田舎おじさん 札幌を見る!観る!視る!

私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

映画 154 駅 STATION

2016-02-11 22:10:30 | 映画観賞・感想

 ご存じ今は亡き高倉健さんの代表作の一つである。昨日投稿のX-ミッションが莫大な予算を投じて作るハリウッド流大娯楽映画だとすれば、こちらは主人公を巡るさまざまな人間模様を細やかに描く日本映画の傑作の一つと呼んでも良い映画ではないだろうか?

                   
 
 拙ブログに何度も登場する「めだかの学校」の「映画の中の北海道-昭和編」の2月上映会が2月8日(月)午後にあった。
 そこで今回取り上げられた作品が「駅 STATION」だったのだ。
 この作品は1981年に制作され、大ヒットした映画だから多くの人がすでに観賞された映画だと思われる。私もテレビ放映されたものも含めると確か3度目のような気がする。
 映画は主人公の英次(高倉健)を巡る三人の女性の名を冠した一見オムニバスのような形式を取っているところは脚本の倉本聰さんの一ひねりした工夫なのか?

 〔直子〕~いしだあゆみ演ずる、英次の妻である。警察官の英次は過酷な仕事とオリンピックの射撃選手として練習が続いたことが原因で妻・直子と離婚した。とあるが、私は銭函駅で英次に思い直すように諭す叔父?or上司?が言った「一度くらい許してやれよ」という趣旨のセリフが引っかかったのだが…。
 
 〔すず子〕~烏丸せつ子演ずる、増毛駅前の風待食堂で働く娘である。彼女の兄は通り魔のように若い女をなぶり殺しにして警察に追われる身となる。その兄をかばうため、すず子は警察の追及を懸命にかわすが、慕う兄に会いたいがために墓穴を掘ってしまう。

           

 〔桐子〕~倍賞千恵子演ずる、やはり増毛駅前で居酒屋を営む女将である。ふとしたきっかけから英次と親しくなる。しかし、桐子には指名手配になっている元恋人がいた。その元恋人をかくまう桐子の家に踏み込んだ英次は、指名手配犯が銃に手をかけたとたんに反撃して射殺してしまう。

 射撃の名手として各地の凶悪犯罪の犯人を銃殺する任務に疲れた英次は警官を止めることを一度は決心するが、桐子の恋人を射殺し、桐子に背をむかれたことから退職願を破り捨て、増毛駅から勤務地の札幌へ帰っていく…。

                  

 高倉健をはじめとして、女優陣の演技がそれぞれ素晴らしい。特に倍賞千恵子の高倉健に心を寄せていくところの自然さ、可愛らしさが出色である。そして、桐子の店で何度も流れる八代亜紀の「舟唄」が絶妙の効果を発揮している。
 一人ひとりの本当の心のうちは誰もわからないが、観る者それぞれが彼や彼女らの心の内を推し量りながら観る映画ではないだろうか?

 一つだけ、重箱の隅を突くようなつまらぬ指摘をするとすれば、英次があまりにも簡単に犯人を銃殺してしまうシーンに違和感が残った。
 現実の犯人捕捉の場合などは、一発の発砲で致命傷を負わせるようなことはないはずである。ましてや英次は射撃の名手という設定だ。急所を外して撃つことは容易のはずである。それがいきなり心臓部を狙い打つというシーンが確か2度ほどあった。ストーリーの展開上いたしかたない、という解釈も成り立つが、映画全体が素晴らしいだけにちょっと残念に思った場面だった…。

 映画は全編が北海道ロケで制作されたようである。特に増毛町の駅前の様子は1980年代の北海道の田舎の様子が描かれていて、懐かしい思いを持ちながら見入ることができた。