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大きな非道徳的行為

2016年10月13日 | 読書
Volume24


 「『道徳』は政治家や官僚が治政のため身につけ、わきまえるべき、必須の政治的行動倫理であって、初等中等教育になじむような代物ではない」 


 私には求道者のように見える書家石川九楊が、「徳不弧(とくはこならず)」という志賀直哉の書について解説した文中にある一節だ。



 「初等中等教育になじむ」かどうかの判断はともかく、民衆に道徳を求める前に「政治的行動倫理」として優先されることは間違いないだろう。
 そうでなければ、政治によって進められる教育の内容など空疎なものでしか在り得ない。

 さらに言えば、その倫理さえしっかりしていれば、取り立てて、例えば「特別の教科」などと言わなくとも、浸透していくのが道徳ではないか。

 この国ではどうも本末転倒のような仕組みがなぜか働いて、何かうまく進まないわけを教育現場に押しつける傾向があるようだ。

 そのこと自体が、非道徳的行為ではないのか。