北海道の学校教育の現状と課題を聞いた。学校現場は私が現職でいた時代とはずいぶんと様変わりしていることが分かった。「働き方改革」が、「いじめ・不登校」が、「教員採用の現状」が、現職の校長から直接「学校教育の今」を伺った。
昨夕(1月9日)、私が所属する退職組織の新年交流会がHライフォートで開催された。会は交流会に入る前に恒例により「研修」を位置付けている。今年の研修は北海道中学校長会の事務局長を務める校長から「北海道の中学校教育における現状と課題」と題する講話を伺った。
講話の話題は、「北海道中学校長会の組織」についてと、「最近の教育情勢」の二つの話題について話された。私が特に興味関心を抱いたのはもちろん「最近の教育情勢」についてである。
教員の「働き方改革」については最近新聞紙上を賑わすことが多くなっているのには気づいていたが、その内容には今ひとつ理解できない部分もあった。お話によると最近の学校現場は以前にも増して学内勤務時間が増加したという。その理由は、①若手教師の増加、②授業の総時数の増加、③授業準備や成績処理、部活動の増加、などが挙げられるという。学校現場では若手、特に20代の教師が1/4程度を占め、さまざまな業務処理に時間がかかっているそうだ。衝撃的だったのは授業時数の増加である。以前に比べ、小学校では週13コマ、中学校で週1コマ増加しているという。(聞き間違えではない)
こうしたことに対して学校では今勤務時間の削減(働き方改革)に取り組んでいるという。その大きなものは「変動労働勤務制」の導入である。学校現場においては長期休業(夏休み、冬休み)の利用により、日常において勤務時間が膨らんだ部分を長期休業によって補填するという方法である。この部分は私が勤務していた頃から唱えられていたが、それが制度的に整備されるようである。削減策としてはさらに長期休業中の休校日の設定、留守番電話の活用、出退勤時間の管理、部活動休養日の設定などが各県、あるいは市町村単位で実施されているそうだ。さらに国として、学校支援(非常勤)スタッフの拡充策がとられているという。そういえば、私の周りにも聞き慣れない職種名で学校に関わっている方が最近増えているが、その種のスタッフ要員のようである。
かつて学校現場にいた者として、いたずらに批判することは避けるべきだと心得ている。ただ一つ、実感として言えることは学校教育の制度設計が目まぐるしく変わり、学校現場はそのことに振り回されている感じがあった。今回の改革が真に学校現場のためであることを願いたい。
「いじめ・不登校」問題については、「いじめ」は統計では過去最高という結果が示されたという。しかし、都道府県別にみると1千人当たり同じ九州の宮崎県では101.3件、佐賀県ではわずか9.7件と10倍強の差が出たそうだ。講師からは、これは調査の仕方、受け止め方の違いが出たのではないか、との話があったが、私も素直に調査結果を信じられない思いである。いじめの対する対処、指導方法も以前と比べ充実、徹底してきていると思われる。学校現場からいじめ件数が減少傾向に転ずることを願いたい。
また「不登校」の実態であるが、全国で16万4,500人という数字だそうで、近年は低年齢化が顕著だそうだ。本道では6,420人となっている。その理由としては家庭の状況37.6%、友人関係(いじめを除く)27.8%、学業不振21.6%、いじめ0.6%となっているそうだ。原因の第一が家庭の状況という点が痛々しいというか、救いがたい思いである。親の事情によって子どもが学校へ通えないという事態をどうにかできないものだろうか?
続いて「教員採用の現状」についての話があった。最近公立学校の教育採用試験の倍率が下落傾向にあるという。特に北海道の場合は顕著である。高校5.2倍、中学校3.4倍小学校に至っては1.7倍だという。これは「学校現場がブラックだ」というような風潮が若者の間で流布されていることもあるという。先の「働き方改革」とリンクする問題であるが、優秀な人材を確保するために、教育現場がより魅力ある現場となるよう教育界挙げての努力が求められているということだと思われる。
※ 私としたことが、カメラを持参することを失念し、研修の様子を写真に残せなかった。
イラストでごまかすことにしたい。
教育という営為は難しいことではある。しかし、その分やりがいの大きい営為でもある。もし、将来を決めかねている若い方が拙ブログを目にしてくれたのなら、思い切って教育界へ飛び込むことも考えてもらいたい。
久しぶりに刺激をいただいた新年交流会の研修だった。