獅子丸のモノローグ

☆気まぐれ不定期コラム☆

私が愛したクルマたち(22) ユーノス・ロードスター

2016年12月30日 | カタログ倉庫

 ’91年2月~’93年10月までの2年8か月。
 私の愛車≒リアルで愛したクルマが「ユーノス・ロードスター」(いわゆるNAロードスター)だった。
 就職が決まっていたとはいえ、まだ学生だった当時の私は、金利9.8%の5年ローンを組んで、まさに清水の舞台から墜落する気持ちで、初代シティからこのクルマに乗り換えたのである。
 その「ユーノスロードスター」を、カタログで振り返ってみたいと思う。
 


 このカタログは、「1989年10月現在」のモノ。
 ユーノス・ロードスターの、ほぼ最初期のカタログであると、思われる。


 「だれもが、しあわせになる。」
 このコピーが、当時免許取得から1年経っていなかった私の、ハートを鷲掴みにしたのだ。


 Bow氏のイラストが、そこここに散りばめられた、このカタログ。
 ちなみに上のイラストは、私が所有するお宝である「ユーノス・ロードスター トランプ」と同一の絵柄である。












 イメージカラーは「クラシックレッド」。
 このクルマは、走っている姿が、そして幌を開けている姿が、本当に良く似合い、なにか生き物のように活き活きして見える。


 とはいえ、幌を閉じている姿も、なにかしゃなりとして、決して悪くない。
 このカラーは、私の愛車だったクルマと同じ「マリナーブルー」である。




 どんな風景の中にあっても絵になる、そのスタイル。
 ただ愛らしいだけではなく、なにか凛としたカッコ良さを持っている。




 クラシカルな5連メーター。
 「油圧計」(中央上)が装着されているのが、当時としても珍しい。
 まあ、私は、あんまりそれを気にしたことはなかったが・・・(^^;


 ブラック基調のスポーティなインテリア。
 サイドブレーキレバーが助手席側に寄っているのは、「左ハンドルの輸出仕様とパーツを共有していた」がゆえである。
 だが、タイトな室内空間なので、それはむしろ「右ハンドルの方にちょうどイイ位置」だったともいえる。
 撥水加工のバケットシートも、掛け心地上々。
 ヘッドレスト内左右には、オーディオスピーカーが内臓されており、これがオープン・エアでも、心地良いミュージックを、鼓膜に届けてくれた。
 


 「ファン調整ダイヤル+3本レバー式」の空調コントロール。
 これは手を伸ばすとちょうどいい位置にあり、手探り操作性もバツグンで、本当に使いやすかった。
 秋の晴れた日なんかだと、ヒーターを効かせれば、フルオープンにしてもそんなに寒くない・・・というか、むしろ頭寒足熱で、非常に気持ち良かった。
 ちなみに、幌のオープンカーというヤツは、夏はとても暑い。
 なので、エアコンは必需品である。
 当時、エアコンはショップオプションだったが、セールスレディさんに勧められて、私は装着していた。
 そしてそれは、「大正解」であった。
 





 「人馬一体、ということ。」
 このクルマが納車された時。
 札幌は冬真っ只中で、路面はツルツルのテカテカであった。
 FFのシティから、FRのロードスター。
 クルマの挙動の違いは、スリッピーな路面だと、如実に感じられる。
 当時の彼女(≒現妻)を乗せて運転した際に、お尻を踊らせないように、非常に慎重に走ったことが、今も鮮明に思い出される。
 しかしながら。ロードスターは、リヤアクスルが自分のすぐ背後にあるので、挙動が実に掴みやすい。
 そして、その脚は、想像していたよりも、ずっとしなやか。
 冬の札幌の「氷雪でソロバン状になった路面」を、その4輪ダブルウィッシュボーンサスペンションは上手にいなし、意外にも安定して走る。
 また、「ビスカスLSD」の効用か、私はこのクルマで冬に「スタックし、スノーヘルパーのお世話になった」ことも、幸いにして、無かった。
 加えて、50:50の重量配分と低重心ゆえか、ブレーキング時には4輪が路面をしっかり掴み、沈み込むように止まる(ABSは無かったが・・・)。
 事実として。冬道においては、初代ホンダ・シティよりも、このユーノス・ロードスターの方が、安全かつリラックスして走れたのである。
 
 

 「排気音まで、速い。」
 1.6リッター4気筒DOHCエンジンの最高出力は、120psと、決してハイパワーではない。
 当時のホンダのVTEC1.6リッターが、カミソリのように回り160psを発揮していたのと較べると、明らかに見劣りする。
 だがしかし。このB6型エンジンも、踏めばそれなりに回るし、爽快なスポーティ感で、このロードスターを走らせる。
 「ブロロン!」と心地良い低音のこのエンジンは、このオープンボディにちょうど良いスペックだったと思う。


 「いつもの40km/hとは、まるで違う。」
 フィットしたスニーカーのように、普段使いでも「なにか、いい気分」なのが、このロードスターである。
 たとえばタバコを買いに行くのにも、自転車感覚ですぐに連れ出して、そこの四つ角を曲がりたくなる。
 本当に「運転が愉しいクルマ」なのだ。


