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「そうせい」も「時を待て」も

2015年03月15日 | 雑記帳
 NHK大河ドラマ『花燃ゆ』。評価が二分しているように見える。大河を習慣的に視聴している者としては、中程度の評価。群像的とも言えないし、今のところはどこか中途半端だ。舞台になる長州の殿様役で、北大路欣也が出演している。藩内の対立の中に在る面白い役どころ、セリフの「そうせい」が象徴的である。


 毛利の殿様ということで、最近実に面白い記事を雑誌で読んだ。毛利家の正月の儀式の話である。毎年元旦に、萩城の大奥にやってきた筆頭家老は、殿様に対して同じ問いかけをするのだそうである。曰く「徳川家征伐の準備、あい整いました。あとは殿の下知を待つばかりでございます」と。それに対して殿様は…。


 「いや、ご苦労であった。しかし今はまだその時期ではない。時を待て」と返答される。この密かに執り行われる新年の儀式を、なんと250年し続けたというのだから驚く。つまり明治維新で、関ヶ原の恨みを晴らしたということ。これを歴史の重みと言わずにどう言うか。「時を待て」の前には、個人などちっぽけだ。


 歴代の毛利家当主には定められた命題があった。それこそが自分の生きる目的であり糧であったに違いない。しかし数多のそうでない個は、上の動きを見ながら反応し、道を手探りしていくしかない。さて、我が国宰相も長州の出身。「時を待て」も「そうせい」も言っているかもしれないが、一体何が命題なんだろう。