この古い東芝製トランジスタラジオ 7TL-204Sの修理履歴です。それぞれをクリックしてください。
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トランジスタラジオを修理する場合、筐体から回路基板を取り外して故障した部品をそっくり交換することはよくあります。しかし、このトランジスタラジオはその常識が通用しませんでした。調査してみると、以前このラジオをその常識で修理しようとして失敗した形跡がありました。
まず最初、下図のように回路基板を外そうと三か所のネジを外しました。ところが、基板は浮くもののOSC回路基板などが当たっていたり電線が当たっていたりして取り外せません。よく見ると、回路基板はシャーシに固定されていることに気が付きました。つまり、基板単体を外すのではなく、基板を載せているシャーシごと外さなければならないのです。そこで、シャーシを取り外すことにしました。
基板を固定している三ヶ所のネジを取り外す
基板を載せているシャーシを取り外すためには、チューニングダイヤル,ボリューム,そして中波短波切替えスイッチなどを取り外さなければなりません。チューニングダイヤルを取り外して根元を見ると、亀裂が入っており一部が欠けていました。以前取り外した時に欠損したのに違いありません。
私は以前、SONY製トランジスタラジオTR-727を修理中に中波短波切替えスイッチを破損したことがあります。このため中波短波切替えスイッチは特に、注意深くゆるゆると外しました。
根本が欠損したチューニングダイヤル 中波短波切替えスイッチを外す
次にシャーシを固定しているネジを外しました。ところが、最後一つはワッシャーで固定されておりどうしても外れません。ワッシャーはスピーカーも同時に固定していました。そのワッシャーがどういう訳か緩んでいました。このため、ワッシャーを回しても雄ネジも一緒に回って外れないのです。つまり、雄ネジを固定しないとワッシャーを回すことができず外れないのです。その雄ネジを固定するためには、このラジオの前面パネルを外さなければなりません。以前このラジオを修理しようとした方が、ワッシャーを緩めたまま放置したのでしょう。ラジオ内でガタガタしていたのはスピーカーで、このワッシャーが緩んでいたためでした。
シャーシとスピーカーを同時に固定している、緩んだままのワッシャー
そこで、スピーカーとシャーシを固定している雄ネジを外すため前面パネルを外すことにしました。この前面パネルは細かな穴が空いており最初はアルミ製だと思っていました。そのパネルを外すため、パネルの固定部をドライバーの先でこじるように力を入れました。
ところが、その瞬間パチっと音がして何かが飛んでいきました。その飛んだものは、ラジオの枠の一部でした。なんと、プラスチック製の枠が割れて飛んだのです。外そうとしたパネルは、実は鉄板に細かな穴を開けたものでした。力を入れた時に穴あき鉄板パネルがゆがんで枠が欠損したのです。結局のところパネルを外すと、枠がさらに欠損する恐れがあることが分かりました。当時はアルミパネルは無かったようで、鉄板に穴を開けたパネルにしたようです。
外そうとした全面パネル固定部 欠損したラジオ枠の一部
シャーシや基板を無理して取り外すと、ラジオそのものを破損してしまいかねません。基板を取り外すことがこれほど困難なラジオはめったにありません。当時、このラジオの修理を依頼された方は泣かされたはずです。
そこで私は、シャーシや基板を取り外さないで回路基板を修理することに方向転換しました。まずは、断線していたコンデンサ0.05μFを取り替えることにしました。
断線していたコンデンサ0.05μF 0.05μFが無いため、0.04μFで代用
断線したコンデンサは0.05μFだったのですが、私のストックしていた中に同じものがありませんでした。そこで、0.04μFで代用することにしました。
このコンデンサを交換するときに一番困ったことがあります。それは。基板を外すことができないため、基板の上側からしか交換できないことです。その対策として、断線したコンデンサの線を数mm基板に残して外しました。そして、残った数mmの線に継ぎ当てするように0.04μFのコンデンサ接続しました。
基板に残した数mmの線に継ぎ当てるように、0.04μFのコンデンサ接続