彼は相当な自信家らしい。自説を声高らかに、自信満々に語り続けた。日本経済の見通しはけっして暗くないと…。但し書きではあるが、再び高度成長をする絶好の機会がやってくると語った。
北海道トラック協会の専務理事をしている知人K氏から今年も「トランスポートセミナー」の案内が届いた。今年の講師は経世研究所社長の三橋貴明氏だった。三橋氏は、単に研究所を経営するだけではなく、作家、経済評論家、エコノミスト、中小企業診断士と様々な顔をもっているようである。
2月15日(月)午後、北海道トラック協会が主催する「トランスポートセミナー」が三橋氏を迎えて、ホテルポールスターで開催され、受講した。三橋氏は「『日本経済』の真実」と題して講演した。
三橋氏は冒頭、政府は普通の経済政策をしていない。特効薬の使い過ぎだ、と批判した。
政府の目的は「經世濟民(けいせいさいみん 経世済民)」、つまり世を經(おさ)め、民を濟(すく)うことなのだが、現状の政府はそこから逸脱している、という。
そして三橋氏は経済の仕組み(所得創出のプロセス)について、非常に簡略化した形で私たちに説明した。それは次のように図示されたものだった。
〔生産〕→ 〔消費〕→
生産者 付加価値 消費者
←〔所得〕 ←〔支出〕
※ 生産 = 消費 = 支出 = 所得
つまり、図示されたサイクルが活発に回ることで、実質GDPは上昇し、実質賃金も上がるということである。
ところが、現状の日本はバブル崩壊後、企業は借金返済に奔走し、国民は貯蓄に走り、政府は緊縮財政に舵を切ったためデフレーションとなってしまった。
そのため実質GDTは伸びず、実質賃金も1977年から下がり続けているという。
三橋氏は云う。デフレの状態では基本的に経済成長は望めないと…。
したがって、一日も早くデフレ状態を脱却し、むしろインフレ状態を創り出すべきだと主張する。
そのためには、公共投資を積極的に行い、総需要が(名目GDP)が供給能力を(潜在GDP)を上回る状態とすることだという。
公共投資…、つまり国が借金(国債)を増やしてでも、積極的に条件整備をすべきだというのだが、三橋氏の論だと日本において財政破たんの恐れなどけっしてないという。その訳についても論及されたが、そのことはここでは割愛する。
総需要が供給能力を上回ることをインフレギャップと称するが、そのような状態の時こそが経済成長が期待できるとした。
さらに三橋氏は、日本の少子高齢化も悲観材料ではないという。
生産人口は確かに減少するが、それはそのままの人口減少には繋がらず(高齢化)総需要は変わらず、供給能力が小さくなるということで、そこにインフレギャップが生ずるからであるとした。
そのインフレギャップを埋めようと生産性の向上を図るという作用が生ずるので、全体としての経済成長が期待できる、というのである。
以上、三橋氏の主張をうまくまとめることができたかどうか、不安は残るが大略以上のようだったと私は解釈した。
そして彼は言った。時の政府がおかしな経済政策を取らず、普通の経済政策を行っていけば、三橋氏が予言するような経済成長する機会がかならずやってくると話を締めた。
あまりにも自信満々の三橋氏の気迫に気おされそうになりながら聴いた私だったが、少し時間が経ってみると、そんなに簡単なものなのかなぁ、というのが偽らざる思いである。
幾多のエコノミスト、研究者らが、あらゆる角度から、あらゆる論を展開しているのが経済の世界である。誰もが正解を見出しづらいのが経済の問題ではないだろうか?
私にはまったく縁遠い世界であるが、三橋氏の話は日本経済に期待感を持たせてくれた、という点ではお話を聴いた価値があった講演会だった。
北海道トラック協会の専務理事をしている知人K氏から今年も「トランスポートセミナー」の案内が届いた。今年の講師は経世研究所社長の三橋貴明氏だった。三橋氏は、単に研究所を経営するだけではなく、作家、経済評論家、エコノミスト、中小企業診断士と様々な顔をもっているようである。
2月15日(月)午後、北海道トラック協会が主催する「トランスポートセミナー」が三橋氏を迎えて、ホテルポールスターで開催され、受講した。三橋氏は「『日本経済』の真実」と題して講演した。
三橋氏は冒頭、政府は普通の経済政策をしていない。特効薬の使い過ぎだ、と批判した。
政府の目的は「經世濟民(けいせいさいみん 経世済民)」、つまり世を經(おさ)め、民を濟(すく)うことなのだが、現状の政府はそこから逸脱している、という。
そして三橋氏は経済の仕組み(所得創出のプロセス)について、非常に簡略化した形で私たちに説明した。それは次のように図示されたものだった。
〔生産〕→ 〔消費〕→
生産者 付加価値 消費者
←〔所得〕 ←〔支出〕
※ 生産 = 消費 = 支出 = 所得
つまり、図示されたサイクルが活発に回ることで、実質GDPは上昇し、実質賃金も上がるということである。
ところが、現状の日本はバブル崩壊後、企業は借金返済に奔走し、国民は貯蓄に走り、政府は緊縮財政に舵を切ったためデフレーションとなってしまった。
そのため実質GDTは伸びず、実質賃金も1977年から下がり続けているという。
三橋氏は云う。デフレの状態では基本的に経済成長は望めないと…。
したがって、一日も早くデフレ状態を脱却し、むしろインフレ状態を創り出すべきだと主張する。
そのためには、公共投資を積極的に行い、総需要が(名目GDP)が供給能力を(潜在GDP)を上回る状態とすることだという。
公共投資…、つまり国が借金(国債)を増やしてでも、積極的に条件整備をすべきだというのだが、三橋氏の論だと日本において財政破たんの恐れなどけっしてないという。その訳についても論及されたが、そのことはここでは割愛する。
総需要が供給能力を上回ることをインフレギャップと称するが、そのような状態の時こそが経済成長が期待できるとした。
さらに三橋氏は、日本の少子高齢化も悲観材料ではないという。
生産人口は確かに減少するが、それはそのままの人口減少には繋がらず(高齢化)総需要は変わらず、供給能力が小さくなるということで、そこにインフレギャップが生ずるからであるとした。
そのインフレギャップを埋めようと生産性の向上を図るという作用が生ずるので、全体としての経済成長が期待できる、というのである。
以上、三橋氏の主張をうまくまとめることができたかどうか、不安は残るが大略以上のようだったと私は解釈した。
そして彼は言った。時の政府がおかしな経済政策を取らず、普通の経済政策を行っていけば、三橋氏が予言するような経済成長する機会がかならずやってくると話を締めた。
あまりにも自信満々の三橋氏の気迫に気おされそうになりながら聴いた私だったが、少し時間が経ってみると、そんなに簡単なものなのかなぁ、というのが偽らざる思いである。
幾多のエコノミスト、研究者らが、あらゆる角度から、あらゆる論を展開しているのが経済の世界である。誰もが正解を見出しづらいのが経済の問題ではないだろうか?
私にはまったく縁遠い世界であるが、三橋氏の話は日本経済に期待感を持たせてくれた、という点ではお話を聴いた価値があった講演会だった。