取材班のクルマ巡りは続く。尾車氏によると、「ラッシュ」というクルマは、トヨタのラインナップの中でも異彩を放っており、着目に値するという。そんなワケで、試乗車を探しに出かけた。
これが、その「ラッシュ」である。全長は4mそこそこで、全幅も1.7m未満に収まる。この手のクルマとしては今時珍しい、5ナンバーサイズ。その大きさは、私がかつて乗っていた「スズキ エスクード・ノマド」とほぼ同じといっていい。
驚くべきは、そのメカニズムで、1.5Lエンジンを縦置きし、なんとFRベースの本格的SUV。FF乗用車ベースの「コスメティックSUV」とは一線を画するクルマだったのだ。いやあ勉強不足でした。まったく知りませんでした。
ちなみに、開発・生産はダイハツが行っており、このクルマは「ダイハツ・ビーゴ」がトヨタにOEM供給されていると考えるべきものだそうだ。
乗ってみると、その高いアイポイントは、かつて乗っていたエスクードを思わせ、なにか懐かしい気分になってしまった。だが、大きく異なる点は、やはりその乗り心地である。「ドシン、バタン」と無骨なフィールだったエスクードとは違って、このクルマは非常に普通の乗用車的な、しなやかで爽快な乗り味だった。ま、設計年度が20年も違う初代エスクードと比べるのが、そもそも酷なのでしょうネ。
内装のプラスティックの質感はあまり高くないが、すべてのボディカラーでグレージュと呼ばれる明るいインテリアカラーが選択できるのはうれしいポイント。そして、タンブルフォールディングできるリヤシートや横開きのバックドアなどの使い勝手の良さは、まさにエスクード・ノマドを彷彿とさせる。スペアタイヤが後方視界を邪魔しない位置に取り付けられているのも、大きな美点。さらに、今時珍しく、5MTが選べるのだ!ああ、素晴らしい。
このクルマが発売されたのは、2006年の1月である。私がレガシィ2.0iの契約をしたのは、2005年の12月。その時点で、このクルマがリリースされていたならば、私はどちらを購入すべきか、大いに迷ったと思われる。
そして、迷った末に、結局はレガシィを選んだであろう。妻や娘たちは、ラッシュを推したかもしれないが・・・