私個人にとってはいわくつきの映画でした。しかし、映画は主題設定の確かさ、出演者たちの好演などによって素晴らしい映画に仕上がっていました。
いわくつきの映画とは…、私のうっかりミスから起こったことでした。
当選確率の低い試写会に当選しながら、私のうっかりミスから見逃してしまい昨日(12日)改めて札幌シネマフロンティアに出向いて観賞したのでした。
映画は主人公の三浦友和演ずる地方私鉄に勤める運転手が定年間近にして生起した夫婦間の葛藤を描いたドラマです。
仕事一筋に実直に仕事を勤め上げた主人公は定年後は妻と二人でゆっくり過ごしたいと願っていた。しかし、妻は夫の定年退職を機に結婚を機に辞めた看護師の仕事を再開したいと宣言した。二人は衝突し、話は二人の離婚にまで発展してしまう。
こうした夫婦の間の価値観の相違は大なり小なり今の私たち世代は内包しているのではないかと思いながら私は映画に見入りました。
武骨で不器用な生き方しかできない主人公を三浦友和が好演しています。それはどこか三浦友和のイメージにオーバーラップできたからかもしれません。
妻役の余貴美子は演技派で名高く期待に違わずいい味を出していました。
そして効果的だったのが、二人を支えた脇役たちです。二人の娘役の小池栄子、主人公の運転手見習い役の中尾明慶といった面々がしっかりと脇をしめていました。
映画の副題となっている「愛を伝えられない大人たちへ」という副題は、今退職期に入っている団塊世代のたくさんの男と女に、夫婦とは…、人生とは…、互いを思いやるとは…、などなどのメッセージを投げかけられているように感じながら画面に魅せられていました。
良い映画に出会えた、と思いながら映画館を後にしました。