浜野 喬士、2009、『エコ・テロリズム:過激化する環境運動とアメリカの内なるテロ』、洋泉社 (新書y)
昨年夏、シドニーにいくまえ、友人から町のレストランやバーでクジラの話題をだして、日本人とわかると袋だたきにされるかもしれないから、気をつけろと友人から注意された。シドニーを拠点とするグリーンピースのメンバーとであうかもしれないから、ということのつもりだったようだが、幸か不幸かクジラの話題を出すこともなく、何事も滞在期間を無事に終えることができた。
本書は、反捕鯨運動でもしられるグリーンピースやシー・シェパードを始めとする、ラディカルな環境保護運動や動物解放運動の歴史と活動家たちの相関図をしめして、アメリカ国家の本質である自由主義や抵抗権について、明らかにしてくれる本書は、環境問題を考えるにあたって、必読書のひとつだろう。また、本書を足がかりにして、さらに問題意識を深めることができるのではないだろうか。
2009-06-21 19:42:35 |
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ジョー・マーチャント、2009、『アンティキテラ:古代ギリシアのコンピュータ』、文藝春秋
1901年、ギリシャのアンティキテラ島で海綿取りのダイバーが発見したブロンズ像や大理石像にまじって、木枠に入った歯車の組合わさった機械のようなものが見つかった。ギリシャのアテネ国立博物館に収蔵されたこの発掘品が、現在に至るまで、様々な論争を呼んだ。科学史家や考古学者、天文史学者、博物館学芸員、さらには、海洋学者らを巻き込み、ヘレニズムの時代から現在に至る西欧自然科学の謎が一歩一歩明かされていく。そうした、渦中に自らも飛び込んだジャーナリストがその解明の過程を記したのが本書である。
本書で解き明かされたのは、ヘレニズム時代における天動説に基づき天体の「食」の時期を示す機械ということなのだが、大航海時代以降の地理上の発見に結びついたクロノグラフなどの精密時計とは、1000年以上の時間差があった。しかし、その謎は、レバノンで発見されたミッシングリングの発見で、古代ギリシャの伝統はイスラム世界に引き継がれ、十字軍をへて西欧に伝えられた。たくさんの歯車を組み合わせて、太陽や月、地球を含む惑星の運動を表示するというのは、アナログ・コンピュータとも言うべきものであるだろう。しかし、完全な形で保存されていたのではなく、欠損している部分も多く、イスラム世界における類似品の発見、あるいは、地中海世界での第二第三の発見で、さらに明らかにされていくだろう。
考古学遺物や文献を用いて、仮説と検証という自然科学史的な解明の過程は、まだまだつづくはずである。更なるミッシングリングの発見で、その謎解きはまだまだつづくのだろう。謎解きのプロセスは面白く、一気に読み進むことができた。
2009-06-21 16:33:25 |
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今日は11時から大阪で研究会。オーストラリアの友人夫婦がロシアに行く途中、立ち寄ったので、彼らを招いて二人の発表を聞いた。13時過ぎから18時頃まで、また、懇親会の会場でも、参加者一同大いに盛り上がった。
懇親会は、千里中央のモノレールビルにある「梅の花」で「野菜と豆乳のしゃぶ膳」というのを食べた。豆腐づくし(といって、湯葉とか、麩とか、大豆を材料にしたもの)と豚しゃぶ。仕上げが「豆乳雑炊リゾット風」というので、雑炊とリゾットは同じものじゃないかと、いろいろ盛り上がったのだが、要は醤油をつかわず、塩と胡椒で食べると、確かにリゾットだった。これは、学習した。
ズッキーニとルッコラのサラダ(danchuをみると、生のズッキニーニをつかうカルパッチョとのことだったが、さほど若く新鮮なものではなかったので、薄く切って、ざっと塩ゆでして氷水に落とし、水分をとってサラダとした。ルッコラの上にズッキーニをのせ、その上にパルメジャーノのスライスを散らし、EVオリーブオイルとバルサミコをかけ回す)
豆乳カルボナーラ(高山のキュルノンチュエのベーコンをいため、これに、生フェトチーネを茹でて加え、用意の豆乳、おろしたパルメジャーノ、黄身、胡椒をあわせたものをくわえて、ざっと絡めた。もうすこし前に火を止めなくてはならないのだが、余熱も含めて、微妙である)
