で自民党以外で四国の小選挙区で勝ったのは、もう1人、民主党元職の仙谷由人さんしかいませんでした。2人とも当選2回目ということになりました。ただ、やはり野党で小選挙区で勝つと、いろいろ軋轢があったのかどうか分かりませんが、けっして、金権選挙みたいなことをしたわけではないでしょうが、連座制適用で衆院議員を続けることができなくなりました。しかし、すぐに地元の市長に当選し、現在も務めています。やはり、スナックで「一夜限りとは言え、率直に語り合った仲」の人たちは、逆風のときこそ、支えてくれるんだと思います。

 選挙について、得票差で「圧勝だ」と表現する人が多くいます。私は小選挙区では、得票率で判断すべきだと思いますが、どうしても、「3万票の大差だ!」という言い方が好きみたいです。しかし、選挙に強い人というのは、「51%対49%」で勝てる人です。なぜなら、途中で情勢が伯仲していると分析は、どんなに小さい選挙でもオピニオン・リーダーは分かりますから、「あの子(人)を負けさせてはいけない」というオピニオン・リーダーたちの徳俵で勝ちます。だから、大逆風下でも勝てるようにするには、戸別訪問しかありません。

 初当選以来10万票以上の得票で連続当選している(比例復活あり)ある副大臣は、地元の秘書に、「各種団体の行事への代理出席は基本的にしなくていい」ということで、平日に休みをとってもらい、かわりに戸別訪問をしてもらうようにしているそうです。そして、土日に帰ったときは、1日に複数回のミニ集会をハシゴしています。

 また、別の議員のブログを読んで驚いたのですが、その議員は、同僚の閣僚経験者の誕生日にお花を贈ったそうです。民主党のどこにそんなお金があるんでしょうか。原資は資金管理団体や総支部ということでしょうが、お花を贈らなければ仲良くしてくれないような人に、贈っても意味はありません。そもそもこの人は総支部の水脈を絶たれそうになっていた人です。時代認識がおかしいです。私は政権交代選挙から2年が経ち、1期生議員にある傾向を見つけました。それは、1期生議員には初当選直後に「気負っている人」と「おごっている人」がいるということです。そして「気負っている人」は危なっかしく見えて、先輩のそれとない誘導もあり、あれよあれよという間に実績を挙げます。「おごっている人」は、自分の居場所がなくなっています。それでも勉強に徹すればいいのに、人間の性、「与党議員らしいこと」をやろうとしてしまうのですが、政府与党の幹部から見れば目障りで、政権を前に進めるうえでは、「線路の置き石」になっています。「気負っている人」→「評判の良い人」になった1期生議員も、統一地方選では、系列地方議員を減らしてしまった人が多いようですが、大型選挙は白黒ドミノになる傾向がありますから、心配ご無用でしょう。泣くのがイヤならさあ歩け。

 とにもかくにも、各種団体ほどアテにならない物はないというのが2011年日本の国政だと考えます。