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談志噺その弐

2011年02月04日 | 読書
 『人生、成り行き~談志一代記~』(立川談志 新潮文庫)


 談志が語る

 この人とならば、なんとかドロップアウトしないで済むだろうナと思って一緒になったわけですけどね

 談志のおかみさんの話がほんわかとして面白い。

 「則子(のんくん)語録」と名前をしたためたノートがあるそうだ。

 「パパは一番大切。でも何もしてあげられない」

 「お風呂もプールも大丈夫なんだけど海は苦手。だって、つかまるところがないから」


 いわゆる天然ボケタイプなのかなあとも思うが、なかなか渋く、哲学めいているところも凄い。

 ずいぶん不精らしく、掃除をしない奥さんに談志が「何で掃除しないのかね」と尋ねたという。その答がこうだ。

 「だって、掃除って、日本中のゴミをどこかに寄せているだけでしょ」

 談志は、この家庭に、このおかみさんに一部帰属していたわけだ。伴侶とはそういうことだ。

 こういう価値観とつながっていることは、けして常識の罠みたいなものには引っかからないと思う。