東京里山農業日誌

東京郊外で仕事のかたわら稲作畑作などをしていましたが、2012年4月に故郷の山口県に拠点を移して同活動をしています。

恵泉女学園大学生の稲刈り・脱穀体験

2010年11月07日 | 農業体験



 11月5日、今年も恵泉女学園大学生が稲刈りとや脱穀体験などにやって来ました。やって来たのは先生1人に生徒5人の6人でした。大学で長靴などに着替えてから、大学のマイクロバスに乗って来たそうです。稲刈りする場所は、6月末に田植えをした田んぼです。田植えをしてから4ヶ月あまり、小さな苗は今や稲穂を重く垂らして収穫時期を迎えていました。まず最初に稲刈りをしてもらいました。

                    みんな笑顔で稲刈りを開始


 大学生達は皆稲刈りが初めてです。最初、稲刈り専用ののこぎりガマの使い方,刈る時の姿勢,稲茎の刈る位置,刈り方などを教えました。次に、刈った稲束のちょうど良い太さ、ワラを使っての縛り方などを教えました。あとは実際にどんどん稲刈りしてもらいました。

     腰を落として低い姿勢で刈り取り           刈り取った稲を束ねる
 

 昔、稲束を縛るための稲ワラを腰に付けて稲刈りしていました。稲刈りしたその場で、即座に背中に付けた稲ワラを数本抜いて稲束を縛っていました。しかし、大学生達にそのような熟達した技術はありません。近くに置いた竹竿の上に刈り取った稲を順番に置いてもらい、規定の量まで稲を積んだら縛ってもらうようにしました。

               竹竿に積んだ稲束を、稲ワラで縛っている大学生


 稲を刈り取る動作はとても簡単です。しかし、規定の太さになった稲束を縛ることは最初難しいようでした。特に、稲ワラで稲束を縛るためには、それなりの指使いと力が必要です。稲束の結び方も独特です。

         笑顔で稲束を縛る                 縛り方に慣れたかな 

 稲束を縛ると、今度は竹竿に架けて稲束を干します(はさ架け)。彼女達が来る前に予め組んでいた竹竿に次々に縛り終えた稲束を架けてもらいました。架ける直前に稲束をX字形にして竹竿に乗せるよう架けます。

             予め組んでおいた竹竿に、縛った稲束を干す(はさ架け)


 一時間ほどで稲刈りを終えました。続いて、脱穀体験をしました。今日稲刈りした稲はまだ干したばかりで脱穀できません。10日前に小学生が稲刈りして干した稲を使って脱穀体験をしました。まず最初に江戸時代に使われた千歯こぎを使って脱穀してもらいました。

               千歯こぎの組み立て方を一緒に考えている大学生                


 千歯こぎを使う前に、彼女達にノーヒントで千歯こぎを組み立ててもらいました。最初わいわい言いながら組み立て方を相談していました。そして、いろいろ組み立ててみたり外したりしながら考え込んでいました。しばらくして無事にノーヒントで組み立てることができました。

  この棒はどの穴に入れるのかなあ??       無事組み立て終わり、脱穀開始
 

 千歯こぎを使いこなすにはちょっとしたこつが必要です。例えば、一度に稲穂を鉄櫛に入れないで少しづつ稲穂を入れて引くと用意に脱穀できます。一度に稲穂を入れると、ワラ屑がでたり、稲束がバラバラになりやすくなります。また、千歯こぎを押さえる人が必要など、適度なチームワークが不可欠です。

              数人が千歯こぎを抑え、一人が稲穂を引く


 千歯こぎの次に、足踏み脱穀機を使って脱穀してもらいました。脱穀ドラムを回転させると「ガーリン ガーリン」と快適な音が出るので、また適度なリズムで足を踏む心地よさのためか、彼女達のお気に入りでした。

              快適なリズムで足踏み脱穀する大学生


 千歯こぎも足踏み脱穀も、脱穀された籾をかき集めて網で選別しなければなりません。脱穀後、ブルーシートに落ちたワラゴミと籾とを一緒にみんなでかき集めました。そして、丸い網の上に乗せて、ぶるぶる網をゆらしてワラゴミと籾を選別しました。

        ワラゴミと籾を手でかき集める        丸い網を使って籾だけを選別
 

 去年の稲刈り・脱穀体験では千歯こぎと足踏み脱穀機だけを使いましたが、今年はそれに加えて新たに発動機で動かす脱穀機,押し切り,手回し式ワラ細断機を体験してもらいました。なお、2007年秋の稲刈り・脱穀時に体験した唐箕と縄ない機は時間がないため搬入できず体験しませんでした。
 まずは、今から50年前の昭和30年代に使われた発動機で動かす脱穀機を使って脱穀してもらいました。この機械は稲穂を差し込むだけであっと言う間に脱穀完了、そして自動的にいワラゴミと籾を選別し、さらに自動的に籾が米袋に入ります。

        発動機を使った脱穀機で脱穀、緑色の米袋に自動的に籾が入る


 この脱穀機を使ってもらった瞬間に「すごーい!」と感嘆の声が彼女達から上がりました。千歯こぎや足踏み脱穀機の大変さを知ったからこその感嘆の声だったのではないかと思いました。この機械は千歯こぎの何十倍もの速さで脱穀・選別をすることができます。
 ただし、ものの功罪(一長一短)があることも話しました。千歯こぎは効率はとても悪いのですが軽くて簡単に移動して使うことができます。一方、発動機を使った脱穀機は効率は確かに圧倒的ですが、重くて移動は大変です。さらに、燃料を使うので費用がかかりますし空気を汚します。

      脱穀の順番を並んで待つ          とても暖かい日差しの中、脱穀作業                
 

 脱穀後の稲ワラはその昔、むしろに編んだり、縄にしたりと、いろいろなワラ細工にして日常に役立てていました。しかし、今は稲ワラはほとんど使われなくなりました。このため、今は稲ワラは細断して田んぼや畑にばらまきます。その稲ワラの細断を体験してもらいました。

               押し切りを使って、稲束を細断する大学生


 まず最初に押し切りを使って稲束を切ることをしてもらいました。そして、次に手回し式のワラ細断機を使ってもらいました。手回し式の細断機は次々にワラを切断できるのでとても効率的です。しかし、回すには力が必要ですので、実際に使ってもらった結果は彼女達に不評でした。

     手回し式のワラ細断機を使う      とても力がいるので、なかなか切れない
 

 実はこの手回し式のワラ細断機は発動機を使って動かすことできます。実際に発動機を使ってこのワラ細断機を回すと、ワラを投入口に入れるだけで簡単にワラを細断することができます。手回しで苦労していた彼女達はびっくりした様子でした。今回の体験は、農機具が歴史的にどのように進歩したかを体験することも兼ねていました。2時間ほどの稲刈り・脱穀体験はあっと言う間に終わってしまいました。
 
           ワラ細断機の投入口へ稲束を入れている笑顔の大学生     

コメント (1)
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