「しれとこ大百科」? なにそれ?という感じであるが、れっきとしたイベント名である。正式には世界自然遺産・知床の日 記念行事「しれとこ大百科」という行事名である。「大百科」と銘打ったのは、知床の自然のあれこれを理解し、守り育てようという趣旨のようである。
本日、1月30日は「知床の日」だということだが、この日を「知床の日」と定めたのは、2005(平成17)年に知床が世界自然遺産に指定された年に流氷が知床に接岸した日にちなんだということだ。
本日(1月30日)午後、ホテルライフォート札幌を会場にして表記記念行事が開催され、参加した。記念行事は、「未来へつなぐ!北国のいきもの守りたい賞」の受賞団体の表彰式、さらには被表彰団体の活動発表、そして講演という内容だった。
「しれとこ大百科」というイベントは確か今回で4回目だと思うが、「未来へつなぐ!北国のいきもの守りたい賞」は昨年に続き2回目だと説明があった。今年の表彰団体は、
◇(株)北海道アルバイト情報社
◇(株)北海道コカ・コーラボトリング
◇認定NPO法人カラカライトトンボを守る会あいあい自然ネットワーク
◇NPO法人環境把握推進ネットワークPEG
の4団体・会社だった。
短い時間の中で、それぞれが活動の内容を紹介してくださったが、自然を守り、生き物を守る活動に取り組まれていることが伝わってきた。こうした活動が広く認知され、大きな輪となっていくことを期待したい。
続く講演は斜里町立知床博物館の学芸員:内田暁友氏が「知床の植物」~オホーツクに突き出た小宇宙 植物が織りなす多様性ワールド~と題してお話された。
内田氏は冒頭、スクリーンに北海道の花であり、海浜植物の代表格のハマナスの花を映し出した。そして言語不明瞭に「雅子妃がどうのこうの」と口ごもるのである。雅子妃とハマナスの花の間に何か関係があるらしいとは思えたのだが、それ以上は分からなかった。帰宅して調べたところ、皇室には身の回りの品々を区別する目印として「お印」を用いるしきたりがあり、そのお印には樹木や花の名前が用いられることが多いそうだ。雅子妃が皇室に入られた際に「ハマナス」が選ばれたということだ。ちなみに新天皇陛下は「梓(あずさ)」だということである。
※ 北海道の花であり、雅子妃のお印でもあるハマナスの花
その後、内田氏は知床の植物の特殊性に言及された。まず海浜の植物であるが、知床半島の先端部には道路がないために他地域とは違って海域と陸域が分断されることなく繋がっているため他地域には見られない植物の分布がみられることが特徴であると語った。また、高山植物では高度がそれほど高くなくとも冷涼な気候もあり、大雪山の高山植物と似た分布がされているとした。そしてスクリーンには数々の貴重な植物が映し出された。私にとってはその植物(花)がどれだけ貴重なのかは、まったく計りかねる門外漢である。高山植物の方は若干登山も楽しんでいるので多少は見覚えのある花も登場したが、いずれにしても何のコメントも出来ない。映し出された写真だけを羅列することにする。
先述したように私は植物については全くの門外漢であり、関心も薄い。しかし、内田氏によると絶滅危惧種などの調査で何日も山に籠って植物調査をしているとのことだ。大変な努力をされて、自然の実態を調査され、植物多様性の保護に努められているようだ。植物に限ったことではないが、内田氏のように地道な努力をされている多くの方々の努力があって、私たちは地球の、あるいは自然の実態を知ることができることに感謝しなければならないのだと本日改めて感じさせられた。
※ チシマコハマギク
※ エゾモメンヅル
※ エゾヨモギギク
※ レブンコザクラ
※ バシクルモン
※ シレトコスミレ
※ 同じくシレトコスミレ
※ タカネタチツボスミレ
※ タニマスミレ
※ チシマツガザクラ
※ ラウススゲ
※ 知床五湖に繁茂する帰化植物の園芸スイレン。何とかできないものか、と内田氏は嘆いた。