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外来生物とどう向き合うのか?

2014-04-21 16:58:11 | 大学公開講座
 外来生物であるアライグマが人間社会に深刻な影響を及ぼしているという。日本は今、アライグマをはじめとして外来生物が氾濫しているといっても過言ではない。これら外来生物とどう向き合うべきなのか?研究者の話を聴いた。 

 4月12日(土)、北大博物館土曜セミナーが開催され、北大大学院文学研究科の池田透教授が「外来アライグマ対策を通して見える人間社会」と題されて話された。

                 
        
 外来生物とは、自然の力(風や波の力など)で移動したものは外来生物とは言わず、人為的に移動した生物を指す言葉であるという。
 したがって、外来種問題とは人間と生物の様々な関係が凝縮した問題であると池田氏は指摘した。

 そして、在来種被害対策(シカやクマなど)の考え方は、被害が生じないレベルに個体数を調整することが目的だが、外来種の被害対策の考え方は、生態系への影響を考えると根絶させなければならない問題であるとした。
 ところが人間社会には根絶を困難にする特性があると池田氏は指摘した。その特性とは、
(1)問題が長期化することによって人間社会には「慣れ」と「諦念」が広がってくる。
(2)成果(結果)を評価するのではなく、行動したこと自体で満足している。
(3)生態系への影響のような認知しにくい問題に目を向けられない。
(4)生き物の命を奪うことへの抵抗感がある。(日本社会の特性)
 こうした人間社会の特性が外来生物の根絶を困難にしているという。

 池田氏は大分県が行政・民間が一体なって取り組んだアライグマ駆除作戦に研究目的で参加したが、そこでは上記したような点を克服してかなりの効果を上げたという。

          

 ニュージーランドにおける外来生物対策は参考になるらしい。それは(1)科学的であり、(2)問題を単純化すること、(3)そして市民の情緒に訴えることだという。
 ニュージーランドの国鳥でもある「キゥイ」が外来生物のために絶滅寸前の状況に陥っていることから“Imagine Kiwi”(キゥイのことを考えろ!)というスローガンのもとに外来種の根絶の取り組みを行っているということだ。

 私はこの春、奄美大島を訪ね、奄美大島において外来生物であるマングースの根絶を目指して活動する「マングース バスターズ」の存在を知り、実際にそのワナも見ることができたし、バスターズの一員にも会い話を聴くこともできた。
 今、奄美大島におけるマングースは根絶寸前とも聞く。池田氏はこの取り組みが今の日本におけるモデルケースだとも言った。

 今や日本における外来生物の種類は実に2,000種を超え、生態系に深刻な影響を及ぼしているらしい。
 それらを根絶するなどということは遥か彼方の目標に違いないが、問題の深刻さをアピールし続けるとによって理解者を増やし、この問題が解決へ向けて前進することを願いたいものである。