これまでは携帯型のトランジスタラジオを修理してきましたが、とても目が疲れるので今度は据え置き型のものを修理してみることにしました。今回触るのはSONY製の型名TR-727です。携帯型のような革製のストラップはない代わりに、筐体の上部が掴みやすくなっています。デザインは昭和30年代後半のようです。
これから修理する据え置き型のトランジスタラジオ
筐体を分解してみての感想は、第一にチューニング周りが真空管ラジオのようです。第二に携帯ラジオのように小型化の必要性が低いので、基板が大きく部品が寝かせてあり回路構造がとても分かりやすいことです。筐体内も広くて修理にはもってこいの大きさです。使用されているトランジスタを調べると7石で、ミキサー部は2SA70,中間周波段は2SC16x2,低周波段は2SD65x2,出力PP段は2SB52x2でした。PNP型とNPN型のトランジスタが混在している面白い構成です。
部品が寝かせて取り付けてある基板、構造がとても分かりやすい
当時はまだ真空管ラジオも販売されていましたのでその影響があるのでしょう。チューニング関連装置が真空管ラジオと見まがうようです。私の家では真空管ラジオを昭和40年に購入しました。当時はトランジスタラジオはとても高価だったのでしょう。真空管ラジオの方が安価だったのではないかと思います。使われているトランジスタからみて、このラジオもこの頃か、その数年前に発売されていたのではないかと思います。
真空管ラジオのようなダイヤル 糸かけも真空管ラジオのよう
ちなみに故障箇所は放送を受信しないことです。ただ音量を上げると「ザー」と言うノイズが大きくなるだけです。そして、電源スイッチを入れた瞬間に「プスツ」と音が一瞬出るだけです。そこで、自作のシグナルインジェクターを使って、検波以降の低周波増幅段に信号を入れると音が出ます。続いて中間周波段に信号を入れるとこれまた音が出ます。どうもミキサー部周辺の故障ではないかと考えられます。これまた暇をみながらのんびり修理しようと思います。
自作のシグナルインジェクターで信号を注入中