豊平川は札幌市と千歳市の境界に位置する小魚山に源を発し、石狩川との合流地点まで約72.5㎞の長さの一級河川である。その沿岸の地質的な特徴について話をうかがった。
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5月11日(土)、北大総合博物館が主催する土曜市民セミナーにおいてタイトルのようなちょっとお堅い講義を受けた。講師は長い間札幌の地質を研究されている札幌市立柏中学校教頭の前田寿嗣氏だった。
講義は、①空から見た豊平川と札幌地形、②豊平川流域で見られる地形と地質、③豊平川扇状地の形成、④扇状地とメム(泉)、⑤玉ねぎ畑と自然堤防、と5項目からなっていた。
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前田氏は冒頭に札幌の地形を上空一定の高さから鳥瞰図的に見せてくれたのだが、凄かったのはそこからだった。藤田氏はその図を360度回転して見せてくれたのだ。
説明によると、「カシミール3D」というソフトを使用すると誰でもそうした図を作成し、アニメ的に動画として作成できるという。ただし、そのために藤田氏は9000枚の鳥瞰図を作成したということである。
私たちは講義の冒頭で豊平川の源流から、石狩川に合流する地点までを一気に空から概観することができた。
前田氏によると(というより地質の世界では常識なのだろうが)豊平川によって削られた河岸の露頭などを調べると、ハイアロクラストナイトという海底火山の堆積物で構成されているということだ。
そういえば以前、豊平川河岸でサッポロカイギュウという海生生物の化石が発掘された話を伺ったことがあった。
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札幌の市街地が豊平川扇状地で形成されていることはこれまでいろいろな講座を受講していたことから知識としてあったが、その扇状地は豊平川右岸側の古い扇状地-平岸面と左岸側の新しい扇状地-札幌面に分かれるそうだ。その境界はには段差ができており、そこに精進川が流れていることも教えられた。
さらに私にとって新たな知見は、扇状地である札幌市特有の地形としてメム(泉)がたくさん噴出するということは知っていたが、それが今では地下鉄工事などで地下水脈が寸断されたこともあり、現在残っているメムはいずれも人工的に水を流しているのだということを新たに知ることができた。
学生時代から札幌の地形(地質)の研究を続けているという藤田氏は関係図書もたくさん執筆していて相当に実績のある方のようだが、さすが中学校の先生である。私たち素人にも分かりやすく説明いただき興味深くお話を伺うことができた。
それにしてもカシミール3Dを使用した鳥瞰図アニメは素晴らしい。パソコンの進歩にはおじさんはとてもついていけませんなぁ…。