ヘンリーマンシーニーの主題歌にのって、当時のトップスターだったオードリーヘプバーンとゲーリーグラントが共演する「シャレード」は良き時代の映画の魅力をたっぷりと注ぎ込んだような楽しい映画だった。
また恐ろしく古い時代の映画を話題にしたと思われるかもしれないが、そのとおりである。
札幌市生涯学習センター(ちえりあ)が開催する「ちえりあ映画会」の3月の上映は1963年制作の「シャレード」だった。
邦画の佳作を上映することが多い「ちえりあ映画会」としては珍しい選定のような気もした。
以前、「小さな町の小さな映画館」の感想をこのブログで述べた際、 「映画館で映画を見ることが、自宅のテレビでDVDを見るのとは明らかに違うと思っている」 と記したところ、映画を作った森田監督から直接「私もその意見に賛成です」とのコメントをいただいた。
今回、3月15日(金)午前、ちえりあ(西区宮の沢1条1丁目)での上映にもその思いで駆けつけた。ちえりあホールには私と同じ思い? いや観賞代が無料という魅力に吸い寄せられて(私のもう一つの理由でもあるのだが)たくさんの中高年の方々が集まっていた。
冒頭にも記したが1963年制作というと、今から50年前の映画である。
当時、世界的に大ヒットした映画だというが、大ヒットするだけの魅力が散りばめられた映画であることが良く理解できる映画である。
まず、キャストが素晴らしい。当時の映画会でケリーグラントとオードリーヘプバーンという二大スターが共演するというのは夢のような組み合わせだった。さらに二人の脇を固める助演陣たちもジェームズコバーンをはじめ有名どころが顔を揃えている。
そして音楽がまた当代随一と云われたヘンリーマンシーニーが担当している。
当時人気絶頂だったヘプバーンの衣装は当時のファッション界をリードするジパンシーが提供するといった具合である。加えて舞台はパリと、全ての魅力が詰まったような映画である。
映画は欲深き人たちが次々と殺されるサスペンスなのだが、けっして暗い映画ではない。ウイットに富んだ台詞が散りばめられ、ラブロマンスの要素があり、最後の大どんでん返しありと、印象してはラブコメディ・サスペンスといった感じの映画である。
映画はさまざまな側面をもっている媒体であるが、この映画は観客を最大限楽しませようという典型的な大娯楽作ということが云えそうである。
ちなみに「シャレード」とは直訳すると「台詞によらない描写、ことば当て遊び」などと訳されるらしいが、ここでは「謎解きゲーム」という意訳が最も適しているように思う。
いや~、映画って本当にいいものですねぇ~。という往年の名映画解説者 水野晴郎氏の言葉を借りて「シャレード」の感想としよう。