この古いSONY製トランジスタラジオ TR-63の修理履歴です。それぞれをクリックしてください。
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台風19号のため、昨日の夜から雨が降り続いています。このため、予定した田布施町国木竹尾方面のウォーキングを中止(来月に延期)しました。大雨で家から一歩も出ることができないため、久しぶりにラジオを修理することにしました。57年前の昭和32年(1957年)に発売された、SONYが製造したトランジスタラジオTR-63です。このラジオが発売された年、私は平生保育園に通う4歳でした。
SONY製トランジスタラジオTR-63の回路基板を取り出して修理
前回までに回路基板の部品などを調査し終えたため、今回はラジオの音が小さい故障を直すことにしました。これまで何台ものラジオを修理してきましたが、音が小さい原因のトップは音声回路初段の結合コンデンサの容量低下です。このラジオもその疑いがあるため、そのコンデンサを調査しました。まずは、その結合コンデンサの位置を探しました。
結合コンデンサの場所を特定 故障したコンデンサを取り外し
初段の結合コンデンサを特定すると、正常なコンデンサを並行に接触しました。すると、格段に音声が大きくなりました。やはり、電解コンデンサが容量低下故障をおこしていました。ちなみに、バイパスコンデンサも調査しましたが正常でした。
上は容量抜け故障をおこした電解コンデンサ、下は交換した正常な電解コンデンサ
半田吸収器を使って、故障したコンデンサを基板に固定している半田を取り除きました。そして、同じ容量の正常なコンデンサと交換しました。このラジオが製造された頃は、まだ製造技術や部品が未成熟な時代でした。このため、基板に熱をかけ過ぎると銅被膜がはがれてしまうことがあります。今回も、半田ごての熱で少し銅被膜が浮き上がってしまいました。当時ゲルマニウムを使っていたトランジスタもやはり熱に弱い部品でした。
交換後の電解コンデンサ オシロスコープで波形を確認
格段に音が大きくなったこのラジオ、音量は申し分ありませんが音を最大にすると音が歪んで割れることが分かりました。ちなみに中間周波をオシロスコープで見ると、やや過変調気味のようでした。最大音量で聞くと耳が痛いほどですので、通常は音を弱めて聞くことになります。弱めて聞く分には歪がありません。このため、このままで良しとしました。
修理したトランジスタラジオTR-63は、放送中の台風情報をとても良く受信することができました。感度は問題ないようです。次回はトラッキングなどの調整をして、筐体を綺麗に磨いて修理を終えようと思います。
台風情報を聞きながら、オシロスコープで波形を確認