すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

両極をまず知る

2016年10月10日 | 読書
Volume23

 「たとえ4対6くらいが正解だと推測できても、ちょうどいい材料の配合を探るためには必ず9対1、1対9からやってみる。両極をまず知ることで、良しあしの感覚を体で確認する」



 日本屈指の左官技能士、挾土秀平が、土壁職人としての知恵を語る。



 こうした一見無駄とも思える作業の繰り返しによって、鍛えられる力は大きいように思う。
 そして、そこで培われる精神性にも注目しなければいけない。

 つまり、科学性をもつ本物の技能を身につけることと同時に、いわば芸術性と呼べるような一度きりの仕事に向かう姿勢を強くしていることだ。

 たとえば目の前の仕事に対して、もしこうしたら…反対にこうしたら、と両極に想像を巡らせる、可能な場合は試行するという段階を組み入れる。
 それがたとえ僅かであっても、その有無は大きな違いを生んでいくと思う。