スズキのムニエル(切り身に塩こしょうして小麦粉をはたき、EVオリーブオイルで焼く)
半藤 一利、2008、『幕末史』、新潮社
ペリー来航(1853)から参謀本部の設立(1878)までを「幕末史」としてとらえ、また、戊辰戦争において朝敵として戦った長岡藩の末裔としての著者の視点でこの「幕末史」を語ろうとする。
かいつまんでいうと、明治維新というのは、崇高な目的で初心貫徹して明治国家の形成がおこなわれたというようなことはまったくなく、動機もバラバラ、状況判断もバラバラ、個人の力が引っ張ったということもなく、流れの結末をもっともらしくととのえたという以上でも以下でもない。読者は、英雄史観というのはあり得ず、有象無象のうごめきが歴史を作るということをあらためて知ることになる。
教科書の歴史は政権にとって好都合な思想書であるし、もちろん、著者の視点も朝敵側のルサンチマンでもある。書かれた歴史は、まあ、そんなものだ。真実としての歴史ではなく、解釈と理解としての歴史、それを教育の現場でも教えてほしいものだ。
2009-06-19 00:30:24 |
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団 まりな、2008、『細胞の意思:“自発性の源”を見つめる』、日本放送出版協会 (NHKブックス)
考えてみると不思議なことではある。卵が受精し細胞分裂がはじまり、たった一つの細胞が増殖してた細胞になり、それぞれの細胞は別々の機能を持つ器官や組織を形成する。ひとつひとつの細胞そのものの構造は同じだが、その位置や働きによって姿も形も異なっている。ひとつひとつの細胞はあたかも、その位置に存在することを目的としてそこにいたったように見えるが、本書は細胞の自発性と名付けた働きに焦点をあてて、生命とは何かの謎に迫ろうとする。
DNAにすべての情報が書き込まれていて、細胞ひとつひとつの命のシナリオが既定であるとする生命観は本書を読むと、無理があることがわかっている。本書の中で示される実験、たとえば、発生初期において数期の分割をおえた卵をふるいにかけて、細胞をバラバラにし、再び集めてみると個々の細胞はまるで記憶があるようにもとの場所に集って再び発生の過程を追い始める。これなどは、まるで細胞に意思があるかのような現象である。
生命は、細胞そのものに存在し、多細胞生物の個体は生命の集合体であるといったホーリスティックな生命観を知ることができる。
2009-06-19 00:05:39 |
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麻婆豆腐(白ネギを縦に四分し細かく切る。青身の部分は小口切りする。椎茸を荒みじんにしておく。絹ごし豆腐ともめん豆腐を一口サイズに切って、ざっと茹でておく。中華鍋にサラダオイルを加えて、ショウガみじん切り、豆板醤、花椒醤を加えて炒めて香りだし。豚ミンチと椎茸、白ネギを加えて炒める。紹興酒、醤油を加える。ざっと火が通ったところで、茹でた豆腐を加える。花椒末を加えてざっとあえる。溶き片栗粉を加えてとろみのついたところで火を止める。あらかじめ茹でておいたモロッコインゲンを一口に切ってそえる)
プチトマトの金華ハムスープ(金華ハムを細切り、プチトマトを半分にきって煮る。ナンプラーで味を整える。ネギ青身をくわえ、溶き卵でとじる)
牛肉の豆豉炒め(牛肉を豆豉、紹興酒、濃口醤油でからめておく。フライパンに、ごま油、千切りショウガ、ニンニク、赤唐辛子小口切りを加えて香りを出して、先の牛肉に片栗粉をからめて炒める。あらかた火が通ったところで、白ネギそぎ切りを加えて炒める。あらかじめ茹でておいた絹さやを加えて炒める。少々の水を加えてとろみとする)
空心菜の炒め物(フライパンに、ごま油、千切りショウガ、ニンニク、赤唐辛子小口切りを加えて香りを出し、空心菜を加えて炒める。塩胡椒する。水で戻しておいた貝柱フレークを加えて一煮立ちさせて仕上げる)
まず、ご飯の準備。
つづいて、出汁の準備。出汁昆布を水につけておく。膨らんできたら、火にかけてわいてくる前に取り出して、鰹節を入れて出汁をとる。日本酒と薄口醤油で味を整える。
マグロの山かけ(マグロの冊を一口に切って、日本酒と濃口醤油、赤唐辛子粉につけておく。山芋をおろして、マグロにかけて供する)
