'81年頃登場した貸しレコード屋のおかげで、色々なミュージシャンのLPを安価で聴くことの出来る環境が整った。中でも私の一番のお気に入りのアーティストは長渕剛であった。中学生だったあの当時、長渕のアルバムを聴いている者は私の周りでは少なく、(実際は大きなカン違いなのだが)「長渕を見つけたのは俺だ!」という自負があったほどであった。その長渕のアルバムの中で、名盤といえば、この「長渕剛ライブ」に尽きる。
ほぼ全編が長渕自身のアコースティック・ギターでの弾き語りで、彼のギターテクニック炸裂である。そこにときおり、彼のブルース・ハープや石川鷹彦のバンジョーが絡み、厚みを持たせている。
スタジオアルバム未収録曲が数多く満載なのも、このアルバムの魅力だ。私の一番のお気に入りの曲が「夏祭り」である。この曲のイントロを聴いた時、「長渕ってなんてギターが上手いんだ!いったいどうやって弾いているんだ!」と驚愕し、数年後「君はギターの弦を切ったことがあるか」という彼自身監修のギターの教則本を買ってきて練習したものだ。
歌詞カードが自筆だったり、自分の曲についての一言コメントや、アンコールシングル等オマケが満載で、手作り感あふれる作りだったのも、このライブ盤の魅力だ。この当時は長渕剛のファンといえば大多数が女の子だったが、今では男ばっかりだ。「とんぼ」以降の長渕ファンの方々に、このアルバムがどう評されているのかは謎だが、私はこの頃の長渕が一番好きである。