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桜と絵本と豆乳と

恥骨の人の名著

2013年12月27日 | 読書
 古本ショップの105円コーナーでこの本を見つけた時、「ああ、ちょっと話題になったことがあったな」と思うぐらいの認識だった。

 『正しい保健体育』(みうらじゅん 理論社)

 数ページ読んで、ちょっとはまってしまう。
 下ネタだらけの内容ではあるが、結構「深い」。

 さすが多くの文化人?に「みうらじゅん先生」と崇められる著者である。

 表紙に記されている「よりみちパン!セ」というシリーズ名も目にしたことがあり、いくつか読んでいるなと思った。巻末に重松、養老…見覚えのある本名が並んでいた。

 ということは、主たる対象は中高生なのかもしれない。
 振り仮名も結構多いし…。
 ただ、男子を想定している書きぶりなので、やっぱりそれはそうだろうと自分の保守的な性教育観が思わず露呈してしまう。

 とにかく、これがみうらじゅんワールドばかりに妄想、ときに相対真理?的な断言に覆い尽くされた著ではある。
 発想の突き抜け感がいい。

 例えば「図1-1」として使われる写真は、釈迦像とキリストの絵である。そこにつけられたキャプションは「煩悩と戦う戦士」である。
 そして「図1-2」には、松崎しげるの写真が載せられ、こう付けられている。「本来は正しい人」。

 このセンスについていけない人は、本書はくだらない極みの本とも言えるだろう。

 何が「正しい」だ!「保健体育」という名づけは恥ずかしくないのか!こう宣ふだらう。

 しかし「そんなこと言われたって、騙されねーぞ」とみうらじゅん先生は言い放つと思う。
 例えばこんなふうに大人を定義できるのは、まさしく恥骨(いや、反骨)の人だ。

 妄想も幻覚もつまりは「夢」です。子供には妄想、老人には幻覚。
 すなわち、その間が「大人」と呼ばれる夢がない時期です。



 もしかしたら、「マイブーム(みうらじゅんの造語)」になるかもしれない。
 でも、公の場で読むのはちょっと躊躇われるかな。