『江戸の災害史:徳川日本の経験に学ぶ』(中公新書)
倉地克直、2016、『江戸の災害史:徳川日本の経験に学ぶ』(中公新書)、中央公論社
災害の歴史からすると初期のうちは江戸幕府が直営で災害に対処したのに対して、次第に地方にその役割を移し、その原因は江戸中央の経済力の減衰が関与していて、江戸時代の後半期はむしろ委託された地方が災害復旧に力を及ぼすようになり、結果的には幕末の幕府転覆につながった。江戸幕府にとっての不幸は中期の少氷期の冷害の続出、および、火山噴火や地震津波災害であって、これがなければ、江戸幕府の延命もありえたかもしれない。
逆の言い方からすれば、国家は自らの権威を保つためには直営の災害復旧計画を手放すべきではなく、地方分権を行うことは権力の放棄を意味するということになる。その意味で、福島についても中央政府の主導が欠かせないのではないだろうか。自然災害にかかわらず、中央の権威を維持するためには。当然のことながら、江戸幕府と違う現代の政権は、税金を使った公共の事業として災害復旧を行うことの合意形成が肝要であると云う歴史的教訓が見て取れるのではあるが。
災害の歴史からすると初期のうちは江戸幕府が直営で災害に対処したのに対して、次第に地方にその役割を移し、その原因は江戸中央の経済力の減衰が関与していて、江戸時代の後半期はむしろ委託された地方が災害復旧に力を及ぼすようになり、結果的には幕末の幕府転覆につながった。江戸幕府にとっての不幸は中期の少氷期の冷害の続出、および、火山噴火や地震津波災害であって、これがなければ、江戸幕府の延命もありえたかもしれない。
逆の言い方からすれば、国家は自らの権威を保つためには直営の災害復旧計画を手放すべきではなく、地方分権を行うことは権力の放棄を意味するということになる。その意味で、福島についても中央政府の主導が欠かせないのではないだろうか。自然災害にかかわらず、中央の権威を維持するためには。当然のことながら、江戸幕府と違う現代の政権は、税金を使った公共の事業として災害復旧を行うことの合意形成が肝要であると云う歴史的教訓が見て取れるのではあるが。
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