すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

八面六臂も一点の掘り下げから

2010年06月11日 | 読書
 『頭がよくなる四字熟語力』(齋藤孝著 角川書店)

 ここでも齋藤孝ワールド全開というか、単純明快路線、無理矢理上機嫌志向というか、まあまあ楽しくポジティブに読める本ではある。

 著者の多くの本で書かれたことの焼き直し的な部分もあるが、そればかりでなく私にとって新鮮な知識が折り込まれていることもあり、その意味では何かしらの収穫を与えてくれる。

 今回、記憶に留めたい一つは「ポトラッチ」という考え方。
 未開民族の大盤振舞を指している言葉だが、ここに見る無駄、循環、贈答といった意義の捉え方にはちょっと考えさせられた。
 「贈る」という行為は、今自分の中のキーワードになりつつあるようにも思う。

 もう一つ、「八面六臂力」の項目でなるほどと思った。
 その力の代表者として、レオナルド・ダ・ヴィンチが挙げられていた。歴史上ではまさにその通りと思う。
 著者はそこで、その力を支えた、才能の根幹をデッサン力と言い切った。発明、建築、解剖、科学…全てが絵につながっているという。納得である。

 万能の天才のように見えても、一点に特別優れるところから始まる。 

 身の周りでも八面六臂の活躍をしている人にもそれは当てはまるのではないか。
 その人の根幹を見きわめることが人間理解に通ずるだろう。
 また逆に一芸に秀でることの重要性は教育上も有効な考えとなる。

 自己教育として言えば、私が欲しいのはこの本に載っている言葉でいえば、「眼光紙背力」か。