『仙台ぐらし』(伊坂幸太郎 集英社文庫)を再読した。
エッセイ集だが一篇だけ「ブックモビール」という短編小説が収められている。
そのなかで、被災地を見に来た映画監督を案内し、その発言に腹を立てた「渡邊さん」が放った一言は強烈だ。
◆「光景を見に来るんじゃなくて、人の心を見に来いよ」
震災の年から何度か、かの地に足を運んだ自分だったが、どうだったろうと胸に手を当てさせることばだ。
昨年の夏に話題になった『大放言』(百田尚樹 新潮新書)を読んだ。
いやいや、まあ言いたい放題である。同い年の売れっ子作家には、何も怖いものがないようだ。
もっとだと思うことも、一方的ではないかと感ずることもある。ただ結局のところ批判、非難と反論に終始する形になるので、読んでいて気持ちのいいものではない。
しかし、次の言に対しては賛成である。「言葉狩り」の社会を続けてはいけない。
◆放言を笑って聞くだけの度量のある社会にしようではないか。
そういえば、某合衆国の大統領選挙なんかも関係ありそうだ。
けして無視するわけではないが、「放言」以上に大事なことがあると感ずるのは私だけではないだろう。
浅田次郎の短編集『夕映え天使』(新潮文庫)を楽しんだ。
年齢の近い男性が主人公の設定が多く、なかなか染み入る物語ばかりだった。
「丘の上の白い家」という話の中で、主人公の友人清田が、教師らに交際について指導され、言い放った言葉が強烈だ。
◆「価値観のちがいというのは、階級主義の受容だと思います。先生方も教育長も、妙な言いがかりをつける親も、もういっぺん戦争をして、もういっぺんこてんぱんに負けてください。」
おそらく昭和30年代の設定と思うが、世の中あまり変わっていない気もする。
災難に遭っても学ばない日本人が多いのか。自省を込めて。
エッセイ集だが一篇だけ「ブックモビール」という短編小説が収められている。
そのなかで、被災地を見に来た映画監督を案内し、その発言に腹を立てた「渡邊さん」が放った一言は強烈だ。
◆「光景を見に来るんじゃなくて、人の心を見に来いよ」
震災の年から何度か、かの地に足を運んだ自分だったが、どうだったろうと胸に手を当てさせることばだ。
昨年の夏に話題になった『大放言』(百田尚樹 新潮新書)を読んだ。
いやいや、まあ言いたい放題である。同い年の売れっ子作家には、何も怖いものがないようだ。
もっとだと思うことも、一方的ではないかと感ずることもある。ただ結局のところ批判、非難と反論に終始する形になるので、読んでいて気持ちのいいものではない。
しかし、次の言に対しては賛成である。「言葉狩り」の社会を続けてはいけない。
◆放言を笑って聞くだけの度量のある社会にしようではないか。
そういえば、某合衆国の大統領選挙なんかも関係ありそうだ。
けして無視するわけではないが、「放言」以上に大事なことがあると感ずるのは私だけではないだろう。
浅田次郎の短編集『夕映え天使』(新潮文庫)を楽しんだ。
年齢の近い男性が主人公の設定が多く、なかなか染み入る物語ばかりだった。
「丘の上の白い家」という話の中で、主人公の友人清田が、教師らに交際について指導され、言い放った言葉が強烈だ。
◆「価値観のちがいというのは、階級主義の受容だと思います。先生方も教育長も、妙な言いがかりをつける親も、もういっぺん戦争をして、もういっぺんこてんぱんに負けてください。」
おそらく昭和30年代の設定と思うが、世の中あまり変わっていない気もする。
災難に遭っても学ばない日本人が多いのか。自省を込めて。