「楽しみながらシカとの共生を考えよう」というNPO法人「エゾシカネット」が活動を開始してから5周年を迎えたという。その記念の集いに参加した。
本日(1月12日)午前、北区民センターを会場に開催されたNPO法人「エゾシカネット」の結成5周年の集いに参加した。私は「エゾシカネット」と特に関りはないのだが、一昨年に道民の森で開催された一泊二日の研修会に参加していたことから熱心に参加を誘われたことから参加を決めた。
記念の集いの内容は、
◆講演「エゾシカさん、いただきます!」音威子府村エゾシカ猟師 秋山 實 氏
◆子どもたちの研究発表「エゾシカ・エゾリス・自然体験など」
◆「エゾシカポルカ」の体操体験
◆カンテレミニライブ
◆シカラーメン試食会
という内容だった。
講演の「エゾシカさん、いただきます!」であるが、講師の秋山氏の肩書は「猟師」となっているが、その経歴は素晴らしい方で、東京電力でIT技術者として勤めた後、早期退職して株式会社eラーニングサービス代表取締役として会社経営を経営する傍ら、東北大学で博士号を取得するなど常に前向きに生きている方のようだ。
そうした中で数年前に北海道に一か月滞在し山登りなどを楽しんでいた時にエゾシカの問題を知ったことで、秋山氏はその解決に情熱を注ぐことになる。秋山氏は音威子府村に居を移し、狩猟免許を取得するとともに、エゾシカ問題解決のために「エゾシカの6次産業化」に取り組むことを決意したそうだ。6次産業化とはご存知のように「エゾシカを獲る(1次産業)」×「エゾシカを加工する(2次産業)」×「エゾシカ製品を売る(3次産業)」を一手に取り組むこと(三者を掛けると6次となる)によりエゾシカ猟師の自活の道を探ろうというものである。
秋山氏はエゾシカを加工する資格を得るために昨年春、名寄市立大学に入学し管理栄養士の資格取得を目指しているという。秋山氏は当年69歳であるが、その積極的な生き方、若々しい発想には心底驚いてしまった。
北海道においてはエゾシカの急増問題が深刻な農業被害(年間50億円とも言われている)
を引き起こしていることから、その対策が急務となっている。「エゾシカの6次産業化」が確立され、エゾシカ猟師としての自活の道が拓かれたとき、北海道のエゾシカ問題の解決の道が見えてくるのかもしれない。秋山氏の試みが成功することを祈りたい。
その他の集いの内容もそれぞれ意味があり興味深かったが、その全てを紹介することは私にとって困難である。そこで集いの目玉(?)である「エゾシカラーメン」の試食会についてレポすることにしたい。「エゾシカラーメン」はスープの出汁をとるのにエゾシカの骨の部分を利用するとともに、チャーシューにエゾシカ肉を利用したラーメンである。「エゾシカネット」の会員の方々が調理してくれた。味は醤油味だったが、スープはあっさり味でけっこうな美味しさだった。チャーシューの方は、エゾシカ肉は高タンパクで低脂肪という特徴があるが、その特徴があるいは人によって好き嫌いが分かれるかもしれない。
会場内には北海道のエゾシカの現状を知らせるパネルが張り巡らされ、一隅にはエゾシカを利用した工芸品が展示即売されていた。
「エゾシカとの共生を目指す」というエゾシカネットの思いが広がることを期待したい。