 「オープンであることを、忘れてしまう。」
 ボディの剛性感も、この当時の水準としては、確かにしっかりしていた。
 低速域でローとかセカンドの低いギアでアクセルをON-OFFすると、それが如実に分かる。
 またしても引き合いに出してしまって申し訳ないが、初代シティでそんなことをすると、緩いエンジンマウント&横置きFFゆえに、「スナッチ」と呼ばれるガクガク現象が起きてしまうのだ。
 パワープラントフレーム&縦置きFRのロードスターでは、そんな現象に悩まされることはなかった。


 「身のこなしが、軽くなる。」
 優れた重量配分は、コーナーリング時はもとより、前述したようにブレーキング時にも、安心感をもたらす。


 そして、運転席に座っていながらにして、フルオープンにすることが出来るのも、大きな美点。
 手順に慣れれば、信号待ちの間にも、それは可能だ。
 突然の雨で、幌を閉じるのも、また然り。
 「強化ビニール製のリアウインドウをチャックで開け閉めするコツ」さえ掴んでしまえば、大丈夫だ


 「ホールド ミー タイト。」
 心地よいタイト感の、コクピット。
 ショートストロークで、スコスコ決まる、MTシフト。
 ヒール&トゥに適した、ペダルレイアウト。
 まさに、ドライバーズ・ファースト!







 
 そして、装備品の数々。
 この初期モデルでは「ロッドアンテナ」は脱着式だったが、マイチェン後には電動格納式に変更されている。
 また、サイドミラーも、後に電動リモコン式にグレードアップされた。
 その辺は、もともとは「軽量化のためにあえて電動化していなかった」のだろうが、市場の要望に応じて、変更を余儀なくされたのだろう。





 私のロードスターは「スペシャルパッケージ」という、セットオプションを装着していた。
 これは「パワステ」「パワーウインドー」「本革巻ステアリング」「アルミホイール」の4点セット。
 手のひらに汗をかきやすい体質の私にとって、特に「本革巻ステアリング」は、ぜひとも欲しいアイテムだったのだ。
 ちなみに、「パワステ付モデル」と「パワステ無モデル」ではステアリングのギア比が異なっており、「パワステ付」の方がクイックなレシオなのだ。
 また、この初期型NAロードスターのパワーウインドーには「運転席ワンタッチ機構」が付いていなかったが、それは後のマイチェンモデルでは、その機構を追加している・・・ハズである。
 さらには、初期型NAロードスターには「トランクオープナー」が付いていなかったが、それもどこかのマイチェンのタイミングで、追加された・・・ハズである。

 私は北海道という寒冷積雪地帯に住み、屋外駐車だったゆえ、冬期間は幌のケアのために「ディタッチャブルハードトップ」を、装着していた。
 これは、スタッドレスタイヤ⇔夏タイヤに交換する時期に合わせて脱着し、夏季は物置に保管していた。
 その脱着は一人では無理で、いつも私はウチの向かいに住んでいた叔父に、手伝ってもらっていたものだ。
 また、初期型の「ディタッチャブルハードトップ」は「熱線プリント付ではなかった」が、それもどこかのマイチェンのタイミングで、「熱線プリント付になった」・・・ハズである。
 だがしかし、私の経験上。
 このクルマは室内空間がタイトなので、エアコンONでデフロスターを効かせていれば、ハードトップのリヤウインドウが曇ることはなかった。
 ゆえに、個人的見解では、このハードトップに熱線プリントは、必要ないと思う。





 ショップオプションの中から、私のロードスターに「エアコン」を装着していたのは、前述のとおりである。






 ユーノス・ロードスター登場当時。
 ボディーカラーは「赤」「銀」「白」「青」の4種と、少なかった。
 その後、追加グレードである「Vスペシャル」の「ネオグリーン」を皮切りに、魅力的なカラーの限定車が次々と登場し、私に地団駄を踏ませてくれた。
 その魅力的な限定車たちについては、今後、順次、事細かに、触れていく所存です。






 このクルマの登場当初は、トランスミッションは5MTのみで、ATは設定なしという、潔さ!
 AT全盛の現代では、まずあり得ない展開である。
 後に、市場の要望からか、AT車も追加設定されたのではあるが・・・


 ともあれ。ユーノス・ロードスターというクルマは、まさに、日本車の奇跡だった。
 このカタログの写真の美しさや、そのストーリー的組み立ては、まさに一編の映画のように、私のココロを捉えた。
 これも、あの「バブル」という時代があったからこその、副産物というか、天の恵みだったのだろう。
 ああ、インターネットなど無かった、あの頃。
 飽きもせずこのカタログを眺め、そして自動車関連誌で情報収集し、「このクルマに、いつか乗ろう」と、思い描いていた私。
 あの時に、NAロードスターを買った決断は、やはり間違っていなかった。
 あの時に買っていなければ、一生、NAロードスターと暮らすことは、出来なかったであろう。
 ロードスターも「NA」→「NB」→「NC」→「ND」と進化したが、スタイリングに普遍的なオーラがあるのは、やはりこの「NA」だ。
 クラシック・ミニ同様、歴史に残る、エバーグリーンな一台だと思う。

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