田舎おじさん 札幌を見る!観る!視る!

私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

カラスとどう向き合うか?

2014-04-23 16:04:24 | 講演・講義・フォーラム等
 色が黒く、雑食性のためゴミを食い荒し、その上時には人を攻撃するなどの生態から一般には忌み嫌われているカラスであるが、講師はカラスを駆除することによって生態系に負荷を与え、都会をコンクリートジャングル化して良いのか、と警告したのだが…。 

         

 4月16日(水)夕刻、紀伊國屋インナーガーデンで「東海大学公開講座 ヒューマンカフェ」が開催された。
 テーマは「野生生物との共生-カラス-」と題して、東海大学生物学部の竹中万紀子准教授が講師を務めた。
 竹中氏は札幌市内のカラスの動態を長年観察し続けるとともに、外国の研究家とも連携を取りながらカラス研究に打ち込んでいる方である。

 氏は札幌市内のカラスの生息数は6,000羽前後と推測する。そして、雛が成鳥になる比率が近年低くなっていると指摘する。その要因は、可燃ゴミ(生ゴミ)を出すルールが徹底されてきたからだという。
 また、2013年に餌付け禁止条例が施行されたことも影響しているという。
 竹中氏が、こうした施策自体を非難しているわけではないことも付記しておかねばならない。

 次にカラスの攻撃性についてだが、このことは良く言われることであるが、特にカラスが雛を育てる時期は非常に神経質になっているということ。また、子細に観察していると必ずといってよいほどヒトが先制攻撃を仕掛けているという実態があるという。すると、カラスは攻撃した人、またはそれに似た人を攻撃するのだという。

          

 さて竹中氏の問い掛けである。
 カラスの生息数を制限するうえでも、生ゴミの管理方法や、餌付けの禁止などは是としても、カラスの絶滅を望むのはどうなのだろうか?という問い掛けである。
 例えば、数年前にマイマイガが大発生した時に、カラスはこうした害虫を食することによって被害の減少化に役立っていた。その他にも生態系の中でカラスが人間社会に恩恵をもたらしている点に注目すべきであると、竹中氏は主張する。
 野生生物が減少してしまってコンクリートジャングル化してしまった札幌の街が望む姿なのですか?と…。

 うーむ、難しい問い掛けである。
 夕暮れに、あの数千羽とも思われる黒い軍団が、空を真っ黒に染めてねぐらに向かうさまを見ると、背筋が寒くなるのも事実である。
 また、カラスに追いかけられてパニック寸前に陥ったことも一度ならず経験している。
 かといって、カラスが街から姿を消せば、竹中氏が指摘するような味気ない街が現出したり、あるいは生態系への想定外の影響が出てきたり、というようなことが考えられるのか…。うーむ、難しい問題だなぁ…。