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螺旋を描きながら進化する

2016年10月02日 | 雑記帳
 横手市民会館で開催された「鼓動」を観に行った。以前の湯沢文化会館での公演も印象深かった。記録をみると2002年の秋とある。あれから14年。メンバーの構成も変わっていることだろう。しかし相変わらずその躍動的な姿に魅せられた。「鼓動ワン・アース・ツアー」と名づけられた公演のテーマは「螺旋」である。

 鼓動をご存じない方は こちらのyoutubeへ




 一幕、二幕合わせて10曲。一幕のラストが「モノクローム」と名づけられた曲で、聴いたことがあるなあと連れと話した。小太鼓を使い、ごく小さな音の重なりから入り盛り上げていく。初めての時、へええこんな叩き方もあると聴き入った曲は、さらに洗練されているような気がした。1977年作という重みも感じた。


 個人的に楽しく思えたのは、「明けの明星」という曲だった。踊りながら叩き、歌い、幻想的なイメージを作っていた。男女各々3名ずつのバランスがよく、照明効果と相まって総合的なエンターテイメントになっていた。かつて私は「音へのこだわりを強く感じた」とこんなふうに感想メモを締めくくっていた。

 それはきっと旋律を捨てることによって深まっていくものだろう。今さらながらに「限定して、徹底する」ということの大切さを教えられた。


 この時の印象がそうであっても、現在はもうワンステップもツーステップも進んでいるのだ。歌舞伎の坂東玉三郎を演出に迎え、そういう意味での注目もあるのだろうが、それ以上に自分たちのポリシーをしっかり持っている集団だと思う。パンフレットにはプロデューサー西村信之氏が、こんなふうに記している。

 (前略)「新しい」という言葉の語源は「あらたし」つまり「改める」という言葉から来ているということでした。新しいといっても全く無から新しいものが生まれることではなく、すでにあるものを改めていくことで新しいと感じるものが生まれてくるというものでした。


 これはまさに「鼓動」という集団が、徐々に幅を拡げた過程そのものではないか。打楽器集団としての峰をさらに高くしているイメージだ。ラストはテーマである『螺旋』。この構成、迫力、多彩な響きは圧巻であった。観衆は中高年が多いように見えたが、拍手がなかなか鳴りやまなかったことがそれを証明していた。