ニュージーランドの旅でお世話になったT氏が帰国した。道東に住むT氏が昨日来札したので一献傾けながら、ニュージーランド話に花を咲かせた。
「いや~、やっぱり日本がいいなぁ~」と、T氏はしみじみそう漏らす。
某居酒屋で出された魚介類に舌鼓を打ち、日本酒に喉を潤しながら…。
無理もない。60年間も日本での生活にどっぷりと浸かっていた男が一人異国で6ヶ月も暮らしていたのだから…。
T氏が本音を漏らした。
「実は途中で切り上げて帰国しようと真剣に思ったことがあった」と…。
「へぇ~」と思った。あちらで会った時のTは、私から見ると十分にあちらの生活を楽しんでいるように見えたのだが…。
彼によると、周りに日本語を話す人がいない中での英語漬けの生活に疲れたこと。語学学校では自分の子どもよりも若い学生と机を並べる毎日だったこと。(彼のような年齢の人はいなかったようだ)もちろん食べ物の問題もあったことだろう。
そうした「帰国したい」という思いを断ち切り、所期の計画を全うできたのはホームスティ先のロス&サンドラ夫妻の存在だったいう。
T氏とロス&サンドラは同年代である。他に寄宿していた若い学生に対して(2人ほどいたようだ)、分別もあり常識的言動をするTは夫妻の信頼を深く勝ち得ていたようだ。そのことは私が5日間一緒した中でとても感ずることができた。
※ 左から氏、サンドラ、ロスの順でカメラに収まった。
私もわずか5日間ではあったが、ロス&サンドラ夫妻のフレンドリーで、親切に接してくれた夫妻には心から感謝したい思いがある。
あの5日間の体験が今回のニュージーランドの旅を一層意味深いものにしてくれたと思っている。
Tに提案した。「彼らを日本に呼ばないか」と…。
実はそのことはあちらにいたときにも私は彼らに提案してみた。しかし、なぜか彼らはその提案には消極的で、反対に私が彼らと別れるとき「please return to N.Z」と記した手紙をいただいたほどだった。
それでも、もう一度Tを介して彼らに呼びかけてみよう、ということになった。
果たして彼らはどう反応するか? 例え私たちの提案が実現しなくとも、私たちの思いがロス&サンドラに伝わってくれれば、それはそれでいいとも思っている…。