太キュウリの煮物(あらかじめ、鶏ミンチ、ショウガ汁、塩、全卵、片栗粉をよくあえておく。出汁に一口に切った太キュウリをくわえ、煮立ってきたら、ミンチをスプーンですくって加える。ミンチに火が通ったら出来上がり)
厚揚げと湯葉、水菜の煮浸し(湯通しした厚揚げ、水で戻した湯葉を用意の出汁に入れて加熱。火が通ったところで、火を止めて、あらかじめ茹でておいた水菜を好みに切って漬けておく)
同僚ひとりがきて、お土産にスイカをいただいた。
共通のカレーベースを作る。タマネギをみじん切りしてサラダオイルできつね色になるまで炒める。ひき肉をサラダオイルで炒めて、タマネギ、カレー粉を加える。トマトダイス缶一缶と同量の水を加える。塩をひとつまみ。しばらく煮込む。
ほうれん草とひき肉のカレー(ほうれん草をざく切りして、茹でる。フードプロセッサーで、粉砕する。このとき先ほどのカレーベースの一部を加える。仕上げにサワークリームをくわえつ)
モロッコいんげんとひき肉のカレー(モロッコいんげんを一口に切って、先ほどのカレーベースを加えて煮込む)
ナン、白飯、パンなどとともに食する。
プチトマトとキュウリのライタ(キュウリを細かなさいの目に切って、塩をふってみずだししておく。しんなりしたところで水で塩分を洗い流す。プチトマトを四分し、くわえる。プレーンヨーグルト、胡椒、ガラムマサラ、カルダモン、クミンをくわえて、味を整える)
ホワイトアスパラとスモークサーモンのカルボナーラ風パスタ(パルメジャーノをおろして、全卵、豆乳、胡椒と混ぜておく。ホワイトアスパラをピールして一口に切って、スモークサーモンとともにフライパンにオリーブオイルで加熱。リンギーネがアルデンテ少し前にゆであがったところでフライパンにあけて、用意の豆乳等をくわえて、絡める。今日は失敗。だまになってしまった)
ポークソテー(トンカツ用豚ロース肉に塩胡椒しておく。オリーブオイルでじっくり焼く。無塩バターをくわえて、かけながら焼く。芯はほんのりピンクで仕上げるのがよし)
セルバチコとフルーツトマトのサラダ
今日は午後に研究会があって、終了後、一部がOGをよんで「おとなの会」と称する会食を催すことになり、たまたま、ウェブで見つけた「京加茂」はどうかと、すすめたら幹事さんがここをえらび、9名で行ってきた。
決して便利なところではないと思うが、ほぼ満員の盛況で、料理も、なかなか悪くなかった。日本酒の解る同僚がいっしょだったので、「秋鹿」づくしと称して、いろんな種類ものを飲み比べた。
◆ Mangiare Felice ◆ 食べて飲んで幸せ:秋鹿の会:http://lagattina.exblog.jp/11652209/
肉じゃが(ジャガイモの皮を剥いて一口にきっておく。タマネギを薄切りにしておく。ショウガを千切りしておく。深鍋にごま油を入れて牛たち落とし肉をくわえていためる。タマネギとショウガを加えていためる。あらかた火が通ったところで日本酒を少々。薄口醤油を入れ、ひたひたになるまで水を加える。一口こんにゃくを加える。赤唐辛子一本をくわえる)
わかめと貝割れ、タマネギのサラダ(タマネギを水にさらしておく。塩蔵わかめをみずに戻しておく。貝割れを好みの長さに切りそろえる。ボールに入れて、ゆずポン酢を加えてよく混ぜ、鉢に盛る)
島田 雅彦、2008、『酒道入門』、角川グループパブリッシング(角川oneテーマ21)
作家島田の独自性があるかと思って読んでみたが、まあ、酒飲みの蘊蓄話ということなんでしょうね。それはそれで楽しいのだけれど。
2009-06-12 17:31:05 |
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小山 登美夫、2008、『現代アートビジネス』、アスキー・メディアワークス (アスキー新書 61)
ギャラリスト小山さんの村上隆や奈良美智らの作品をはじめとする現代日本アートを日本に定着させたいという意気込みが伝わってくる。著者のアートビジネスにかかわってきた経歴をふまえて、その現状も良くわかる。同時に、日本の博物館美術館行政の貧困さや税制の問題もわかってくるというものだ。
2009-06-12 17:25:31 |
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