ガソリン価格がかなりこなれてきたとはいえ、やはり今の時代、少しでも燃費のいいクルマに乗りたいというのが、人情というものだ。降りしきる雪の中、我々取材班は、この日の本命である新型インサイトの試乗に出かけた。試乗車は「G」(FF・CVT:税込車両本体価格189万円)である。
そのインパネは、近年のホンダ流で、賑々しくもビジーなデザインではある。確かに「スピードメーターは見やすい」のだが、この辺は大きく好みの分かれる部分であろう。内装のプラスティックの質感も、率直に言って低い。
だがしかし、もしもこのクルマがフランス車だったら、私は「このアヴァンギャルドなインパネは素晴らしい!」と絶賛してしまっていたかもしれない・・・
空調のコントロールは動作表示窓を含め上方に設置されているので、これはウチのレガシィ2.0iのそれよりも使いやすいと思われる。
乗ってみると、FFとはいえ、圧雪路では痛痒なく走ることができた。乗り心地もしなやかで上々である。軽めのステアリングフィールも、悪くない。
静粛性はまあまあである。外気温等のコンディションのせいか、エンジンは停止することなく常に回っている状態。ハイブリッドカーによくある「アイドリング・ストップの無音状態」を体験することは、この日は出来なかった。
リヤシートに座ってみるのを忘れていたが、最大のライバルと思われるトヨタ・プリウスより65mmも背が低いので、ヘッドルームはミニマムだという噂である。このクルマは、セダンではなく「4ドアクーペ」と言ってもいいのかもしれない。
ラゲッジルームは必要充分な容量で、リヤシートを倒せばフラットで広大なスペースになる。ただし、ラゲッジの下方に「IMAバッテリー」が収められているためか、このクルマも例によって「スペアタイヤレス」だった。
このインサイトというクルマ。私の中での好感度はかなり高い。この4ドアクーペ的な低いスタイルに、かつて私が好きだった「ワンダーシビック3ドア」や「CR-X」の残像がよぎるのだ。価格も比較的リーズナブルなこのクルマは、日本国内においてはフィットやライフに続くホンダの柱になるだろうと、私は予想する。初代に存在していた「5MT」があれば、さらに素晴らしかったのだが・・・