すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

今日何か抑制しましたか

2016年10月26日 | 読書
Volume26

 「どんどん自己限定を進めて今に至ります。現代の情報社会は、選択肢が多すぎる。意図的に自分を抑制しないと、翻弄されて疲れ果ててしまう」 


 脚本家山田太一が、インタビューに応えて語った言葉。

 かつて「可能性のよき断念」という実に印象深い言葉を拾ったが、その具体的な行動の一部を指し示している言葉だ。



 人間が構成する集団生活の総称を「社会」と呼ぶが、社会に個人が翻弄されるという状態は、個人が自分の位置づけ、方向づけをはっきりしていないからだと考えられる。
 何かが消滅し、何かが生まれながら、社会は日々変化し続けているわけであり、それは個人がどんなに確固たる意志や身体を持っていてたとしても(ほんの少しであっても)変わっているからに他ならない。

 その自分の変わり方を意識的に見る、できるだけ意図的に操作するという点が大事ではないか。
 
 「抑制」という二文字に込められる響きは、「自立」を目指す足音のようなものである。


 今日、何か「抑制」しましたか。