すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

フィンランド・メソッドを読み直す

2011年10月19日 | 読書
 『フィンランド・メソッド入門』(北川達夫 経済界)

 5年ぶりに読み直してみた。
 買ったときには、こんなメモを残していた。
 http://blog.goo.ne.jp/spring25-4/e/f432a5229cca57173ec534dc579847bc

 その後、北川氏の別の著書も読んだし、講演も聴く機会があった。

 いわゆる「グローバル・コミュニケーション力」を目指すという主張が、あれからこの国に拡がったかどうかと言えば、大まかには順調といっていいかもしれない。

 一つには、教科書に多少の変化をもたらしているだろう。
 使用している光村図書のものを見ても、巻末資料などには見るべきものがある。
 また、テスト改善という点においても、いわゆる全国B問題において結構フィンランドメソッド的といっていい内容があると思う。

 ただそれにそった授業、学習活動がどの程度行われているかに関しては、私自身は情報を持っていないし、印象を言えば、教科書やテストに追いついているのだろうかという疑問が残る。
 それは、実際のところ、あまりそうした授業を見ないなあという実感がきている。

 どんな授業か?
 フィンランド・メソッドの五つの観点で、例を示せば以下のようになる。

 発想力…「カルタ」(これはマインド・マップである)などを使って、いや形式に関わらず、アイデアなどを集めたり、自分の考えを広げたりする活動

 論理力…フォーマットなどを使って、論理や理由付けの力を養っていく活動、または「なぜ、どうして」が大量につながっていく活動

 表現力…指定された言葉を全部使って短く書く作文活動

 批判的思考力…文章題を解くために、必要な条件を選択する活動

 コミュニケーション力…議論のルールを徹底して身につけたグループ協議などがある活動

 もちろんこれらはあくまで一例で、本を読み返しながら、例えば「物語創作」「ディベート」などかなり増えてきていることを確認できた。

 グローバル・コミュニケーション力の真の吟味を進めながら、この分野はやはりもう一歩踏み出してもいいと考えている。
 そのためには「学習形態の工夫」「汎用性のある定番ネタの共有」そこのあたりを重点的に取り上げることが有効な気がする。