『疲れすぎて眠れぬ夜のために』(内田樹 角川文庫)
読んでいないような気がして、中古書店で求めた文庫だったが、しっかり書棚に並んでいた。
ちょっと面白い感想も書いていた。→こちら
しかし9年前の発刊、もう一度と思い読み直してみた。
考えると、仕事を辞めてから内田本は読むのは初めてになる。
結局、いつものごとくうんうん頷きながら読み進めた。
確かに難しい部分もあるけれど、やはり肌に合っている。
そんな自分の感覚を見事に言い当てている文章がある。
◆ある著者の「愛読者」というのは、その人の「新しい話」を読みたくて本を買うわけじゃない。むしろ「同じ話」を読みたくて買うんだと思います。
文学の世界だけでなく、音楽界の例を引きながら論を進めている。
なるほど、好きな小説も、好きな音楽もその通りなのかもしれない。
ああこういうフレーズが好きだなあ、胸にガツンとくる、許されるならオオオウッと拳を上げたくなる(そこまではしないか)…
では、この文庫ではどんな「同じ話」かというと…
◆「むかついて」人を殺す若者や、一時的な享楽のために売春やドラッグに走る若者は「利己的」なのではありません。「己」が縮んでいるのです。「自己中心的」なのではありません。「自己」がほとんどなくなっているのです。
◆現代人は「群れと行動をともにする」ことの生存戦略上の有利さと安全性をを過大評価する傾向にある。
◆欲望の充足を生態系の安定より優先的に配慮する生物、それが人間である。
大きく括っていえば、この著では、生き方の多様化と言われつつ、どこまでも単線化に突き進んでいることへの鋭い指摘がある。
身についている「型」を注意深く掘り起こして、自分の身を守っていくことについて考えている。
読んでいないような気がして、中古書店で求めた文庫だったが、しっかり書棚に並んでいた。
ちょっと面白い感想も書いていた。→こちら
しかし9年前の発刊、もう一度と思い読み直してみた。
考えると、仕事を辞めてから内田本は読むのは初めてになる。
結局、いつものごとくうんうん頷きながら読み進めた。
確かに難しい部分もあるけれど、やはり肌に合っている。
そんな自分の感覚を見事に言い当てている文章がある。
◆ある著者の「愛読者」というのは、その人の「新しい話」を読みたくて本を買うわけじゃない。むしろ「同じ話」を読みたくて買うんだと思います。
文学の世界だけでなく、音楽界の例を引きながら論を進めている。
なるほど、好きな小説も、好きな音楽もその通りなのかもしれない。
ああこういうフレーズが好きだなあ、胸にガツンとくる、許されるならオオオウッと拳を上げたくなる(そこまではしないか)…
では、この文庫ではどんな「同じ話」かというと…
◆「むかついて」人を殺す若者や、一時的な享楽のために売春やドラッグに走る若者は「利己的」なのではありません。「己」が縮んでいるのです。「自己中心的」なのではありません。「自己」がほとんどなくなっているのです。
◆現代人は「群れと行動をともにする」ことの生存戦略上の有利さと安全性をを過大評価する傾向にある。
◆欲望の充足を生態系の安定より優先的に配慮する生物、それが人間である。
大きく括っていえば、この著では、生き方の多様化と言われつつ、どこまでも単線化に突き進んでいることへの鋭い指摘がある。
身についている「型」を注意深く掘り起こして、自分の身を守っていくことについて考えている。