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桜と絵本と豆乳と

夢でもし逢えたら

2009年08月03日 | 読書
 勝手に師匠の一人と決めている糸井重里が、こんな本を出していることを申し訳ないが全然知らなかった。

 『夢で会いましょう』(村上春樹・糸井重里著 講談社文庫)
 
 もう二十年以上も前の発刊である。内容はカタカナの外来語をテーマにショートショートを競作?しているもので、エッセイ風のものあり、言葉遊び的文章あり、シュールな寓話ありと、私のような集中力のない者にはうってつけと言ってもいい。

 興味深いのは、お互いをテーマにした部分。
 「シゲサト・イトイ」はm(村上)によってこう称された。

 天才的祝祭転換人

 日常空間を祝祭空間に劇的に変える、またその逆の転換を、明快に行う人物と見ている。

 一方「ハルキ・ムラカミ」をi(糸井)はこんなふうに形容する。

 旅人の役で、鉄道模型セットのどこかにいそうな雰囲気

 そしてその巨大な鉄道模型の中で旅をし、いつの間にか別のプラットフォームに立って汽車を待っている、と。

 なかなか深いなあと思う。

 正直、何を延べているのか示しているのか、わからない頁も多く、師匠や大御所の文章には知識がないとついていけないかとやや落ち込んだのも確かだ。
 しかし結局、この題名が示すように、もしかしたらベッドで眠る前に読んだら、夢になるようなストーリーだということでいいだろう。そこで何を感じるかは、読み手に任せられるような本といってしまおう。

 と、先週月曜、露天風呂につかりながら読んだのでした。見上げた先には、おだやかな唐津の海が広がり、夢心地でもありました。